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雨歌  作者: 雨宮雨霧
2026年

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2026年2月短歌まとめ

2026年2月短歌まとめです。


鈴の音を鳴らして走る黒猫の姿は見えず膝にもおらず


何年も後に出てくる節分の豆を拾って懐かしむなら


寝転がり肘をつく父また今日も野球ばかりの夜が始まる


蜂の飛ぶ藤棚を避け歩く朝ランドセル負う重さに地面


腹を切る覚悟で君に伝えたい言葉はどうも好きに紛れる


諦めて眠ったはずの僕ですがなぜか未だに胸を焦がして


足音が近付くたびに絞められる心の場所はいつも左で


手の先も届かぬ空に流れゆく雲はうさぎの形に変わる


レシートを抜き取り捨てる秋の宵地底に埋まる記憶を起こし


透き通る海辺に座り目を瞑る祈りが君に届くのならば


静寂の漂う道に立ち竦み明日を生きるどうか迷って


きっかけは些細なものでただ一つ言えるとすれば言葉は生きる


夜なんて明けずにここに居てほしい塞いだ指の隙間に漏れる


後悔をしない生き方一分後息が絶えても笑えるように


年々と増える大豆に肩落とす喉を詰まらせ死ねと言うのか


青鬼に姿を変えたあかちゃんのほほえみに胸打たれる正義


引き締まる空気に触れた逆鱗はたった一つのコップの音で


鬼役に徹するわけはただひとつ仮面の外に見えない涙


スイッチを押しても灯ることはない君の命の冷たさを手に


生きているただそれだけで特別な時間に変わる紅茶の砂糖


形なき普通を求め転んでも笑って立ってまた追うこども


正体を隠して送る花束の命は常に一度きりなの


若草に光る朝露指先に載せるはまるでダイヤモンドの


味見だけして去っていく気まぐれな猫を抱えて目を瞑る夜


出身の地の話だけ盛り上がる広がる視野のなかに地酒が


優しさも声の波長も君だけが成せる技だと月夜の灯り


人生の一部に巣食う事柄を踏みつけ壊すだってこんなの


諦めを受け入れるまで道端の命をゆらす花を千切って


旧姓を呼べばあの日の笑みを見せ友達として繋いでくれる


羊羹をゆっくりと切り食べるまで焦燥感を梅と散らせる


囚人のように過ごした五年間春の空気に触れる苦さを


泣きじゃくり乾いた頬をなでながら孤独を選ぶ弱さをもらう


ニコニコとしているだけのおじいさん異名のついたあの公園に


普通にもなれずに生きるこれからの道に散らばる硝子の破片


苦しみも涙も嘘であるならばどうして僕は生きているんだ


普通から外れた人の行き先は枠に写真を納める仕事


滴るはしずくの欠片澄み渡る空気を飲んで身体を伸ばす


この空を飛べば自由になれるから桜は人の終わりと散った


顔面の半分を湯に沈めては裸体を映す扉の向こう


袖口を掴み隠した傷すらも後悔させる生き延びた今日


一番と言えるほどには美しい死という影と光の調和


編んでいく願いを詰めたマフラーはぬくもりなんて言葉も知らず


一枚の服を抱きしめ眠る夜匂いを胸に溜めても君は


追い越していかれる日々に座り込む欠陥品の運命はもう


踏み台を蹴飛ばす勇気思い出を手放す勇気煌めく星を


首筋をなでるナイフの冷たさと熱さに堕ちていく夜の夢


すごいとか何の褒めにもならなくて繕う笑みの裏側に居る


片手には心理の本を持ち続け恩を知らずに過ごす春先


死を願う少女の行方漬け込んだ優しさからも抜け出せず舞う


錯覚であればどれほどいいだろう雪の白さの上に花びら


雪の降る静かな道に木霊する部活の声は青空のまま


寒さすら忘れて雪の降る外へ駆け出す子の背窓から守る


選挙まで遠き道のり運休になった雪道果てしなき白


鍵穴にさして開ければユートピア幸せなんて誰も知らない


青空の下で輝く雪はもう終わりを胸に受け入れていく


儚さと夢を詰め込む枯野原命はそこに春はもうすぐ


証明になるものもなくこの恋は嘘であったと印を押したり


亡骸を飾り眺める展示室まだ生きているような笑みでも


顔すらも思い出せない君のこと声も忘れた明日の桜


雑巾を風呂で洗って立ち去ったヘルパーの意が不思議でならず


寝転んで漫画に更ける休日の誰にも見せぬ秘密の時間


ガラクタのような時間を押し潰し不気味なほどにかがやく未来


溶け残る雪を踏みしめ惜しむ夕時は思いと裏腹に過ぎ


透明であった頃すら思い出すこともできない割れた下敷き


ゴミ箱を我が物顔で荒らしゆくカラスの声に煽られて起き


れるられる見ざる聞かざるこんにちは私は君を喰べに来ました


布団から出られずに泣く冬の朝死にたいだけの日常だけは


惚気でもなんでも聞いていたいんだ振られたチョコの塩味がきつい


教室の窓際に立ち日を浴びる手すりは仲間あの子の背中


押し殺す涙のゆれる水たまり自分に負ける弱さを潰し


振り向いて目を見合わせたあの余韻電車に揺られまぶたを閉じる


裏垢に呟く言葉本音とも嘘ともつかぬ曖昧なもの


雨の降る日でも新芽は音を伸ばし初々しさを振りまき生きる


ペンギンは空を飛べないでも海を自由に泳ぐ結局敵か


建前はいい子のような愛想を仮面を被る君の素顔は


星屑の散るベンチより思い出を抱えたままのあの子の最期


なにもかも思い通りにいかなくて拳を空に突き出して言う


鉛筆を無心で削る冬の夜開けた窓から聞こえるピアノ


終電にゆられて眠る帰り道ネオンの街は暗い町へと


沖縄の天気予報を見て過ごす五度の部屋からお送りします


棒切れを持って唱えたデタラメの呪文が消した今日の宿題


本命も渡せぬ君に用意したビターなチョコを頬張る時間


金柑の木で談笑を始めだす雀の声をかき消す枕


寝転んで過ぎる時間を提示する時計は知らぬ溺れた過去を


無限にも近いほどにはある理由貴方のせいで死ねない一つ


からっぽの心を埋める雨の夜憎ったらしい人は自分で


パンプスの似合うあなたに魅せられてこれからやっと社会人です


繰り返し呟く名前手に取ったネックレスすら雪の冷たさ


泣きじゃくる君の頭を撫でながら時計に落とす瞳のゆらぐ


寝て覚めて死にたいだけの人生の無機質さから目を逸らす朝


否定してばかり暮らしている僕が一番くどく醜いのだと


告白もせずに終わらすこの恋の塩味の強さ綴った手紙


君の名を腕に刻んで永遠に消えない恋を作り上げては


一ヶ月悩みに悩み書き上げた手紙に混じるまるで告白


本命を贈る伝わることもない想いを君の胸に溶かして


記憶には長く伸ばしていた髪のままなのでしょう卒業の後


また逢える日を待ち望み年月はいくつ経ったか人間の君


次々にほころんでいく梅の花命の意味を知ったあのとき


不確かな恋ではあったあの夜にふとすれ違うときまでならば


ひらひらと網戸に刺さる白い羽見えない客をもてなす準備


中学の卒業後から関係を切ったつもりのあの子の背中


生ぬるい二月の風に浸る部屋湿度ばかりが上がる瞳に


化けて出るなんて面倒いい加減涙を拭いて向日葵を見ろ


ドアノブに手をかけ過ぎる数分の重さがずっと心に座る


日常に潜む誘惑ふわふわの頬をつついて遊ぶ寝室


動揺を隠せずにすり足をして廊下を走る君とのキスを


長旅をしてきた小瓶波のなか砂を拭って浅瀬の散歩


だからもう死にたいんだよ普通にもなれずに消費性は抜群


生きているかもわからない週間の天気予報を眺める夜中


できたてのパンの香りは漂って仕事帰りの人を捕らえる


はにかんで戻る教室どうしても伝えられない薔薇の温室


悔しさの混じる涙は蜜の味だってこんなに透き通る頬


気の所為であったら多分思い出すこともないんだ春に恋する


風水を気にもとめずに配置する家具に思い出君との写真


春風の通るベンチに置き去られ物語なき白紙のノート


宿題もテストも捨てた中三はオール五を手に高校を終え


泣きながら伝えた言葉今までの感謝を詰めた涙の記憶


がんばった言いたいだけで生きてきた健気なままの姿を映す


心から愛せる人ができました逢えない日々と向き合いながら


蜂蜜のようにとろける春の陽を浴びては嘘を真実と云う


ため息の先に拓けていく道は決して闇のなかではなくて


方針に沿った線路を飛び越えて責任を負う覚悟の自由


また今日も間違い探し人生のどこでいつなぜこうなったのか


人並みにできないものに背を向けて今を生き延び明日を願う


目に溜めた雫が濡らす算数のプリントなんて消えちゃえばいい


帰りたい呟く朝の冷たさに慣れることなく寄り道をする


関係を切って燃やした思い出は誰も彼もを知らない人に


跪き両手を合わす冬の朝四百年も漂わせては


客招く猫は虚しく誰を呼ぶこともできずに袋の中へ


雨音も忘れてしまうこの冬の空は青くて心を透かす


教室に残り過ごした雨宿り重ねた口のやわらかいこと


わがままで甘えてばかりいた過去の私を知っているのはあなた


魂を吸ってくださいシャッターを切った指先微かに震え


落書きの残る結露に覆われた窓の向こうに映る素顔は


やわらかい頬をつついてみる休み時間の過ぎる速さは異常


地球儀の何処かに住んでいる君が幸せならば会いに行けずも


自己投資する気はなくも君のためなら一輪の白菊を置く


どうせならずっと孤独で居たかったいつか失う優しさなんて


叶ってはくれない祈り星々の煌めきさえも嘘に変わって


あまりにも冷たい朝に身を染める終わりも見えぬ道への一歩


拾ってと子犬のように鳴いてみる彼女の声は夢の中だけ


喧嘩した後に差し出す好物はいつもひっそり冷蔵庫から


学校に広がる噂時が経ちさえしてくればなんて浅はか


蹲り落ち込む夜を知っている裏で破いたテストの紙も


辞められず過ぎる季節は肌に触れ先に行ってるなんて声かけ


ある意味で思い出になる事柄をいつか笑って伝えられれば


ねむい目をこすり膝へとすり寄ってくる子猫から受け取る愛を


履歴から辿る軌跡はそれぞれの想いがあって残されていく


白玉のようにもちっとする頬の食べどき図る春のお昼間


立ち上がりミーアキャットの真似をするあざとさすらも味方に変えて


大丈夫なんとかなるわ知らんけどやからお前はやればできるわ


正解もないと言われる人生の途方のなさに泣き崩れる日


別れすら呆気ないのねさよならも言わずに去っていくその背中


カーテンを煽り続ける風を浴び春一番を思わせるとき


薄まっていく思い出を手にすくいゆれる水面の夢の数々


工場で量産すれば思い出は消えずに増えてくれるだろうか


肉体をなぞり触っていく温度夢とリアルの境目はどこ


誕生を喜ぶ暇もないほどに紡がれていく言葉の地層


明日から来週からと延期するぷにぷにしだす体のパーツ


愛だけを喰らって生きるこの日々もまるで海へと沈むみたいね


叶えてもくれない星は瞬いてごめんと何度泣いてくれたか


どこまでも甘い言葉を頭から爪先までを一色に染め


どことなくキスを返してみる夜の甘みはどこか脳さえ溶かす


蝿の飛ぶ季節を前に虫除けを部屋中に撒き死にかけの人


ねじねじと捻ったティッシュ悪戯をしかけてみます片手にスマホ


汚いと分かってはいる何年も拭いてもいない窓のサッシは


雨の降る夜に溺れて死んでいく孤独をなでていく大波と


嘘だけは達者に吐ける死にたいと思っていてもめっちゃ生きたい


横切って守ってくれる君が居て桜は雨のように注いで


白熱の試合になってきたけれど一対一のボードゲームは


雨打たれ静かな街をとぼとぼと歩く背中の小さきことよ


桃色のカーデを羽織り真っ白なスカートゆらす春の砂浜


立ち上がるたびにパキッと痛むひざ確かに終わる華の十七


何年も探して捨てた生きる意味いつか背中を追われるのなら


返せずに終わる命の冷たさを知ってしまった十五の冬は


隙間から吹き込む風の音を聞き震えるなにか追われるような


幾重にも重なる重み辛いって口にするのもそれまた苦く


本当は強いどころかへなへなに萎れた花のように泣いてる


脱出もできずに道を引き返すこともできない人生の道


表情を変えない君が微妙にも頬を緩める瞬間が好き


こぼれゆく梅の涙は枯野へと舞って彩るそんな優しさ


菜の花の覆う丘から見渡した海の向こうの霞んだ島に


弾かれた糸は何度もゆれだして言葉でさえも空へと飛ばす


手すりすら廃墟の一部人生の重さはすぐに一枚の花


ベッドから見える景色は一部分イルカの声も聞こえやしない


短気でもいいよあなたが居てくれば痛めつけても泣いてくれても


マフラーを絡めて愛を確かめるような冷たい世界の隙間


待ち望むものは誰にも知られてはいけない後ろ髪をひかれて


恋人にならないほうがお互いに幸せになる傷つけたくは


湯気の立つペアのカップの片割れを手で包み込む雪の降る夜


看板のゆれる軒先変わらない町に漂う焼き立てのパン


リポストはほとんど百合のアニメだと気付くでもなくまたスクロール


颯爽と校門を出て帰宅する景色と風を嗜む遊具


坂道の上から叫ぶバカヤロー好きも嫌いも全てが泡に


旅立ちがまるで綺麗な人生の始まりとでも言わんばかりで


死にたいと呟き夢のなかに落つ過去の記憶を消し去るバクよ


また歳を重ねてしまうあの人に逢えたらきっと止められたのに


人生は長く短く巡り合うキセキを知った菜の花の咲く


帰り道いつもとなにか違うでしょ切られた髪の短さにゆれ


2026年2月計199首

2026年計419首


自選短歌月

袖口を掴み隠した傷すらも後悔させる生き延びた今日

星屑の散るベンチより思い出を抱えたままのあの子の最期

蜂蜜のようにとろける春の陽を浴びては嘘を真実と云う

別れすら呆気ないのねさよならも言わずに去っていくその背中

湯気の立つペアのカップの片割れを手で包み込む雪の降る夜


こんにちは、雨宮雨霧です。

春の足音ももう目前。

時の流れは早いものです。

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