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あ、くまだ  作者: ペンネグラタン
45/47

最終章Bパートスタート

「今日もくまちゃんのおさげが可愛い」

「そんなこと言ってないで勉強」

「そうですよ、現実逃避なんてしている場合ではありません。眞子さんの進級がかかっているんですから」

 例によって例の如く、眞子さんの救命措置、別名勉強会とも言う、が開かれていました。

 眞子さんはあれだけ勉強会をやったというのに、今進級の危機に追い込まれているのです。

 次のテスト、やばい点数を採ったら、進級がやばいという話です。おい、今までの勉強会で貴女は何を学んできたんだ。

 美嘉さんは、まあいつものことだ、と達観していますが、テストのたびとなると……三学期制で、それぞれの学期に中間と期末のテストがありますから、年間で計六回の危機に陥っていることになります。

 中学がどんなだったかは知りませんが、毎回これだけの危機に陥るなら、何故学ばないのでしょう。

「あー、ええっと、初代内閣総理大臣は……伊藤博信(ひろのぶ)

「誰ですかそれ。初代百円札です」

「くまちゃん、更にわからない」

 怒って意地悪もしたくなるというものです。

「百円札は聖徳太子じゃなかったっけ?」

厩戸王(うまやどのおう)と呼んでください」

「……ウマヤドノオウ?」

「外国語じゃありませんからね!? 日本語ですからね!?」

 頭を抱えるレベル。近年では、聖徳太子というのは正しい名前ではなく、厩戸王と呼ぶのが一般的です。

 ちなみに、場所はなんと私の家です。はい、どうでもいいですね。

 学年末なので、教室が閉鎖されるのも早く、図書室の閉鎖も早いため、勉強場所に困った果てに、差し出がましいながらも私の家に来てはいかがかと誘った次第でございます。

 母は私が友達を連れてきたのを見て「白詰草(みつば)が友達を連れてくるなんて、天変地異の予兆だわ」なぞと言ってお祓いに行く準備をし始めたために私の回し蹴りをこめかみに食らうことになりました。お母さん、貴女のことは忘れません。

「こら、母親を勝手に殺さない」

 どこぞのショータくん悪魔がいなくなってからは、ツッコミは美嘉さんの担当です。

「やっぱり家では名前で呼ばれてるんだ……」

「眞子さん、ぐーとぱーどっちがいいですか?」

「殴る気配しかない!」

 そんなこんなで私の部屋に上げました。一年も友達やっていて、家に行かないというのも友達っぽくないですからね。いつか眞子さんや美嘉さんのおうちにもお邪魔したいものです。

 ちなみにその二。私のあのブラックで塗り潰したい名前を考えたのは母で、私が物心ついた頃、霊感があることが発覚したため、近くの神社でお祓いをしました。結果、全くお祓いの効果はありませんでしたが、そんなことより、母の放った「何がいけなかったのかしら? ……名前かしら?」というのが鮮明に耳に焼きついています。小学校の宿題で名付け親が発覚したときに覚えたての背負い投げをしたのも、今となってはいい思い出です。とりあえず、おまいうですよね。

「ねぇ、道に長いって書いてなんて読むの?」

「眞子さんほぼそれ答えです」

 藤原道長も読めないんですか。小学生でも読めますよ。

「っていうか伊藤博文はどうしたんですか」

「ほら、"ひろ"まで合ってた! "ひろ"まで合ってたじゃん!」

「いや、結局間違えてるんですから、何の意味もありませんからね?」

「くまちゃん厳しい。美嘉ー」

「頼るな」

「美嘉は冷たい!」

「生きてるけど」

「そういう意味じゃなくて」

 たまにボケる美嘉さんのスタイルは超然としていて憧れます。

「っていうか本当に眞子は日本史苦手ね。なのに文理選択は文系?」

「だって、数学とか理科の方が意味わかんないだもん」

「もんをつければ可愛くなると思ってるんじゃない」

「理科じゃなくて科学と呼んでください」

「そこ?」

 大事ですよ。科学を理科と呼ぶなんて、数学を算数と呼ぶようなものですからね。

 こんな感じで、今日も私のJKライフが消費されていきます。ちなみにその三。消費っていい言葉なんですからね? ほら、地産地消という言葉はいいですよね。



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