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あ、くまだ  作者: ペンネグラタン
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 ええと、くまくん(名切先生命名)によると、同じ"あくまのぬいぐるみ"の怪奇でも、随分違う性質のものとしてくまくんは召喚されたらしいです。

「くまくんくまくん言わないでくれるか? 悪魔としての威厳がない」

 くまくんの苦言は華麗にスルー。というかくまのぬいぐるみの怪談なんだからもうくまくんでいいと思うな。

 と、ちょっと話が逸れましたね。ええと、くまくんがどんな悪魔かということでしたね。

 元々悪魔というものは魔力によって召喚されるものなのだそうです。魔力は人間なら誰もが持っており、というか、動植物さえも持っているため、案外お手軽に使える力なのだとか。ただ、人間が魔力の使い方を知らないのは、言語をバラバラにされたバベルの搭と同じ要領で、神様が人間に怒って魔力を使えないようにしたらしいんです。一体人間は魔力を使って何やらかしたんでしょうか。愚かなものです。

 ……まあ、罷り間違い、悪魔を召喚してしまった勘違い少女が言えたことじゃありませんがね。

 と、人間に魔力を使う知識はなくなったものの、西洋とかで黒魔術信仰があるのは、ありとあらゆる儀式を試した中で、偶然にも数個成功したものがあるらしいから、人間が図に乗っちゃっているというわけです。

 悪魔召喚に話を戻しますと、人間が魔力を込めて何らかの儀式を行うと、魔力に呼応した悪魔が召喚されるという仕組みなのだそうです。魔力というのは、人間が自在に操れない分、無意識下というので発動しやすいらしく、特に、怨念とかの負の感情が悪魔を呼び出す糧になるみたいですね。

 手芸調理部の怪談である"あくまのぬいぐるみ"のストーリーでもわかりますが、くまのぬいぐるみで悪魔召喚を行った裁縫ちゃんは確かめるまでもなく、親友ちゃんを憎んでいた。その憎しみという感情が魔力となってくまのぬいぐるみに降り注ぎ、悪魔召喚に成功したのだと考えられます。人間の執念って恐ろしいですね。

 しかし、くまくんが言っていた通り、今回の悪魔召喚は、通常のものとは異なります。まず、召喚した私には負の感情はありませんでした。ご存知の通り、何も起こらないと思って、ちょっとした好奇心をはたらかせて儀式を行っただけなのです。

 そして、最大の違いは、くまくんは()()()()()()()()()()()()()()ということです。

 では、何の力で召喚されたかというと。

 何度もお話ししているとは思いますが、私には霊感があります。幽霊や妖怪といった人ならざるものが見える体質です。くまくん曰く、そういう霊視能力を持つやつの何人かに一人が、強い霊力を持つそうです。

 お察しの方も多いかと思いますが……そうです、私はその何人かに一人の霊力持ちだったんです。

 つまり、くまくんは魔力ではなく、私の()()()()()()、召喚されたのです。

 魔力じゃなくて霊力で召喚されたくまくんは悪魔といっても、悪魔っぽい力をあまり行使できないらしいです。曰く、霊力は魔力と違い、淀みが存在しないからだそうで……

「結論、何もできないの?」

「早計にも程があるだろ」

 不思議の国には連れていってくれないらしいが。

「俺にできるのは、まあ、主となったお前の世話焼きくらいか。話し相手とか」

「あの、どっちも足りてます」

「召喚しといて失礼なやつだな!」

「もう周りにエアー友達病とか言われたくないんで」

 くまくんが善良な悪魔(悪魔が善良でどうすんだ)であることはわかりましたが、結局、くまくんは人ならざるものだから、霊視能力のない人には見えないんでしょう?

「うん、JKライフを満喫するのにエアー友達病はいらないんです」

「俺は友達じゃない。召喚主と召喚された者なんだから、どっちかというと、主従関係だな」

「駄目です私お殿様とか柄じゃありません!」

 くまくんが呆れたように溜め息を吐きます。

「お前が何をそんなに怖がっているのか、俺には到底理解できないが……そのJKライフとやらの支障にならない程度に俺を使えばいいんじゃねぇか?」

 私はくまくんの手を取りました。

「くまくんいい子!」

「変わり身早い」



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