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第2章二人の作業

次の朝、私はいつも通り、料理を作っていた。

すると、厨房に白起が走ってやって来た。


普段、白起は厨房には現れない。

だから私は驚いて言った。

「どうしたんですか?」


白起は私を抱きしめると言った。

「良かった。大丈夫みたいだな。昨日は大分、激しくしたから体が心配だったんだ。今日は料理は俺がやるからお前はもう少し休め」


白起の言葉は私を大切にしてくれるのが感じられて嬉しかった。

またなんだか白起と一つになった事が思い出されて不思議な気分だった。

それに実際、体がきついのは事実だ。

だけど、プライドというか、照れくさいというか、白起に昨晩、抱かれた事を理由に、料理を休むのは嫌だった。


だから私は言った。

「大げさですね。大丈夫ですよ」


「本当か?」

白起は再び私に問いかけた。


しかし、私が首を縦に振ると、私が一度決めたら絶対に引かない性格をしている事を知っているため、諦めて言った。

「じゃあ、俺も手伝おう。」


私は白起の申し出に少し驚いた。でも、昨日の白起のぬくもりが肌に残っている私としてはなんだか白起ともっと一緒に居て甘えたい気分だったので、白起の申し出は嬉しかった。


私は白起を抱きしめ返して言った。

「じゃあ、お願いします。一緒にやりましょう」


「よし。始めるか」

白起は私を抱きしめた手を離した。


私は言った。

「もう一回だけ。抱きしめてください」


私は白起に離されて、白起のぬくもりが恋しくなったのだ。

白起は私の言葉を聞くと呆れたように笑って、私を抱きしめた。


結局私達は、何度も、何度も、抱きしめあった。

そしてそれが終わると私達は2人で料理を作り始めた。


まず白起が私に言った。

「今日は何を作るんだ?」


私は言った。

「水餃子と野菜炒めです。」


すると白起は言った。

「あの時と一緒だな」


そう。

この料理は、白起が始めて私の料理を食べてくれた時の料理だ。

あの頃は、白起への気持ちは自覚していなかったけど、白起を支えたいと必死だった。


でも今は少し違う。

白起は大罪を犯し、私は白起を愛し、罪を共に背負って生き続けることを選んだ。

だからこの料理は私にとっての所信表明だ。

私はこれからも、白起と共に生きる事を示すために、心機一転、初心に返ってこの料理を作ろうと思ったのだ。


そしてそういう思いを込めて私は言った。

「はい。でも全部、一緒ではないですよ。私はこれから作る料理全てに、私の愛情全てを注ぎ込むつもりです。そして、それらの料理はいずれあなたの体の一部になり、あなたがどう思おうと、あなたのためを思い、あなたを守り続けるでしょう。覚悟して下さいね」


白起はそれを聞くと笑い出した。

「随分と恥ずかしい事を言うんだな」


私はそれを聞いて思った。

確かに私は随分、恥ずかしい事を言っている。

今までに無かった事だ。


でも、しょうがない。

私は白起と反目し、白起を愛してしまった事を知った。

その後、体を重ね、私と白起は一つになった。

もう愛情に歯止めが利かないのだ。

私はどうやら、自分が思っていたよりずっと、愛が重い女だったらしい。


だから私は白起に近づき口付けをした。

白起は驚いて言った。

「何をする?」


私は笑顔で言った。

「意地悪な事を言うからですよ。そもそも、私をこんな風にしたのはあなたでしょ。」


そして私は白起のぬくもりが欲しくなり、今度は白起に抱きついたのだった。




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