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第5話「遅い。罰金」

「遅い。罰金」

 そう理不尽に言い渡された僕だったが、まず、異世界に来たばかりだから、この世界の通貨など持っているはずもないから、罰金なのなんの意味があるのだろうか?

 僕は頭を掻きながら、ため息を吐いた。だけど女神だからって納得のいかないことはあるだろう。

「おい、ミネルヴァ、シフトは早めに言ってくれよ。まして寝ているタイミングに時に言われても対応できないぜ。まさにブラック店主だな」


「?あなたは私が雇い入れたのだから、それに従えばいいのよ。んー。まあ、今回は最初だし罰金は半額で良いわ」


「それでも罰金は取るのかよ」


「あなたの給料から差し引いておくわ。足りなければ、あなたが前世で貯蓄してきたものから換金するわよ」


「そんなことできるのかよ」


「当り前よ。私は女神よ。なんだってできるわ。ぷークスクス。まあ、冗談はさておき、今日も元気よく働きなさい。あなたは今日からここの社員なのだから」

 元気のいい声が店内に響き渡った。今日からではなくて、昨日から働かされてたけどな。


 すると、僕の横から聞き慣れない声が聞こえてきた。


「やあ、君が定春くんか。ミネルヴァ店長から話は聞いているぞ。なんせ、エロテロリストらしいな君は」

 大きな声でニコニコとした笑顔で、身長が一九〇センチぐらいの背の高い、紫色の短髪の女性が声をかけて、掌を上に、僕を人差し指でさしてきた。


「……おいおい、人を指さすものじゃありません。……こら待て、ミネルヴァ、なんが間違った情報が流れているぞ」


 ミネルヴァがいた先を見たが、すでにその姿はなかった。

「ミネルヴァ店長なら、隣の部屋に行ったぞ。時間が来るまで開けないでと言っていた」


 くそったれ。都合が悪くなると居なくなるな。この女神が。本当にこいつは女神なのか、自分の事しか考えない邪神なのかとも思えてくる。こんな女神、信教する奴なんているのだろうか?


「そうだ。遅くなったが、私の名前はコニーだ。格闘家をやっている。暇なときはここで働いているが、基本そっち(格闘)がメインでやっている。住まいを借りるためにここで時間がある時に働いている感じかな。昼間の出勤が多いけどね」


そう丁寧に説明してくれた。僕も丁寧に説明せねばな。

「僕の名前は、山田定春です。ここに来たきっかけは……」


「女子と賜れることだろ。知ってるよ。君は毎日女のお尻を追いかけては、ハアハアと警察に捕まる事が生きがいの変質者なのだろう」


「おい待て、誰がそんな僕を陥れる情報を流した。僕は、童貞だ」


 コニーは目がきょとんと一瞬したが、口を緩ませながら、

「そうなん。君童貞なの。ふーんそうなんだ」そう笑われた気がした。悪かったな、この年で童貞で。


「お姉さんが教えてあげようか?うふふ」

 そう僕の身体に近づいてきた。待て待て、待ってくれよ。ここで僕の純白は奪われるのか。僕は口に溜まっていた唾をゴクリと飲んだ。腰に手をかけてくるのがわかる。ドキドキと胸の鼓動が速くなる。どうした僕、平常心、冷静になれ。僕はまだここでイク男ではないだろう。ダメだ。手つきがエロい。っく、くっころだぜ。まったく。


「ま、待ってくだっさい。そんなここでは」


「本当に童貞なのだな。冗談だよ。そこまで私は痴女ではないよ」

 いや目が本気だったよ。手に力が入ってたし、やられるかと不覚にも脳裏で想像してしまった。だけどなんだろう、この距離の近すぎる感じは。ミネルヴァのスキルのせいだろうか。


「ごめん、ごめん。代わりになんでも聞いていいよ」


「それじゃ今日のパンツの色は何色ですか?」


「今日は穿いてない」

やっぱり痴女だった。ただの露出狂じゃねーかよ。ここの住人は頭がおかしな奴らしかいないのだろうか。

話を変えよう。僕はため息を吐きながら、口を開けた。


「コニーさんは格闘家って言ってたのだけどどれぐらい強いんですか?」


 ただの疑問だったのだけど、つい気になった質問だった。だけど、思いのほか、コニーはこの場に黙り込んだ。そして悩んだ挙句、ボソリと口を開けた。


「……、スライムを素手で倒したよ。昨日」

 え?スライム、この世界にそんなモンスターみたいなやつ居るんだ。そう気分が上がっている僕をよそにコニーは続けた。


「魔王軍が管理しているスライムだったからとても強かったよ。途中、王冠を頭にかぶり、色が銀に変身したのだけど、私の空手チョップで一発だったよ。一発入れた時感じた、ぬるぬるとした感覚は今も身体の中をゾクゾクさせるね」

魔王軍?ラノベで言うところの敵だろうか?。まあ僕には関係がないところだけれども。


「それにしても痴女じゃねーかよ。結局そっちの話に戻るんかい」


「えへへ、それほどでも~」コニーは自分の頭を撫でながら、ニヤリと笑みを見せた。


「褒めてないです」

 そんな僕はツッコミを返したところで、女神の声が聞こえてきた。

「こら、サボるんじゃなーい。ちゃんと働きなさい」


「「はーい」」


 そう返事を返して誰もいない店内を見渡していた。ん?なんだこれは?こんなものあったっけ?

それはコンビニには似つかないものだった。パンのコーナーになぜ折れている剣がある?


 僕は不思議がっているところをコニーはニヤリと笑った。

「ふふん。この剣は魔王軍の、確か……、魔王軍第四幹部だったけ?、そこに刺さってあった剣をぶち抜いて持ってきたのよ。ミネルヴァ店長は聖剣エクスカリバーだったけ?そう言ってた気がするわ」


「なにそれ。それって伝説の剣じゃないのかよ?」


「そうらしいね。だけど今なら三〇〇ゼニーらしいわ。折れてるし。それに特典もついて、能力アップもするらしいわよ」


「もう僕の知っているコンビニじゃないな。え?それじゃ、他にも珍しいものはあるのです?」

 コニーが「ふふふ」と目をつぶりながら不敵な笑みを浮かべていた。

「そうね。魂と引き換えに願いを叶える悪魔の心臓ってのもあったわよ。私が魔王軍から奪い取ったものだけどね。ただ、悪魔が興味を示して買いに来てたけど、ミネルヴァ店長が速攻で処分してたわ」


「そんなものコンビニに売るんじゃねー」


「えへへ」

 頭を右手で撫でながら、笑みを見せてくる。なんて運なんだ、いや、そもそもこの世界はチート系アイテムが散乱しているのか。第一この世界は世紀末ってミネルヴァは言ってたし。しかし、悪魔の心臓で願いを叶えられるのか。まあミネルヴァの事だろう。ちゃんと処分はしたのだろう。


 すると突然、コニーがパチンと手をたたいた。


「それじゃ、定春くん、君には目の前のタバコの補充を頼もうかな。ミネルヴァ店長からは経験者って聞いたし。出すだけだから大丈夫だろう。私は後ろの飲料水の補充してるから、なにかあったら呼んでね」


「え?ちょっと、僕は何にも……」


「タバコの下にある棚に在庫を置いてあるからね。同じメーカーのを入れるんだよ。ハードとソフトってあるから、それだけ気を付けて」


そう大きな声で言うと、コニーは隣の部屋に入っていった。ハード、ソフトがある点は日本と一緒なのだな。僕は一息吐くと、レジの後ろにある棚を開けた。


「きたなすぎるだろうこれは……」


 タバコの種類関係なく、乱雑と管理されていた。女神ミネルヴァの性格が出ているのだろうか。頭を抱えるしかなかった。

こればっかりは勝手に配置を変えるのもな。うーん。新人の僕には同じものを置くしかないな。コニーに確認取ってから、配置変えてみようかな。

 僕はコニーがいる隣の部屋に入ろうとした瞬間、コンビニ周辺に地響きがした。そして男の声だろうか、大きな声が聞こえた。

「「コニーは居るか?ぶっ殺してやる。お前が持ち帰った剣をかえしてもらおうか」」


 僕の目の前には、銀の王冠を被ったスライムと全身が岩々しいゴーレムが店前で立っていた。


読んでいただき、ありがとうございます。次回も頑張ります^^

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