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第2章挨拶

その頃、白起は一足先に着替えを済ませ会場に入っていた。

そこには、白起が予想しているよりもずっと多くの人々が集っていた。

そして既に大量の料理と酒が振舞われており、会場は大盛り上がりだった。


「白起様。お久し振りです。」

白起がその様子を眺めていると、後ろから声をかけられた。

王齕であった。


白起は言った。

「お前。来て大丈夫なのか?」


王齕は言った。

「良くは無いですね。笵雎は良い顔をしないでしょう。ですが、大変お世話になった白起様と恵子様の結婚式ですよ。行かないわけには行きませんよ。」


すると白起と共に、戦った多くの兵士達も白起の存在に気付き、駆け寄ってきた。

「「白起様。おめでとうございます。」」


そして彼らは口々に白起の思い出や恵子との思い出を話し出した。


白起がそれをにこやかに聞いていると、後ろから馴れ馴れしく、肩を組んでくるものが居た。

天下の名将として恐れられる白起と肩を組める人間は一人しか居ない。

この結婚式の仕掛け人、魏冄である。

魏冄は相当に酔っているのか泥酔し、涙を流していた。


魏冄は言った。

「見てみろ。白起。これはな。お前と恵子ちゃんを祝いたくてこれだけの人間が集ったんだ。お前はこれだけの人間に愛されているんだよ。良かったなー。」


白起は笑って言った。

「酒臭いぞ。あと、泣く程の話ではないだろう。」


魏冄は言った。

「泣く程の話だ。だって、あの孤独で、孤高だったお前がこれだけの人間に祝福されて最愛の人と一緒になるんだぞ。親友としてこれ程嬉しい事は無いさ」


白起は言った。

「大げさだぞ。だがありがとう。恵子と結婚式が挙げられて本当に良かった。」


すると魏冄はなぜか白起に抱きついて言った。

「白起。ごめんな。俺の事を恨んでるよな。俺はお前に多くのものを課しすぎた。そういうのは全部忘れて自由に暮らせよ。罪を負うのは俺だけで十分なんだ」


白起は微笑んで言った。

「やめろよ。皆が見てるだろう。俺はお前を恨んだことなど一度も無い。それに、あれは俺の罪だ。」


魏冄は白起の言葉を聞いて悲しそうな顔を浮かべた。

すると白起が言った。

「だがそんなに肩代わりしてくれるというなら、今日のところはお願いしても良いか?今日だけは恵子に相応しい男で居たいんだ。」


「白起ー。」

魏冄はその言葉を聞き、涙を流しながら白起に抱きついたのだった。

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