41.計画とワイワイと特別な関係
【主な登場人物】
僕 / 本名・志月 緒人。主人公。やや内向的で、妄想的。いたって普通の高校生男子。
篠上純夏 / 黒髪ロング。容姿端麗頭脳明晰。無表情・敬語・論理的な思考を持つが、ある日失われた時代の「恋愛と性に関する古い人間の本」に出会い、性的なことに異様な興味を抱く。
天乃天音 / ピンクのボブカット。明るく小悪魔っぽい性格で、主人公をよくからかってくるムードメーカー。その無邪気さと素直さが、逆に破壊力抜群。
花野ちとせ / ミルクティブラウンのふわふわウェーブ。何を言っても怒らず、ほんわか返してくれるその優しさに、気づけば心が溶かされていく。無自覚エロスで主人公を追い詰める。
御堂みこと / 金髪ハーフアップ。風紀委員として、制服の着こなしや問題行動を正す。と言っても、第六学園には風紀の乱れは無く、過剰に暴走気味。
白鷺ノナメ / 肩で揃えたネイビーブルーの片目隠し髪。緒人の隣の部屋の住人。学校では物静かで、話しても反応が薄い。自室から何やら声がするのだが……。
準備が一段落した頃、みんなは片付けを始めた。
「それじゃあ、明日も続きをやりましょう」
ちとせが提案する。
「買い出しは明後日にしましょう」
スケジュールを確認しながら言うみこと。
「楽しみ〜♡」
天音が荷物をまとめている。
「……頑張る」
ノナメも静かに頷いた。
みんなが帰り支度をする中、純夏が僕に近づいてきた。
「少し、お話しできませんか?」
その声は、他のみんなには聞こえないくらい小さい。
「うん」
「図書館で待っています」
そう言って、純夏は先に部屋を出て行った。
僕も適当な理由をつけて、数分後に図書館に向かった。
図書館の奥の席で、純夏が静かに座っていた。僕が近づくと、彼女は顔を上げた。
「お疲れさまでした」
「こちらこそ」
僕は純夏の向かいに座った。図書館は静かで、他に生徒の姿はほとんど見えない。
「昨日の夜のことを、まだ実感できずにいます」
純夏がぽつりと言った。
「僕も。でも、嘘じゃないよね」
「はい。でも、これからどう接すれば良いのでしょう?」
純夏の瞳に、不安と期待が混じっていた。
「急に変わる必要はないと思う。みんなの前では、今まで通りで良いんじゃないかな」
「そうですね。急に変わったら、みなさんを困惑させてしまいます」
純夏は安心したような表情を見せた。
「でも、2人でいる時は……」
そう言って、純夏はそっと手を差し出した。僕も自然に、その手を取った。
「この感覚、慣れません。でも、嫌ではありません」
純夏の手は少し冷たくて、でも次第に温かくなってきた。
「合宿では、また新しい発見があるかもしれませんね」
「そうだね。みんなでいる時間も、2人でいる時間も、どちらも大切にしたい」
「私も同じ気持ちです」
純夏は僕を見つめた。
「みなさんとの関係も、あなたとの関係も、どちらも大切です」
その言葉に、僕は安心した。純夏も僕と同じ気持ちでいてくれる。
「合宿で、また一緒に星を見ませんか?」
純夏がそっと提案した。
「もちろん」
僕の返事に、純夏は嬉しそうに微笑んだ。
「それまでに、この関係にも少し慣れておきたいですね」
「そうだね。少しずつ」
手を繋いだまま、僕たちはしばらく静かに座っていた。
特別になった関係への戸惑いと喜び、そして変わらない日常への愛着。
すべてが心地よく混じり合っていた。
なんとなく……僕は1人で寮の屋上に向かった。
夜空を見上げながら、最近の出来事を振り返っていた。
すべてが貴重な思い出になっている。
みんなとの関係も同じように大切だと、改めて確認していた。
純夏との恋愛関係と、他のみんなとの友情関係。どちらも僕にとって欠かせないものだった。
星空を見上げていると、昨夜の流星群を思い出した。
合宿では、きっとまた新しい発見がある。
みんなでいる時間を、もっと大切にしたい。
夏への期待感と、現在の関係への感謝の気持ちが、胸の中で静かに燃えていた。
風が頬を撫でていく。まだ初夏の涼しい風だけれど、その中に夏の予感が混じっている。
僕は最後にもう一度星空を見上げてから、屋上を後にした。




