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今何か口走った気がする

この話はフィクションです。

(前略)や(中略)と書いてありますが、そこの内容は考えていません…。

長編にしようとしていたものを無理やり短編にまとめた名残が見つかるかもしれません…。

(前略)


 唐突だが私は普通な女子高生である。


いや、普通というのは普通じゃないと心理学の先生が言っていたから、一般的な女子高生であると言い直そう。

…意味が変わっていない?じゃあもう一般的じゃない女子高生でいいや。


何を言っているんだ、いい訳がないだろうが。


兎にも角にも、日常を正常に謳歌するノーマルな女の子であって、

どっかの小説みたいに勇者だとか戦いだとかとは縁が無い生活を送っている。

もちろん友人も準日本人。実は魔法少女!と期待しても、極めて残念ながらあり得ない。




ところで、あなたは日常とは何か考えたことはあるだろうか?


学校に行って、勉強して、弁当食って帰って寝る?

会社に行って、仕事をして、弁当食って帰って寝る?


そうやって私たちが過ごす毎日にも多くの変化があり、同じ内容の日というものは存在しないはずだ。


人には様々な考え方があり、考え方の違いによる個性がある。これは小説やゲームだけではない。


「自分の事は人にあれこれ言われたくない。」「規則は破るためにある!」だとか、

「何で協調性を持てないんだ!」「自分はこんな性格は認めない!」というのもその人の考え方であり、


「十人十色。それでバランスが取れてるのだからいいではないか」というのが私の考え方である。


またその考えを否定するのもいいと思う。考え方が違うのはごく普通なことだ。


考え方が違う人間同士が毎日コミュニケーションをとらなくてはいけない時代な訳で、何も起こらない方が逆に不自然極まりない。



話が長くなってしまったが、言いたいのはこれは私の普通な毎日を綴る普通のお話であるという事。

普通じゃねぇよ、だとか普通すぎ、だとか人によって思う所は色々だろうが。


それと、大切なのでもう一度言うが、魔物が出てきてドーン!とかは一切、欠片も、断片も存在しない。

だからといって、ラブラブカップルがアハハ!ウフフ!という話からは更にはるか遠い。

そこのところを了承して頂けたら幸いである。いや了承しなくてもいいのだが。



いや良くないか。





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梅雨というのは多くの人が嫌う季節だと思う。

中には自分は好きだ!という人もいるだろうが、比率で言うと嫌いな人の方がきっと多い。根拠は無い。


この晴れていてもじめじめとする、動くのも動かないのも億劫になる気候の中、

私は一時間かけて、更に倍じめじめする満員電車に振りまわされながら学校向かう。


とある農業高等学校、生産科フラワーデザイン専攻。それが私の所属だ。

フラワーデザインという桃色が似合いそうな専攻は名ばかりで、実際は土色。

それでも楽しい毎日で、この高校を選んだことを後悔した日は一度もない。


今日もまた土色かっ!と口走ることはあるが。


誰だ今、花が似合わないと言った奴は。言っていない?

これは地の文であり、実際はもっと女の子らしい口調だ。と弁解してみる。

女の子らしい子が中身まで女の子というのは間違いかもしれないということだな。


失礼。夢を壊しただろうか。



「ねぇ今日は大根に水っていつあげるー?…あ、おはよう!」


開口一番に、農高生活が見て取れる発言を言い放ってきた彼女はクラスメイトであり、同じ部活の友人だ。

名前を言う許可は得ていないからAさんとでも呼ぼうか。


いや、それはないな。電車 一両目と仮名を付けよう。愛称は一ちゃんで。

とりあえず、笑顔で話しかけられたら反射的に笑顔で返す人種なので、


「おはよう。朝に行こうと思ってるけど。なんか虫出てきたし。」


笑顔オプションで返しておく。

学生にはやや珍しい気がする、朝の聞きなれた会話。

教室に入ると至る所でこれに近い会話が聞こえてくるのが私のクラスである。


「捕殺?」

「うん、捕殺。」

「私もしなきゃなー」


そしてその会話は傍から聞いて怖いらしい。


こうして私の普通の毎日は始まる。



---------------------------------------------



恋愛。極めてめんどくさい響きだ。


おっと、乙女に有るまじき発言をしてしまった。





学校生活の話の前に、少し昔話をしようと思う。


私には幼馴染がいる。男だ。呼びにくいので幼馴 染と仮名を付けようか。

容姿は良し。そして頭も悪くは無い。

おっと感違いは禁物。芸能人並みの容姿とか人外離れした頭脳ではなく、一般高校生にしては上。というだけだ。


それでも何が良いのかモテるわけで、親しい私はやっかみを受ける。

よくある話だ。しょうもない。


知らない人に突然、「私の方が染を愛してるもん!」とかはよく言われた。

私の方がも何も、私の方は愛した覚えは無いぞ。


まぁ言われる分には全然気にせず、恋する乙女よ頑張りたまえ。と心の底から生温かく見守っていたのだが、

自分の身に危険が迫るなると話は別である。やはり命は大切だと思わないか?


自分の身に危険が迫るなんてどこのドラマだよ、と思っていたが、実際そういった恋愛がらみの事件は多々ある。

なぜこんな話をしているかと言うと、察しているかもしれないがそのドラマ的希少体験を経験しているからである。

その希少体験が現在進行形の私の学校生活を360°…いやそれでは元に戻ってしまうか。兎に角大きく変えたとだけ言っておこう。


スーパー帰りに違う学校の女子からお呼びがかかった。路地裏に。

落ち着いているように見えるが、過去の話だからである。私は一般的神経の持ち主だ。


「染に近づかないで!」


手に持つのはカッターナイフか包丁か。うす暗くてよく見えない上に、堂々と見る度胸は存在しないかった。自慢じゃないが基本的にビビりだ。

覚えているのは、取り合えずスーパー名がでかでかと書かれたビニール袋を地面に置いて、

両手をゆっくり上げながら、何処かに旅立ってしまった現実感が戻ってこないうちに、ちょい引き気味な笑顔を引き摺り出した事。


「私、別にあいつの事好きじゃないよ?」

「うるさい!嘘よ!」


そこを否定されても困る。なんの根拠だ。

彼女のヒステリック気味な声にあぁ、やばいかな?と現実感がマッハで帰宅して、どう言ったら好きじゃないと理解してもらえるだろうか。と考える余裕なんてあるはずが無く、多分頭が真っ白になったのだろうな。


「私、男なんだ。」

「は?」


彼女の聞き返した言葉ですぐに我に戻った。


今、何か口走った気がする。


時既に遅し。むしろ続けてしまえと間違った方向に防衛本能が道を進める。

もうどうにでもなれと投げやりにペラペラと嘘の言葉を放った。内容は悲しい事に今も記憶は鮮明だ。


「見た目はね、女でも心は男なんだってば。同性愛じゃないから男なんぞに興味無いし。」

「え?いや?あの…」

「俺は可愛い女の子が好きなんだよっ!ちくしょう悪いか!?」

「ひぃ…っ!!」


逆切れ風に叫んだ私に驚いたのか、はたまた自分の体に危険を感じたのか、包丁も荷物も全て落として逃げていく彼女の後ろ姿を哀愁漂わせつつ見送り、

置いたビニール袋を拾い、家に向かう駅へとため息を引き下げながら向かった。

女子の伝達力って凄いんだよなー。あぁ明日の学校が憂鬱だ。と思いながら。




翌日、一さんが私の顔を見るなり、親指を立ててあいさつ代わりに声を上げた。


「大丈夫!私は結構なんでも大丈夫だから!」


私はなんでも大丈夫じゃねぇから。



「一さん、それは思わず口走っただけであってね…」

「でも口走ったって事は本当の事ってことじゃないの?」


口走る

1 無意識のうちに話してしまう事

2 言ってはならないことを思わず言う事


どうやら私は日本語を間違えて覚えていたらしい。

…いやあらぬ事を口走ると言う気がする。

悩んでいると、一さんがそっと肩に手を置きほほ笑んだ。


「だからきっと男なんだよ、ね?」

「なぜそうなる」

「だからきっと男なんだよ、ね?」

「二回言う必要はないと思う」

「…ちっ」


お前は私に何を望んでいるんだ。




---------------------------------------------------


(中略)


とまぁ色々あったが、よくある話だ。


それからは本来男子に回される力作業が何故か、そう何故か私にも回ってくるようになったということで、

色々察しても貰えたら、クラスでの私の扱いもなんとなく想像がつくのではないだろうか。

それもまた、いや、それが私の私にとっての普通の毎日であり、生活だ。


普通とは何だろうか。

まぁ、普通だと思ったら自称でも何でも普通でいいと思う。


普通な日々に満足できたならとても幸せな事だと思うし、

満足できないなら、向上心があってそれもまた良いと思う。


アバウト。素晴らしい響きだ。

考え方で世界は変わる。

まぁ実際そんなうまくはいかないだろうが、いったら全てが丸く収まる気がする。多分。


なんだか話が大きくなってしまったが、ここで締めるとしよう。


最後まで付き合ってくれてありがとう。


ご閲覧ありがとうございました!


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