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序章

あるところに、とても美しいお姫様がいました。

顔立ちがよく、それはそれは麗しいお姫様でした。

そのお姫様は恥ずかしがりやなのか、滅多にお城の外へ

出ることはありませんでした。

それどころか、人と会うのも拒否してました。

お城の外に出るのは、何か大きなイベントがあるときだけ。

庶民の間では、イベント以外でお姫様を見れたら

何かいいことがある、という噂まで語られるほどでした。


そんな美しいお姫様がいる国の、隣の国。

そこには、とてもかっこいい王子様がいました。

顔は女の子みたいで、それに華奢でしたが

身体能力はとても高く、庶民にとても人気がある王子様でした。

そんな王子様は、隣の国のお姫様のことが好きでした。

しかし、お姫様は人と会うのを拒んでしまうので

なかなか話す機会がなく、王子様は悩んでいました。


そんなとき、王子様の耳に飛び込んできたのは

隣の国のお姫様が、悪者にさらわれたと言う

衝撃的なニュースでした。

しかし、同時にそれはチャンスでもありました。

お姫様を助け出せば、接するチャンスが増えるかも

しれないのです。

そこで、王子様は決心しました。

武器を持ち、持ち前の身体能力で

立ちはだかる魔物をどんどん倒して、お姫様をさらった

魔物のもとへと、着実に近づいていきました。


そして、お姫様をさらった、ボスとも言える

魔物のもとへ、王子様は辿り着きました。

大きな、魔物の館の最上階。そこに、魔物はいます。

王子様は、もうボロボロです。

しかし、お姫様を助けるために、王子様は立ち上がります。

大きな扉を勢いよく開けます。

「お姫様!!助けに来ました!!」

大声で叫びながら、急いで中に入ります。

しかし、そこに魔物の姿はありません。

よく見てみると、魔物は床に倒れているではありませんか。

そして、その前にはお姫様が仁王立ちで立っていました。

王子様は呆気にとられます。事情を聞こうと、お姫様へと近づきます。

「あ・・・あの・・・お姫様、これは一体・・・?」

お姫様は王子様に気がついて、振り返ります。

「え?ああ、私が倒したの。結構弱かったわよ」

お姫様の綺麗なドレスは、膝丈まで引きちぎられ

その下にはジャージが見えています。

「あー疲れた。・・・あ。助けに来てくれたの?

ならついでになんかおごってよ」

王子様は何が何だか分からずに、ただボーっとしていました。

「ドレス邪魔。脱いじゃおう」

すっかりジャージ姿になったお姫様を見て、王子様は落胆しました。

しかし、それでもお姫様のことは、嫌いにはなれませんでした。

むしろ前よりも、好きになったような気がします。

王子様はお姫様を喜んで送り、その途中で高級料理をご馳走しました。


お姫様がお城に籠っていた理由は、恥ずかしがりやなわけでもなく

人見知りなわけでもなかったのです。

その男勝りな性格のせいで、イメージダウンしないように

家族の者が、外に出るのを、人に会うのを禁止していたのです。

イベントがあるときは、一言も喋らないようにして

なんとか工夫を凝らし、その性格がばれないようにしていました。

そのおかげで、お姫様人気は今も健在です。

一方王子様は、お姫様の性格を知る数少ない他人として

お姫様と話す事を許されました。

王子様は、毎日のようにお姫様のお城へと通っています。

そのおかげで、少しお姫様にうざがられています。

それでも王子様は、満足でした。


王子様の気持ちは、まだお姫様には知られていません。

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