2026年6月短歌まとめ
2026年6月短歌まとめです。
おいくらか外に貼られたメニュー表踵を返しおうちカフェする
透明なグラスの向こうあの子にはそんな笑顔をあげられるんだ
時間割通りに入れた教科書を何度確認しても足りない
瞬間を切り取る写真見返してみる夜だけはやけに静かで
お昼寝の後に痺れるこの腕は床へと落ちた枕の代理
落としたのそれがなにかも分からない遠い過去にはこの手にあった
紫陽花は日々成長を続けてるなのに私は背中に布団
雨の降る前の暗さと曇空湿気ばかりの空気を頬に
玄関に置かれたかばん準備だけ早く済ませる日常の隅
海底の潜水艦を見た者は誰も居なくて淘汰されゆく
今からじゃ間に合うものはきっとない向いてないんだ人間なんて
路地裏のゴミ箱だけは友達になってくれたの夜に溺れる
雨だけを浴びて静かに生きたいと窓の縁から乗り出す身体
望むなら死んであげます空っぽの頭ではもう埒が明かない
いつまでも同じ夢だけもっていることはできない大人の道は
いい夢をみてねおやすみ撫でながら過ぎる月夜のやわらかい髪
大切なシール帳からくれた子の優しさ想う夏の青空
ポンコツであるからこその事柄は考えるほど抜け落ちるネジ
台風になぎ倒されるいつまでも居座る棚の運命は如何
もう話すことはないから好きにして選ぶ言葉はどれも間違い
なにもかも吹き飛んでいくこの夜が明けるだなんて信じられない
泥棒に入られました感情も心も全て奪われていて
国宝になってほしいと思うほどもらった花は今も枯れずに
砕かれたアーモンドだよこの空に紛れるなんて自分は嫌だ
虫の飛ぶ季節になっていく今も気付けば凍りつきそうになる
青春を思い出せない唯一のなにかがあったはずなんだけど
降り注ぐ雨をこの身に受けながら海への道を無為に歩くの
梅雨入りを嬉しく思う今がある今年も死ねずまた巡るんだ
蛇よりも凶暴みたいこの腕に絡みつくのは明日の希望
好きだって証明してよ泣き叫ぶ君を抱きしめ答えを探す
濁らせた言葉は棘のある花に変わりちくりと心に刺さる
文を書く文字はかすれて心から想うことでも声にならない
この広い地球のなかで巡り合い恋を知ったのおかしな話
紫陽花の彩るテレビ台を目に夜中の声とぼやけた視界
誰よりも好きだと言って雨の降ることに気付かず過ぎるおもいで
小さくてそれでもここに生きていて命は重くそして儚い
なぜだろうこんな予感は的中し他はだんまり六月六日
掃除してペアのカップも捨てていく自分の意志を崩さぬように
ほしいもの君の血肉なんて嘘こぼれるほどの愛をちょうだい
死にたいを頭ごなしに否定する人の気持ちも怒りに変わる
憧れの人は女神に匹敵し一生をかけ追いたい背中
人間と思われてないそう思うほどの言葉がこの身に刺さる
ふわふわと漂うくらげ旅をする小瓶は波にのまれて沈む
現金もクレカも持っていないので勧誘しても無駄なだけです
体育の赤白帽を折り曲げてウルトラマンに変身しだす
告白ができるくらいの関係にどう足掻いてもなれず友達
公園も雨に染まってぼんやりと霧の向こうのブランコは揺れ
人生を踏み潰されるくらいなら自分ひとりで進むしかない
最初から諦めているそうすればああやっぱりで済ませられるし
契られた想いを抱え生きること針千本の重みを負って
別れよう私あなたの元カノを愛しているの揺れる白百合
そうピアス開けたの君は笑ってるなんであの子とお揃いなのよ
椅子を引き腰をかけても落ち着かず心ばかりが焦って止まず
この家にルンバが走ることはない埋もれた床を踏みつける人
うぐいすの鳴く声すらも子守唄あまりにねむい仲夏の昼間
移ろっていくのは季節だけじゃない想いも人も次第に薄れ
毎日が有給みたいでも最後外に出たのはいつだったのか
公園のベンチにひとり光っては消える煙草の夢物語
憂鬱を越して死にたくなるほどのプールの授業溺れるばかり
一パック百円だった時代には戻らぬ卵未来は暗い
操ってくださいどうか心臓の流れる色は僕に見えない
生きていることをやめたい夜ばかりもう遅いんだ潰える未来
こんなにも長く生きると思ってもみなかったから進めない道
綿菓子のような空気に包まれて雨降る夜の海辺に帰る
雨の降る日の湿気には驚きを隠せずに居るしわくちゃの紙
安らぎを求めて眠る雑踏に揉まれて死んだ今日の心身
やることに追われてなにも手につかず時間ばかりが過ぎる平日
進めない道も見えない立ち止まり形を変える雲の流れに
もうなにもしたくないって寝転んで見上げる白い天井の隅
行きたくもないし生きたくないけれど一秒が過ぎ終える一日
悔しさが成長させる失敗をするのが人でハリボテじゃない
撫でてみる子猫の命これからの道はどれほど綺麗だろうね
雨の降る海に這い出す夜のこと傘も差さずに滴る粒は
透明になってみたいの人ひとり消えたところで変わらない君
風吹けば名無しになった十五の日コミュ障なのはネットも同じ
分からない生きる理由も価値もない間違えていた生まれたことが
気が付けば見える景色は移ろってかける言葉も別人みたい
蹴りながら帰る夕暮れ側溝に落ちれば石のことも忘れる
ペンを取り書き込んでいくカレンダー明日のことも分からないのに
エアコンの季節になっていることを知らせる雲の眩さに目を
宇宙から見下げてみればちっぽけな悩みに変わるなんて嘘つき
恋人だ結婚だとか分からないお幸せにと言うだけ無駄か
あまりにも空が青くて嫌になる山の向こうの入道雲も
この腕も心も傷でできている掠れた声を思い出せない
起きているかも分からない状態で塗る化粧水開けたままにし
夏が来たことを表す冷凍庫空の青さを映す結晶
充電を先延ばしにしついにあと二パーセントの命になった
閉店し一年経ったケーキ屋の跡地にできた不動産屋に
親切がなにか分からずあたふたと彷徨っている抜けた魂
組み立てる途中で切れた手の首は心のように痛くもなくて
階段を上がる音すら聞こえない静かになった団地の暮らし
くらませた行方を探す人はもう僕には居ない水面の光る
たんぽぽの綿毛のようなポメを見る朝の散歩の幸せなとき
繊維から検出されるもの次第嘘をつくのは今だけの趣味
外国と言えばアメリカまだ知らぬ広い世界で起きていること
後悔に苛まれるは航海のさながらという離れる大地
こんな日に死にたいなんて思ってもきっと明日も空を見ている
生き延びたからこそ巡り逢えたんだ後悔なんてするべきじゃない
窓を開け夜風に当たる深夜二時静まる町に降る月明かり
小悪魔のようなあなたの手を引いたその顔だけは私のものと
虚しさに閉じ込められるドアもなく道すら見えずただ独りだけ
Tシャツを畳んで仕舞うこの夜もいつかは変わり時計は止まる
今年こそ暑さに負けてしまいそう雲の隙間に覗く青空
たまにでも見返してみて過ぎ去っていく夏を切り取った一枚
固執して人と比べていた過去を見捨てることはできないけれど
指先が少し触れれば割れていくこの世はガラス君の唇
いいことがあったわけでもないくせにスキップをして帰る坂道
他人事と考えていた熊さんは南下しだしてついに現る
リモコンが見つかりませんひとりでに出て行ったんだじゃあ仕方ない
夢の中無重力かのような気がするのは足が地につかぬため
馬鹿らしいだって周りはこんなにも頑張ってるのに自分はどうだ
あの人のようになりたいそれだけのことだったのに壊れた命
なにもかも手繰り寄せればいいだろう紐で繋いだ物を布団に
もちもちの頬をつついて遊ぶ夜疲れもなにもかもを消し去り
ローションを床にぶちまけ呆然と立てば滑って尻もちをつく
放浪をしているうちに辿り着く砂漠と化した夢の狭間に
繋がれた手を振り払う勇気すらどこかに置いて忘れたらしい
人生の延長線と言い聞かせ布団に入る真夜中の夏
望んでも手に入らないものばかり人と比べることをやめたい
青空を覆う雨雲数分もすれば湿った風が過ぎゆく
熊さんといずれ立場が逆転し従えられる日も近いのか
手こずって左右を逆にはめていることも気付かず軍手の余る
ふと意味を理解した気になる夏の夜に響いた歌詞は途切れて
続いてはくれないもので積み上がる鍋と食器に滴る雫
いくら寝て夢を見ようと取れやせず蓄積中の疲れもいつか
もうなにもできずに終わるそんな気が少しくらいは返したかった
会いたいに混ざる言葉を飲み込んで疲れ知らずの仮面を被る
逆さまに吊ったてるてる坊主くん中止どころか快晴の朝
ほぼ無心食らうチュロスの甘いこと夢から覚めた明日は知らず
声は出ず静まり返る教室の瞳の数が浴びせるなにか
飛び散った鯛の鱗はきらきらと光を返し居場所を伝う
目に焼いた後ろ姿を思い出す夏の宵から紡がれる時
疲れたとこぼす真夜中特別である必要もないと言えども
浅瀬から次第に深くなっていく雨降る夜の海の足跡
カチューシャをつける機会もなくなって今は鏡の飾りの一部
読んだことないのになぜかタイトルであれだと分かる不思議な宵に
よれよれになったTシャツ気にもせずいつも通りに着て過ごす夏
解決はしないのでしょう難問と言わざるを得ぬ地球の隙間
雨の日の部屋があまりに海底のような湿度を纏って泳ぐ
眠たさをこらえきれずに突っ伏した雨のお昼間葉から零れる
海に居るような湿度に雨催い息をする度溺れる鼓動
そら豆の布団がほしい空想は忘れるまでの憩いの場所さ
目が合ったマトリョーシカを手に取って埃を拭う雨模様の日
すやすやと眠るこどもはよだれにも気付かず夢を描いて遊ぶ
充電が切れると知らすパソコンを無視する夜の愚かな自分
大雨があったことすら忘れさせ青にかかった雲の涼しさ
見失う自分らしさというものを頑張ったって言えなきゃ意味は
雨の降る外を素足で歩く日のような自由を欲する孤独
磯辺揚げカレーうどんが出る日だけ待ち遠しいと思う給食
読み返す手紙の文は幼くてそれでも生きて渡せないまま
探検と称し祖父母の家中を周り見つけるブラウン管を
砂浜を歩き回っていく蟹と距離を取りつつ観察する子
洗濯を干しながら日を追うごとに深まる山の緑にふける
冷え切った体を起こす夏の朝一週間の長さに眩む
株高を狙って過ごす日曜日腐ったカブを周りに置いて
凄いから何だって言う頑張りも努力もなにも知らないくせに
唯一の信用を置く先生は憧れであり忘れたくない
行き先も決めずに続く道筋をふらりと歩く小雨の降る日
誤って指を挟んだホッチキス何もなかったように抜き取る
腫れ物か当たり障りのないように扱われてもなくなる言葉
ある意味で息のしやすい環境である意味仲間意識がここに
持ち主をいつまでも待つ傘立てに置いて行かれて何日だろう
雨に濡れ重く負担となるデニム次第に冷える足元と夢
シャンプーの香り漂う君の髪同じ匂いを見つけても去る
未確認それがロマンであるならば好意に気付くことなき君も
雨の降る冷たい窓の外眺め凍てつくような視界を覆う
梅雨寒に一つ光を灯すよう羽織る黄色のやわらかいこと
微睡んで過ごす雨の日侵食と言わざるを得ぬほどに冷たく
余り物これもご縁と思い込み貪る夜の激しい痛み
広告を見てもスルーを決めるヨガ動きたくない感情が勝つ
言い訳を考える度叶わないことを望んでいるような気が
山が北海が南と教わって生きております方向音痴
百合を書く百合を読み込む幸せというものに満ち明日も生きる
選択が正しかったと胸を張ることはできないタラレバの道
いつまでも一緒だなんて叶わないならば一匹狼でいい
いくら寝て時が経とうと回復を実感できず今日も馬車馬
筋トレもせず運動もしない日々たるむ身体と布団は同士
塩辛い涙ではなくかといって甘くもないし見失うもの
稲妻の走る瞬間窓は揺れ別れを告げる一つのメール
さよならも言えずに別れ後悔と違うなにかは時が経とうと
雪ぐため命をかける弁明と擁護ではなくただ残すこと
青空を忘れるように雨の降る藤棚に座し仰ぐ苦しみ
このカビも私と何ら変わりなく水を欲して生きようとする
あの日々は物語などではなくて存在してるこの人生に
木の茂るガードレールの向こう側転がりもせぬ空き缶の息
叶わない想いと知っていながらもごめんね私あなたが好きだ
日差しから逃れるように背を向けて閉めるカーテン見たくないもの
雨音を聞いて眠った昼のこと呑み込むように強まる鼓動
過ちに罰を下してくれはせず憐憫の目を穿たれる身に
香水をくぐりあなたの元へ行く取り繕った仮面の裏は
自己犠牲それを望むはこの心投げかけられる言葉を弾き
窓外を歩く黒猫目を逸らししっぽの先は一角に去る
街角のカフェの看板足を止め踵を返すものの惹かれて
分かり合うことは一生ないでしょう同じ世界に生きているだけ
暗闇を彩る花火あの人といつか一緒に見上げられたら
身の丈に合わないものを背負わされ失うものの多さも知らず
合理的配慮というがあっさりと切られて終わる未来がみえる
出張に出かける知らぬ景色へと入る電車の行く末までは
目が覚めて探す枕と掛け布団闇を掻き消すように腕振る
夢に見るものは王子でなく姫で貴女とならば駆け落ちだって
誰の目に止まらなくても書かねばならぬ事柄もある
目の前に広がる花は咲いて散りこのまま共に消えられそうな
ねえ私いつかあなたと夜空散る花を見上げて繋いでいたい
白米にのせてかき込む明太子辛さも夏の醍醐味となる
雨空の向こうにかかる虹の橋夢をこの手に掴めずにいる
ろうそくを吹き消しひとつ歳重ね今まで生きた道を見返す
相対し睨む視線の先にある瞳の奥は侮蔑に満ちて
一回りしてみせてみる深夜帯角にぶつけた小指をちぎる
どん底で息をしていたあの過去の延長線に私は在りて
雨の中走って切らすこの命瞳に映るものは喧騒
夜空散る花に包まれ消えてゆくなんて幻想からっぽの横
何度目の夏なのだろう濃い色を纏う紫陽花水を欲する
この広い世界で逢えたこと自体縁であったと言うべきでしょう
2026年6月計213首
2026年計1285首
自選短歌月
紫陽花の彩るテレビ台を目に夜中の声とぼやけた視界
公園のベンチにひとり光っては消える煙草の夢物語
窓を開け夜風に当たる深夜二時静まる町に降る月明かり
雨に濡れ重く負担となるデニム次第に冷える足元と夢
何度目の夏なのだろう濃い色を纏う紫陽花水を欲する
こんにちは、雨宮雨霧です。
6月も終わり。今年も半分が過ぎ去った。信じたくない。
今年も今年であっという間に終わるのでしょう。




