廉価な命
「うりゃあ!」
エドンが最後の魔物を叩き斬った。猪の頭をした魔物、オークは血をまき散らしながら仰向けに倒れ、肩の辺りからギトギトしい血が垂れた。エドンは斧槍を構えたまま肩で息をする。
一行が迷宮の攻略を進めると、今まで荒い石の壁だったのが規則正しい石積みの壁に変わった。そして魔物達の襲来も激しさを増したのだ。
先ほどのオーク達は五匹ずつ一行を挟み撃ちにした。エドン、マーキー、カイドが後ろを、デュークと少年が前を受け持って迎撃した。迷宮内のオークは通常とは違い、やたらと腕が立った。まるで訓練された兵士のようであった。
エドンとカイドがオークの攻撃を受け止め、マーキーが後ろから援護射撃。鍔迫り合いをするオークの眉間に矢を撃ち、確実に仕留めた。そして前方の首尾は言うまでも無い。少年が構えるより早くデュークが剣を一閃し、オーク達の胴体を綺麗に分けたのだった。
「くそっ、急に数が増えやがった。どうなってんだ」
カイドはオークの死体を蹴り上げる。当たり前の様に反応が無く、蹴られてはその体をぶよんと揺らすだけであった。いきり立つカイドをエドンが宥める。
「そんなことしても仕方がねえ。無駄な体力使うだけだ」
エドンは鞄の中を探る。そして回復剤を飲もうと瓶の蓋をつまんだが途中で気が変わって瓶を再び鞄に入れた。何があるか分からない迷宮で無闇に回復剤を飲んでしまうのは良くないと言う考えが彼をそうさせた。節約である。
「進もう。止まっていたら幾らでも襲ってくるぞ。魔物は鼻が利くからな」
「んなもん分かってらあ! お前はボウガン持ってて良いよな。近づかなくて済むんだからよお!」
カイドは吠えた。だからなんだよ、とマーキーは思った。
「どうせお前はびびってんだろ。前衛を俺に押しつけてお前はのんびり撃ってりゃあ良いんだからなっ」
何でもかんでも、びびっているびびっていないと言う話にするカイドにマーキーは少し苛つく。
「そんなこと無いぜ。試してみるか?」
ボウガンの矢の先が丁度カイドの眉間に向けられた。カイドは思わず右足を後ろにやった。
「おうおうおうおう! やめとけ」
エドンが両手を振りながら二人の間に入る。マーキーはボウガンを降ろした。
暗く狭い環境、襲いかかる魔物で一行は苛つきがたまっている。特にカイドの態度は周りを苛つかせた。一部の若い男特有の喧嘩腰な態度はマーキーの目には幼稚に映った。そう、カイドは素人とほとんど変わりない。この迷宮の瘴気に当てられ、精神が不安定になっているのだ。玄人はどんな状況でも冷静でいられる。この場合、その点では玄人と素人の差が明確であった。
玄人は皆、自分の精神を落ち着ける方法を知っている。それは今の自分の様子、心境を余すこと無く認識することだ。そうやって自分を観察することでいつの間にか心に平穏が訪れるのだ。
険悪な雰囲気に包まれながら一行は歩き出す。どこからともなく魔物の鳴き声が聞こえているので早足で歩いた。立ち止まっているままだと心の中で焦りという火が燻り始めるのだ。
しばらく歩くと行き止まりに着く。しかし、ただの行き止まりでは無い。床に奇妙な模様が描かれている。謎めいた文字をふんだんに使い、幾つもの三角が組み合わさった模様だ。その模様は一定間隔で煌々と輝いてはその光を少しだけ弱めた。エドンはその光に奇妙な暖かさを覚えた。
一行はその模様の直前で立ち止まる。カイドはその模様を訝しげに見つめる。
「おい、どうせ罠だろ」
「違いますよカイドさん。これは転移魔方陣ですよ」
少年が得意げに答える。今までの憂鬱な表情はどこかへ飛んだらしい。自分の知識をひけらかすことに多少の嬉しさを感じているのかも知れない。
「は?」
カイドは、「でしゃばんな、ガキ」と言いかけたが直前で飲み込んだ。
少年の言葉を聞いたマーキーは首を二、三度かしげた。
「これ……。ううん……、なんかしっくりこねえ。転移の型ってこんなんだったっけ?」
マーキーは腕を組んで唸る。
数々の迷宮を突破したマーキーにとって、魔方陣を見分けることなど容易い。何百種類もある魔方陣を暗記しているからだ。マーキーの知識は下手な専門家よりは深い。
「……旧式の型」
デュークが呟いた。マーキーは少し驚いてデュークの方を見る。
「えっ? 知っているのか?」
マーキーは、自分の知識の外の事を知っているデュークに少しの引け目を感じた。罠や魔方陣の鑑定についてはかなりの自信を持ったのだが、デュークの方が一枚も二枚も上手かもしれない。やはり超一流だな、とマーキーは改めて認識した。
「……それも、かなり前の」
マーキーは、ほお……と長く頷く。マーキーの魔方陣図鑑に新たなページが作られた。
「で、何年前の?」
「さあな……」
デュークの説明はここまでであった。
エドンはその二人の会話を聞いていたが、よく分からなかった様子である。カイドも同様。
マーキーが時折、魔方陣の一部分を指さしながらデュークと話しているが、その話に一部も参加することが出来ない。
「しっかし、あんたガキのくせに詳しいんだな」
少年が「転移魔方陣」と言って見せたことにマーキーは感心した。
「え? いや、あ……うん。まあね」少年は頭を掻いて俯いた。「僕のお爺さんが詳しかったから……」
「お前の祖父はゾークの魔法使いか……」
デュークが横から話しかけた。
「ああ! うん。結構高位の魔法使いでした」
少年はデュークが怖いのか、俯いたまま目を見ないで答えた。
そのとき、ここから近い所で魔物のうめき声が上がった。やけに耳に残る声であった。今までのオークや狼とは質が違うと、一行は感じた。
「入るのか、入らないのか。決めないとあいつらの相手をする羽目になるぞ」
マーキーは親指で後ろを指す。そして「入らなかったら、入らなかったで戦うことになるんだけどな」と続けた。
「宝探しには危険が付きものよ。入っちゃおうじゃん」
マーキーがエドンを煽る。エドンは訳の分からない魔方陣を前にして自信を無くしている。さっきの幻惑の罠以降、迷宮の仕掛けに拒否反応が出ているのだ。
「いや、取り返しの……」
「おいおい! 仮にも冒険者だろ? 迷宮ってのはな、一種のギャンブルみたいなもんさ」
マーキーは弱気なエドンに食って掛かる。
迷宮の価値は、そこに隠された金銀財宝だけでは無い。迷宮の構造、出現する魔物、罠や魔方陣。これらと直面することで己の知識を深めることが出来る。そして同じく迷宮を攻める者にその情報を売ることで、迷宮での利益を余すこと無く得ることができるのだ。
そのため、上級の遺跡荒らしはわざと罠を作動させたりする。普通の人間からすれば危険極まりない、気を違えた行為であるが、その先にある利益は魅力的。もちろんその時点で人生の終了が決まることもある。マーキーは幾多もの死を乗り越えたことで、遺跡荒らし業界の頂点に君臨することが出来たのだ。遺跡荒らしは少しくらいは無謀でなくてはいけない。
マーキーは、二の足を踏むエドンに苛つきを感じていたのだった。
「過酷な環境に身を委ねて、揉まれて揉まれて得た宝に価値があるってもんよ。んじゃ、俺が先に魔方陣に乗ってやろうじゃん」
マーキーはエドンを押しのけた。既視感を覚える光景だ。カイドの顔が少し引きつる。
デュークを信頼しての行動である。自分は信頼している、と言う態度を取ることで、彼に気に入られる算段であった。
浪漫に溢れる男マーキーだが、計算もするのだ。
魔方陣に乗ったマーキーの姿が消えた。
魔物達の声が近づく。もうそこまで来ているようだ。
エドンは唸った。
「じゃあ、僕も行きます!」
少年は気合いの入った声と共に魔方陣の上で姿を消した。
エドンは汗を垂らした。魔物達の音がひしひしと近づいてくる。
エドンはデュークを見る。
二人は魔方陣に消えた。残りは三人。デュークが消えてしまったら、来るであろう魔物を二人で何とかしなければならない。エドンはデュークを睨んだ。
デュークはエドンが動かないと見ると、やはり魔方陣の上で消えてしまった。
残り二人。エドンとカイド。
通路の角にある蝋燭の明かりが魔物達の存在を確かにする。にちゃりにちゃり、と言う何とも気味が悪い音がエドンの心の中を撫で回した。
――う゛あ゛あ゛あ゛。
老婆の様に掠れた声にエドンは生気を抜かれそうになる。さっきまでの雑魚とは違う、確たる死の届け人達が嫌がらせの様にゆっくりと接近する。
「くそっ! こうなったら一か八かだ!」
エドンは弾かれた様に魔方陣に乗った。
残りはカイド一人。しかしまだ戸惑っている。
やはり魔方陣は罠で、向こうの四人はもう死んでいる。そういう考えがカイドの脳内に浮かび上がる。そうであれば、この魔方陣は乗れない。
しかし近くに居る魔物はどう処理するのか。今まさに角を曲がろうとしている存在が自分では勝てない魔物かもしれない。そうだとしたら自分は良い餌だ。
(――くそっ!)
カイドは剣を構えた。額の汗が頬を伝い、首筋を流れる。
ほの暗い通路の角から、ちらりと魔物の一部が見え隠れする。黒く、にょろりとした何か。
濃密な存在感。角の向こうに、ぎちぎちに詰め込まれた何かが潜んでいる。
その魔物は少しずつ角から姿を現す。カイドは唾を飲む。
ゆっくりとなぞる様に黒い影が動く。そのゆっくりな動きを見て、カイドは自分の体感時間が加速したと錯覚する。
そして、ついにその姿が蝋燭に照らされた。
カイドは総毛立つ。頭のてっぺんから足の小指までが硬直し、血走った目を剥く。
例えようがない。説明など出来るはずも無い。
無秩序的な体型、それは命ある者に対する冒涜か。体の所々に磯巾着の様な物がへばり付いており、その触手を好き放題にしている。そして色は黒く、不自然なほどに照りがあった。
通路全体を埋め尽くす巨体を前にカイドは嘔吐いた。
それが動くたびに、触れた床やら石やらが音を立てて溶け落ちる。
カイドの斜め後ろからネズミが飛び出す。そのネズミは魔物に近づくと、怖じ気づいて引き返そうとする。
魔物の体が波打った。もこもこと動きだし、一瞬にしてネズミを覆い尽くした。その鈍重な見た目にしては速い動きだから余計に気味が悪い。
肉を焼く様な音がする。異臭がカイドの鼻孔を通り抜け、気管へ。気管から肺へ。肺から全身へ隈無く循環する。まるで犯された女達の怨念が、全ての人間にその苦しみを分け与えているかの様である。
黒い体は少し透き通っており、捕食したネズミが見え隠れする。皮は溶け、臓物が滴る。もちろんネズミだけではない。大量のオーク、狼などの死体が魔物の体の中を循環している。濁った光の無い目。魔物達の残骸がカイドの前を、挨拶をして別れを惜しむかの様にゆっくりと横切っていった。
「あ……あはは、ひぃ! ひひ……」
カイドの腹がしくしくと動き、無理矢理笑いを作り出す。正常な思考能力は魔物の体内の残骸と一緒に溶けてしまったようだ。
恐怖も無い、逃げようという思考も無い。カイドにあるのは狂気、それだけである。そんなカイドが後ずさりをするという、生物本来の動きをするはずも無かった。
残骸達が流れる中に混じって、人間の顔であった物が流れてきた。それを見た時、カイドの精神は決壊した。泣いているのか笑っているのか分からない顔で魔物を見つめ、ひたすら声を上げ続ける。
皆が魔方陣に消え、取り残された空間でカイドの悲鳴が木霊した。しかしその悲鳴は誰の耳にも入ることは無い。
やかましい悲鳴を聞いた魔物はもう一度体を波立たせた。
そしてシュッ、と言う音を出してカイドを包み込んだ。カイドの突き刺す様な悲鳴は、ごぼごぼとした音に変わった。
誰も居なくなった通路で魔物は魔方陣に向かって動き出す。
一方、魔方陣の向こうのエドン達は一向に姿を現さないカイドに痺れを切らしていた。
「カイドの奴、遅えな。怖じ気づいたか?」
エドンは担いだ斧槍で肩を叩いている。マーキーは残り少ない葉巻を吸っている。
「なぁデューク。どうするよ」
マーキーの問いにデュークは答える。
「そろそろ動くべきだ……!」
マーキーの鼓動が早くなる。
(今のデュークの喋り方……。ひょっとしたら……)
マーキーは今のデュークの物言いに不安を感じた。今まで沈黙を保ち、ほとんど意見しなかったデュークが急かす様に答えたのだ
。これは何か大変なことが起ころうとしている。デュークほどの大物が警戒するということは、マーキー達にとって致命的な脅威が存在するということだ。
そのとき、マーキーは妙な音を聞いた。何か虫の様な物が蠢く音。微かであるがしっかりと聞こえている。そしてその音は徐々に大きくなる。正体不明の雑音が壁となってマーキーの方へ押し寄せているのだ。
デュークが、この音の主が大したことの無い魔物と判断したなら、そこまで警戒しないだろう。
炎の橋、選定の試練、迫り来る魔物。それらより遙かに危険。今までの苦難が子供のお遊びに過ぎないと言えるほどの危険。
マーキーは決意した。
「デューク……。頼む! 救ってくれとは言わない。だから、先導してくれ……! 今、存在する危険を回避するための道を……。これはあんたに対する正式な依頼だ!」
マーキーは今までの遊び人の様な態度ではなかった。デュークはマーキーの方を向いた。
「迷宮の宝を全て譲ろう。だから」
「おいちょっと待て!」
エドンがマーキーに噛みつく。
当たり前の事だ。宝を得る機会は皆均等に与えられていると言っても良い。
それをあたかもマーキーが手に入れる事を前提に話をされては困るのだ。エドンだって宝を欲しいと思っている。その思いは皆同じ。
しかし迷宮は過酷。だから皆で力を合わせ、宝を均等に分ける。これが普通、暗黙の了解。今のマーキーの言葉はそれを真っ向から否定するようなもの。違反、協定違反である。その事にエドンは激怒した。
「ふざけんなよ! こら。そんなこと言うなら、お前は今から敵だ! この場で殺しても良いんだぜ」
エドンの脅しにマーキーは落ち着いて言い返す。
「あんたは見誤っている。今俺たちが置かれている状況、そしてこの男の実力をな」
「はぁ? だから何なんだよ! 大体よ、宝全部こいつに譲るって……、自分勝手だろうが!」
マーキーは噛みつくエドンを無視してデュークに話しかける。
「頼む! 恥とかメンツとかそんな物は関係無い! 俺が生き延びたいがために……あんたに依頼するんだ! 少しでも生き延びることが出来るなら、全てを賭けてみたい」
迷宮の探索中に死ぬのならそれはマーキーにとって本望である。しかし助かる可能性があるのなら、それに全力を尽くす。どうせ死ぬなら、全力で抵抗してから死ぬ。これが使命を背負う者の義務である。
マーキーは自分の胸の内をぶちまけた。これは、デュークに依頼する人間の態度としては正解であった。しかし次にデュークの口から発せられた言葉はマーキーに絶望を与えた。
「残念だが、報酬が曖昧過ぎる……」
マーキーは言葉が出なかった。もう自分に望みは残されていない。後は謎の脅威に食い潰されるのみか。
(いや、まて……)
マーキーは持ち直した。何かあるはずだと。まだ希望が残っているかも知れない、と。
今のデュークの発言を脳内で繰り返す。
報酬が曖昧すぎる……。報酬が、曖昧……。マーキーに電流が走る。これだ、という風に。
デュークはただ断るだけで無く、きちんと助言を出してくれたのだとマーキーは直感する。
「分かった! 報酬は中央金庫に保管している俺の財産……。現金が二百六十億ルピー、その他美術品を合わせると五百億は超える! もしお前と一緒に生還することが出来たのなら、俺立ち会いの下、それらを好きにして良い」
「分かった……。それに応じよう」
ちなみに中央金庫の財産はマーキーの全財産では無い。
自分の命が救われるなら全財産を払っても安い物だ。しかしその必要が無いのなら、それはそれで良い。助けて貰うのに全財産を払うという決まりは無いのだから。つまり、儲け物である。遺跡荒らしは頭が回らないとやっていけないのだ。
デュークもその事は分かっている。中央金庫の財産はマーキーの全財産の一部であると言うことは。
五百億ルピーが遺跡の帝王の全財産ならば、それは安い。しかしデュークにとってはそれは関係の無いことだった。
そしてマーキーの財産のことを聞いたエドンは驚愕するのであった。
そんな金額は庶民どころか、一流の冒険者ですら手に入らない。そんな金額の取引が今ここで行われてしまったのだ。
そしてマーキーは大金を持っていながら、危険を冒してまで迷宮に潜っている。それは伊達や酔狂で遺跡荒らしをやっていないと言うことの証明であった。
しかしエドンはまだ強気であった。自分も二流の冒険では無い。デュークはともかく、マーキーとは対等に話せる。そう思っていた。
そしてマーキーに多額の財産があると言うことを聞いたエドンは、マーキーに対する攻め方を変えた。
「おい。おめえは今、金庫の報酬をこいつにやると言ったが、迷宮の宝はどう扱うんだ? まさか、全部こいつにやるとは言わねえよなぁ? そんだけたくさん報酬があったら、迷宮の宝なんかどうでも良くならねえか?」
「心配するなよ。皆で分配するんだろ?」
マーキーのその返答をエドンは待っていた。そこで畳み掛ける。
「おいおい! ふざけんなよ。お前さっき、宝はこいつに全部やるっていったよな? もう成り立たねえんだよ、皆で分配するなんて事はよお。なんせお前が全部否定しちまったんだからよお! まさか今更手のひらを返すなんてことねえよな?」
エドンはマーキーを指さした。マーキーはいつもの、ちゃらけた態度に戻った。
「ああ、あれか? あれは冗談だ。皆で力を合わせてるんだから、均等に分配するのは普通だろ?」
「ああん? 冗談が言い足りねえようだな。お前は迷宮の宝を放棄するって前提でこいつに依頼したんだろうが」
「したけど、ご存じの通り断られたよ。だから報酬の内容を変えたのさ。だから関係ないだろ? なぁ、デューク」
エドンとマーキーと少年の三つの視線がデュークに向く。
「……そういうことになる」
エドンは真っ赤になり、憤死する勢いで捲し立てた。
「ふっざけんなよ! 命助けて貰って、まだ宝が欲しいだあ? 欲張りも大概にしろよ! 屑があ!」
「おいおい、欲張りはあんただろ? 現に俺の揚げ足取って、俺の分の宝を貰おうとしてんじゃんか」
「き、さ、ま……」
エドンは肩に担いだ斧槍の柄を両手で握った。マーキーも身構える。そして怒りにまかせた一撃がマーキーに降り注ごうとする。
しかし斧槍の刃がエドンの頭上に来た時点で、何者かに弾かれた。いきなりのことで斧槍を落としてしまったエドンの動きが止まる。そしてゆっくりと振り返った。




