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あ、くまだ  作者: ペンネグラタン
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 友達と勉強会ができるなんて、夢のようです。中学までは独特なクラスメイトだらけでおさげのじみーは目立たないように目立たないようにしていたんですよね。名前はド派手というかヤバいきらきらなんですが。

 中学まではいじめが横行していたので、大変だったんですよね。きらきらネームの人が私以外にもいて、名前をネタに弄られないようにするの、大変だったんですから。

「人間って面倒だな」

 くまくんはそう言いますが、まあ、人間は基本的に面倒な生き物という初期設定なので、仕方ないと思います。さすがにクロちゃんは折れましたが。どこの黒猫ですか。

「黒猫が通ると不運が訪れるというな」

 突然不穏にしないでくれるかな? っていうか黒猫は場合によっては幸運の象徴だよ。

「黒猫に翻弄されて死んだ侍とかいるらしいな」

 うん、さりげなく歴史に持っていくね。くまくんは悪魔の割に日本史が好きなのかな。

「くまちゃーん、ここの答えはー?」

 冴木さんが聞いてきます。これはよくない傾向です。

「駄目ですよ。答えを求めるんじゃなくて、ちゃんと過程を考えないと」

「むー」

「くま、もっとやれ」

「せめてちゃんとかつけてくれるかな貴船さん」

 ちなみにですが、貴船さんは私より成績が上です。私を黄門様風に紹介していましたが、どちらかというと、貴船さんに対して頭が高いような気もします。

「貴船はタカオカミノカミがいるからな」

 誰が京都の神社の話をしたよ?

 というかくまくん、詳しいね。

「悪魔だからさ」

 うん、どっかの十九歳ウイスキーの方みたいに言わないでくれるかな?

「日本史とかめんどいー。暗記? 無理無理」

「日本史を暗記教科だと思っているのがそもそもの間違い」

「そうですよ、史実とかの流れで覚えるものです」

「流れとかいまいちわかんない」

「いい? 眞子。貴女はどうやって漫画やアニメのキャラクターの名前を覚えている?」

「ん、主人公ならよく呼ばれるし、それ以外だと周りから呼ばれるからいつの間にか覚えてるよ」

「それだ」

「これか」

 え、この会話でわかったんですか?

 確かにアニメや漫画のキャラクターはストーリーの流れやそれぞれが互いに呼び合う中で自然と覚えていくものですが……それを勉強に置き換えるとは、さすが貴船さん、学年トップレベルの知能は伊達じゃない。

「ニュータイプじゃなくて?」

 だからなんでくまくんは安易にロボットアニメに持って行こうとするんですか。危うくツッコミに声出すところでしたよ。

「別にエアー友達なんだからよくね?」

 エアー友達って認めるんですか。

「いや、ミトメタクナイ!」

 球型マスコットロボットみたいに言わないでくださいよ。しかも微妙にクオリティ高めないでください。というかクオリティ高いという私の評価にどや顔しないでください。ツッコミこらえているんですから!

 はあ、と一つ溜め息を吐くと、貴船さんが首を傾げます。

「くまちゃん? 疲れた? 疲れたでしょ、眞子が馬鹿すぎて」

「誰が馬鹿じゃい」

「眞子」

「誰が馬鹿じゃい」

「ワースト五」

「……ごめんなさい」

 阿吽の呼吸とはこのことを言うのでしょう。なんとなく羨ましいです。

 こういうほのぼのとした感じ、私の同級生にはなかったですからね。

「……そういえば、呪いみたいなのが貼りついてるな、お前」

 私主なのにお前呼ばわりなんですね。

「そんなことより」

 そんなことですか。

「お前も俺の呼び方スルーしただろ」

 ぐぬぬ。

「で、呪いみたいなやつのことだが」

 本当にスルーしましたよ、この悪魔め!

「事実だからな」

 ぐぬぬ。

「で、呪いみたいなやつのことだが、心当たりはあるな?」

 なんで思い当たる前提なんですか。

「思い当たるだろ?」

 思い当たりますが。

「こういう押し問答好きなの? 何なの?」

 別にくまくんとの対話を嫌だと思ったことはありませんが。

 そう告げると、くまくんは目を見開き、それから少し俯きます。なんだろう、と思って顔を覗き込むと、見るな! と拒否られました。ただ、ちゃんとその赤面はこの目に焼き付けましたよ。

「だあああああっ、消せ! 消せ! 今すぐその記憶を消去しろ」

 生憎私の脳はデジカメみたいにワンタッチ消去できるような便利な仕様ではございませんので。

 というか、くまくんでも赤面するんだね! 眼福眼福。

「お前やっぱしょたこ」

「あれ? くまちゃん、拳掲げてどうしたの?」

「いやぁ、蚊の気配がしたもので」

「くまちゃんって時々武士みたいなこと言うよね」

「そうでしょうか?」

 冴木さんの指摘に私は首を傾げます。くまくんのことを知られるわけにはいかないので、必要な嘘なのです。

 そんなくまくんは私に叩かれた鼻っ面を押さえて涙ぐんでいました。ざまぁみろ。

 赤らんだ鼻先が可愛いと思いましたが、私は断じて幼い男児の太ももぺろぺろとか気味の悪いことを言う人種の人間ではありませんから勘違いしないように。

 渋い顔をしながら私の隣に復活したくまくんがふと呟きました。

「ところで話題どこいった」

「あ」



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