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第3章朝

次の日の朝、私は目覚めると驚いた。

なんと、白起に抱きしめられていたのである。


私は驚いて言った。

「ちょっと。離して。」


しかし、白起に反応は無かった。

そこで私は白起が眠っている事に気づいた。

眠っているなら仕方が無い。

一緒に眠っている以上ねぼけて抱きしめてしまう事もありうることだ。

怒るようなことではない。


私は静かに白起の腕をほどき、寝台から起き上がった。

そして白起の顔を見た。

その寝顔は普段の白起からは想像も出来ないほどに安らかな顔だった。


「全く。いつも寝ていれば良いのに」


私はそのまま起き上がると、水で体を清め、服を着替えた。

そして白起の体を揺すっていった。

「もう朝ですよ。起きたらいかがですか。」

白起は私の声が聞こえたのか、ゆっくりと目を覚ました。


そしてしばらくは寝ぼけているのか、安らかな笑みを浮かべていたが目が覚めてくると驚いたような表情をして言った。

「俺は寝ていたのか」


私は白起が何に驚いているのか分からず言った。

「はい。さっきまでぐっすり眠っていましたよ」


すると白起は立ち上がると、私をにらみつけた。


「お前。俺に何かしただろう。何が目的だ」


私は突然の言われない非難に逆に腹が立って言った。

「何かするわけ無いじゃないですか。あなたを眠らせて私に一体何の得があるんですか」


白起は私の言葉を聞いて、冷静になったのか、反省した様子で言った。

「そうだな。すまない。変な事を言った。」


そして、不思議そうに言った。

「俺は、本来少しの音でも目覚めるほど眠りが浅いし、朝日が差し込んだらどんなに疲れていても、はっきりと目が覚めるんだがな。不思議な事もあるものだ」


私には白起が深く眠ってしまった理由が分かっていた。

なぜなら私も同じだったからだ。

つまり私が白起の存在に安心した事と同じ様に、白起も私の存在に安心したのだ。

勿論、その事を白起に言うつもりは無い。

でもなぜか私にはその事が凄く嬉しかった。


すると私の様子に気付き不審に思ったのか、白起が言った。

「何を笑っている。もしかしてお前が何かしたのか」


「別に。私は何もしてませんよ。ただあなたが勝手に眠っただけじゃないですか」

私は、白起に向かって笑顔でその様に答えたのだった。


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