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雨歌  作者: 雨宮雨霧
6/7

2025年6月短歌まとめ

2025年6月短歌まとめです。


人生の営業を今日終わります雨が濡らすは白い張り紙


お辞儀をし舞台袖へと消えていくまで鳴り止まぬ拍手の嵐


跪き姫君の目の中心を見つめ捧げた結婚指輪


マーモット絶叫してるミームなら見たことがあるツイ廃の俺


泣きながら生きる必要なんてない笑える日までそばに居るから


まだ知らぬ世界の先へ飛び込んだ花を描いて散りゆく人よ


廃盤になると噂を耳にして苦手な甘い思い出を買う


紫陽花の青が広がる梅雨の日に心がぎゅっと絞られていく


降り止まぬ窓の向こうにゆらゆらと揺れる光は雨に消される


雨上がり葉から零れる一滴の涙は土に還ってしまう


体調が優れぬときに漂った甘いバニラの匂いで死んだ


夜空散る花の煙もまた風情あり浮かぶ月覆い隠して


泣き方も忘れるくらい呆然と重なる罰は今に倒れる


生きる、死ぬ。一枚ずつを丁寧に抜いて占う世界の終わり


バミューダの海の底へと沈んでく見上げた空を見下げるように


情熱は忘れた頃に顔を出すヘドバンしてはなんか叫んだ


古ぼけた団地を覆う赤錆に今はもう無き声が聞こえる


願わくばあなたの咳を浴びたいとほんまにごめん引かんといてや


浮かぶのは君の笑顔と大粒の涙零れる月夜のベンチ


辛くない大丈夫だよ好きになれてよかったんだああよかったよ


この恋が報われないと思えないきっと消えない星になるから


文字化けを起こすくらいに難しいビャンビャン麺は多分書けない


人生の評価を決めるテストですそれでは答案配ります


遺されたノートを開き目を通す白紙の中の小さな好きに


眠すぎて頭回らずマジ卍ああもう空は透明になる


窓際に座り仰いだ団扇ゆれ夏の青さと入り混じりゆく


日を追って色を取り巻く紫陽花の姿に触れた梅雨の花びら


寄生して生きているのは僕もだし実質ロイコクロリディウムだ


産声をあげてよろこぶ親の背はいつしか自分よりも小さく


夏の夜冷たくなった窓に手を触れた世界は崩れ


約束を交わした日せいで死ねなくて「生きて会おう」と契った小指


スイッチを押してもつかぬ電球はぷつんと切れて命を終える


晴れるまで隣で歌を唄おうか笑って泣いて君は君だよ


アメリカでギターを弾くと飛び立った幼馴染は遠い存在


心にも寿命があった限界を迎えて選ぶ最後の砦


モードロック発振なんか強そう知らんけどググっても意味不や


僕よりも何億倍も努力して生きている君どうか元気で


段々と遠く離れていくけれどまた来年も祝えるように


十六夜の光差し込む窓際の近くに座り再会を待つ


閉じ込めた記憶はやはり消し去ってしまいたくなる午前零時に


地獄まで落ちる過程の実況を始めるのでね是非見逃して


退屈を覚える隙も与えない自由なねこのしっぽがゆれる


調べたら胸がデカくて美人だな以上私の感想でした


最後の最後のさよならをするまで繋いだ糸は絡まったまま


本当に見たんだってばUFOを電気が反射しただけだって?


リアリティのない現実を生きていく世界はどうも白黒思考


散っていく入浴剤をかき混ぜて味方は疾うに消えたと知った


パンくずを散りばめ鳩の群がりを蹴散らすように糾弾をする


旗を振る応援団に憧れて夢ばかり見る炎天の下


唐揚げにレモンをかける禁忌とか犯してなんぼそう云う彼氏


竹とんぼ青空を越え雨打たれ幾つの目にも触れずに落ちる


指先に残る埃を吹き飛ばす偶然よそい現れし義母


エクセルを使いこなせずシゴデキに一生なれぬ低能な僕


気をつけて行ってらっしゃい手を振って命を花に変えた貴方に


悲しんでくれても私もういくね最後に会えてうれしかったよ


窓際で夜風に当たり散りばめた星は砕けて雨となりゆく


逆光になった写真を見返せばなぜかそこには天使が笑う


カーテンを開ければ雨の音がする重い体と土に還れば


ミニトマト降り注ぐ雨濡れていく紫陽花の葉と寂れた団地


余裕持ち行動してるはずなのに気付けばいつもギリギリになる


一生を共に過ごせることはなく朝からLOML聞いては想う


筆先を和紙になでては水彩の淡い青色じわりと滲む


蒸し暑くそれでも冷える梅雨の時期どれを着ようが正解がない


仲のいい姉妹のふりをするだけで親から駄賃もらえるこども


そうやって簡単に夢諦めてろくでなしへと進化するのね


分かってた。貴方が来ないことくらい行けたら行くを未読無視する


吐く息の白さに触れた指先は蝕むように世を凍らして


頭に葉顔にはお面あと人を騙す心を持てば完璧


しなやかに針を進ませゆく君の白い指先いつしか虜


群がりを避けて一匹狼になったあなたとふたりぼっちに


ひっそりと古城で暮らす一匹の狼は世を静かに去った


大切なお知らせの無機質さとか嫌だしなんで予感があたる


雨色に染まったカーディガンを着て霧の中へと彷徨う命


演技だけ得意になった学生はいい子のフリをし続けたとか


すっぴんでボロボロなのに見渡せば辺り一面花が咲いてる


こうすれば解ける人生がよかった悩みのタネに水を振りまく


民宿で出会った友は妖怪であったと知った三十の夏


びっしりと書かれた文字を読み進め涙の跡の残る便箋


自転車で坂を下れば麓まで行けると信じ虹を渡った


雨の日に足を滑らせ盛大に転んで煽る足元注意


死んじゃえばよかったのかな?この海に沈んでいった僕の心臓


閉じ込めた想いは花に咲き変わるツタの絡んだ引き出しの中


君らしい決めたら最後までやって知らないうちに追い込んでいる


本当に終わったのだと泣いていたあの日は僕を弱くしたんだ


ねぇ、笑って。涙を拭う指先が離れるときが来たということ


またひとつ歳を重ねる幸せを感じるようになれたら大人


鉄塔は濃霧に飲まれもう見えず世界は海に沈んでいった


戯言を頷きながら聞いている「好きだよ」なんて嘘ばっかりね


化石へと時間をかけて変わってく想いはずっと変わらぬままで


種を蒔き涙の降った次の日の芽吹いた花はふたつでひとつ


帰省する君を見送りからっぽの部屋で熱唱する三日間


幽霊になって初めて飛んだ空花束を置き蹲る君


青空に映るラムネの栓を開け無数の泡は花びらとなる


梅雨晴に肩を落として閉め切った部屋と煙草と泣いた風鈴


窓際に立って下ろした目の先に蜘蛛がひょっこりこんにちはする


オワコンと思えばそこで廃れるよ人生そんなものでいいのか


さようならこれで最期を迎えます橋桁に立ち星を描いた


運は尽き縁はチョキっと刃を入れてひとりになった私は身軽


車窓から見える景色はあの頃の緑はなくて開拓される


平成で時の止まったショッピングモールを歩く独りの少女


父じゃない母の彼氏だそんなこと言えるわけない笑って過ごす


最期まで覚えていたよじゃあまたね。君の幸せ願っておくよ


街灯の下を流れる霧と雨飛び交う虫を見下ろす私


たすけてよ。なんて言っても居ないんじゃ仕方がないね明日は雨だ


先人の知恵と努力が目の前にあるのに僕は遺跡でもない


焦点を定めて引いた引き金と苦ばかり残る薬莢の中


買われてはまた売られての繰り返し「キミは私を愛してくれる?」


コンビニに吸い寄せられる夏の虫夜風に当たるアイスキャンディー


もし明日地球が終わるとするならば最期は君と迎えたかった


灰皿に押し付けて消す煙草の火火傷の痕はここに一生


瀬戸内の海を眺めて過ぎていく近くて遠いあのさざ波に


霧の中ぼんやり光る小児科の明かりはどこかほっとする味


大好きと耳打ちをする勇気なくこっそり君の手を取り繋ぐ


ああそっか明日からもう会えなくて君の隣は僕じゃないんだ


目を閉じて転がりながら夢を見る星が繋いだあの物語


公園で拾った枝を帰るまで肌身離さず手にして捨てる


そういつも通りに洗うだけなのにやけに今日だけ目に染みていく


この夏の青のどこかで逢えるならレースに透ける風鈴の声


湖に現れし歌姫の髪飾りは今も生き続けてる


大丈夫。信じ込んでは飲み込んだ弱さは強さ強さは弱さ


目の前に浮かんだ君はあのときと同じ顔して傍に座った


もらうだけもらっておいたやさしさを返せずに今なかったことへ


泡沫の如く散りゆく青春はキャップを開けたサイダーになる


雨の日の美術館へと足伸ばす芸術になる雨音の夢


胎動が手に伝わってきらきらと兄になる子の目に星が降る


星屑のようにガラスは砕け散り滲む想いは空へと還る


何年も花壇は放置されている愛を知らないシランの花よ


制服とともにジャージを閉じ込めた二度と開かぬ段ボール箱


あと一歩踏み出せばもう楽になる脳裏に浮かぶ姿は遠い


綴られた拙い文を綴じながら過去の軌跡を未来に繋ぐ


ほんのりとこころをゆらす言の葉は青空を舞う粉雪のよう


きりんさん、首が長いと世の中の悪事も全部見えるものなの?


砂浜を駆けて転んで笑い合う見上げた星の眩さに触れ


青空の映る窓から飛び降りた雲に座って流れる時を


6/21波の打つ音を聴いては目を閉じて頬を伝った海水の味


触れられず埋もれて消える言の葉を千切ってしまうポケットの中


遠くまで行きたくなったそれだけよ貴方の居ない世界に出向く


雄叫びとともに響いた蝉の声静まり返る蛍の光


不器用な君が握ったおにぎりを頬張りながら笑う団欒 


君になら吸われたいけど虫だけは嫌だと思う変態思考


砂浜をてくてく歩く蟹さんと並走しだす麦わら帽子


夏至が過ぎこれから冬がやってくるその前にこの灼熱に伏す


縁側に腰掛け月の光降るうさぎは時に腰を痛める


人情に厚い貴方と薄い僕物語る背に引き寄せられる


蝉の鳴く桜並木に生い茂る緑はときに陰口を利く


湿っぽい風が心を乱しゆく今日も明日も雨予報だと


真ん中の痛む部分を取り除きからっぽになる心の隙間


死ぬなって云いそうなのに云わないし最後を決めるのは僕らしい


雨の音滴り落ちる恋の音委ねる身体交わす唇


雷の余韻に浸りお茶漬けをすする朝方まだ寝たかった


スイカ割り想い弾けるあの記憶残したフィルムカメラを箱に


UFOに吸い込まれたら真っ暗な海の底でも息をするのに


人並みになりたい僕が諦めた夢は百年経っても朽ちぬ


卵焼き必ず入れたお弁当安心感の増した遠足


雨の降る隙間に青が覗いてる澄んだ空気と降り立つ私


浴衣着た君に心臓ロックオン夜空に咲いた花を飾りに


失恋も恋をしたのも勝手だねだから遠くへ綿毛を飛ばす


何回も季節は巡り去っていく出会いと別れ永遠に続いて


妄想は夏の匂いを放ちゆくアスファルトから幻覚となる


向日葵の咲いた空き地に流れゆく涙のような白い嘘たち


公園の芝生に落ちた花ザクロ集めて忘れ風に吹かれる


この恋を解くにはいくつ人生をやり直してもクラゲと溶ける


淡い青波打つ音が似合う君湖になる隠した涙


透き通る夏の青へと染まりゆく澄んだ空気の冬に命を


おでん屋の提灯の灯に寄せられて口いっぱいに広がる涙


冷え切った麦茶を口に流し込むコップにあたる三つの氷


胸に抱く君は軽くてもう居ない骨だけなんてあっけないもの


夢の中くらい平和に生きたくて叫んだ声は銃声になる


虫の音の響く夜中に灯される怖さは胸を掻き混ぜていく


前髪をわざと伸ばして目を隠すコンクリに咲く雑草の花


網を持ち走り回って出くわしたどうも虚像であるカブトムシ


守るには弱すぎたんだ目の前に息を漏らして閉じゆく瞳


陰謀に振り回されて生きていく人を見ながら毒を散らした


この狭い世界は青くまた黒く脳裏に浮かぶやわらかな髪


紅色のリップを塗って長い夜街へ出かけて愛想笑いを


透き通る青の向こうに映る影ラムネの伝う甘い唇


英雄になれても事実捻じ曲げて嘘が次第に真実になる


笹の葉に吊るしたキミの願い事星の間を抜けてはじける


首を振ることすらやめた扇風機日に日に増える壊れた時計


指先が歪む視界に映り込む壊れ散らばる記憶の欠片


うしろから掠れる声が背を撫でる拭った先に見えた星空


後ろ手に閉めた扉の向こう側乱れる息を間近に感じ


なれぬこと月夜はとうに知っていた無数の星は一番でない


元気かも今の私が知ることは叶わず時は確かに進む


口紅を塗り重ねては向き合った鏡の奥に笑うあの子と


おめでとう拍手とともに消えていく蝋燭の火は宙に舞いゆく


2025年6月計183首

2025年計1246首


自選短歌月5首

人生の営業を今日終わります雨が濡らすは白い張り紙

浮かぶのは君の笑顔と大粒の涙零れる月夜のベンチ

ああそっか明日からもう会えなくて君の隣は僕じゃないんだ

この夏の青のどこかで逢えるならレースに透ける風鈴の声

なれぬこと月夜はとうに知っていた無数の星は一番でない

こんにちは、雨宮雨霧です。

いつから世界はこんなに暑くなったのか、と暑さに悶絶しています。

梅雨が好きな雨宮ですが梅雨が明けてしまってちょっともう。

それにもう1年の半分が過ぎたと聞いて泡を吹いて倒れるかと思いました。

厳しい暑さが続きますが、どうぞご自愛ください。

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