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第1章魏冄の悩み

魏冄は頭を悩ませていた。

秦は歴史的な不作であり、白起が戦を続けるための兵糧の捻出に苦労していたためである。


(全く。これじゃ休む暇も無いな)


そんな中、魏冄に新しい悩みが生じた。

戦に出ている白起の様子がおかしいというのである。

なんでも、白起は趙との戦の最中に捕らえた女性を愛人とし、自らの陣営に囲っているらしい。


(あの。自分に厳しい男が、戦の場に愛人を連れて行くか?)


それまでの白起を知る魏冄は、白起の情報を不思議に思った。

そして魏冄は最悪の事態を想定した。

それは白起が遂に壊れたという事である。

白起は戦の度にぼろぼろになっていた。

それが遂に限界に達したところを変な女に騙され、良いように操られてしまっても不思議は無い。


また、魏冄は白起に大した恋愛経験がなさそうな事も不安であった。

恋愛は時に人を大きく変え、堕落させる。

白起の様な、人間が本気で恋愛をし始めたらそれはまた恐ろしい事だと思った。

元々、心を開けばその人間に徹底的に尽くす男である。

だからこそ魏冄は白起を利用してここまで出世する事ができた。

しかし、今はその事が却って不安だった。

もし白起が本気で女性を愛し、その女性が野心家であったら、恐らくこの世界に最も恐ろしく強く、狂気に満ちた将軍が誕生するであろうから。


魏冄は居ても立っても居られず、部下に言った。

「ここは任せた。俺は趙に行く」


この行動は後に彼の首を絞めることとなる。

なぜなら范雎にこの隙を付かれ政権を奪われたためである。

しかし、仕方が無かったとも言える。

結局魏冄は王など見ていなかったのだ。

彼はいつの間にか白起の才能に魅了され、彼の夢をかなえ、彼の才能を生かす術ばかりを探していたのである。


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