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雨歌  作者: 雨宮雨霧
2026年

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2026年1月短歌まとめ

2026年1月短歌まとめです。


閉店を知らせる年賀はがき手に小雪はなにも知らずに降るや


やわらかな風の吹きたる団地より今年もどうか元気でいてね


変化にも投げかけられる言葉にも自分の意志を見失わずに


事柄が全て今年の最初へと変貌しだすよろこびを抱き


初夢を飾りに行って君に逢うどうか今年もいい一年に


冷え切った手先を包む肉まんを頬張りながら過ごす休日


親戚の集まりもない元日に香る雑煮の幸せを食う


自らの命をゴミにしないよう言葉を紡ぎ自身を見つめ


母方の実家に帰省した次の日から迷子にむせび泣く冬


冷え切った世界のなかで愛を知る元気か問いてくれるぬくもり


伝わってくれるだろうかこの星に手袋越しに絡める指先


夢だけは肩を並べて歩きたい窓に差し込む小望月の灯


雪の舞う外にはしゃぐは孫娘まるで子どもに戻ったような


金柑の甘露煮を食う冬の夜肩を寄せ合い笑みのこぼれる


忘れてもいいよ私が思い出を抱えたままで眠りにつくわ


憎いほど青空の差す開かぬ窓せめて自由に紙飛行機を


駆け落ちて自由を掴む梅の花淡く光るは暗かった空


ああそうだこれもなにかの縁だった目を離さずに別れを告げる


飛び込んでいった逆境あのままの自分は月に揃えてねむる


何者になれたら君と肩並べ立てるだろうか地球は青く


差し出した林檎をそっと受け取られ揺らぐ瞳の奥は海底


触れた手の冷たさを知る冬の夜微かに笑みを浮かべたままの


抱きしめてあげられるなら少しでも孤独を癒し笑えたのかな


ときめきを忘れられずに早五年今では会えぬ人と知りつつ


脱ぐことを躊躇うように背を向ける傷の覆った愛しき人は


石を蹴り家まで帰るあの木々はビルへと化して跡形もない


本棚とともに崩れる本の数人情もない無機質な部屋


下を向きこらえた星の数々は言葉も忘れ夜空へ帰る


未来まで想いを仕舞い人生を歩み時には振り向いてみる


遺言を残しても泣く君を撫でられる時間が続くのならば


見上げるは静かな水面ああまるで膜に包まれ歌うみたいな


生きる意味問いても海は解答を示すどころか魚の泳ぐ


幻に近づく記憶またねとも言えずに別れもうそれっきり


コンビニの帰り道すら急ぎ足重さも忘れ風邪ひきの元


待っている時間も海のささやきは絶えることなくランデブーする


からっぽの頭が仰ぐ天井はいつもと違う白さを帯びて


隙間から漏れ出す朝の光浴び鉛のような体を起こす


結晶を纏うライチを剥きながら鏡に映るビルの灯火


殺意すら泡へと変わるこの夜は木々は星へと空を昇って


まくらから離れたくない朝もある見せぬ涙をこぼす夜とか


あの海に消えていけたらどれほどの夢を泡へと変えずに済んで


会うために生きていたとも言えるほど最期はどうもやっぱり独り


ゆらゆらとゆれる炎に渦巻いた煙は星に旅をしに行く


突き刺した言葉の疼く一人旅愚かでごめん過去の自分へ


ラジカセに積もった雪を拭きながら冷たい床は心に伝う


向けられた好意もいつか煙幕を巻いて姿をないことにする


爪を切り研いで時間を潰してはジョッキを雑に置いて潰れる


星屑の代わりに光るビルの群れ手先を透かすこともできない


一人でも生きていけたらこの夜を砂糖みたいに溶かさないのに


一番のライバルだったあの人も形を変えて手元に眠る


風と舞う砂場の城を見届ける幼子の背を見つめるベンチ


摘み取った悪意を束にして渡す真の勇者が居るはずもなく


朝焼けに頬を焦がしていく君のあくびを眺め身体を伸ばす


喧騒に紛れて暮らす黒猫と逃れるように震える子猫


あの頃のままの笑顔を思い出す二度と逢わない誓った夜は


見上げても星はどこにも瞬かず代わりのように走る広告


星屑を繋ぐ静かな三時過ぎいつかあなたの目に触れるなら


深海に沈む時間は夢心地伸ばした指の先には世界


六年の年月を経て捨てられた空虚漂うランドセル置き


うなされて眠る孤独の空間はいつも誰かを待ってるみたい


同意ともつかないキスを交わす夜百合のゆれるは六畳の部屋


貝殻を拾い小さな瓶に詰め砂の流れる最期の舞台


何年と死にたがっては生きていてがんばったからどうか赦して


バス停に降り立ち息を吸い込んで見渡す空に茜の色を


夕焼けの広がる丘の静けさに揺れる瞳の奥底の意味


暖色のランプの灯るベッド脇並んだ本の背表紙をなで


いたずらを繰り返すたび向けられる注意に僕はよろこんでいる


警察と間違い姿勢正す子に向ける笑顔のある一日が


傷というものを知らずに生きてきたように姿を変えたあなたの


繕った笑みを見破ることだけはできても癒やすことはできない


砂浜に埋まる小瓶を拾い上げ希望導く差し込む光


やけどした場所に触れさす唇に伝う熱さは悪戯心


幻の花のようにはなれずとも記憶に残る人でありたい


がっつりと残した愛の印すら隠そうとする罪深き君


大人にもなれないような人生を歩むことすら疲れた僕は


また逢えることを望んで生きてきた夜空煌めく星のどれかに


このどこか広い世界で生きているそれが前提それが願いで


追いかける背中の背負う重圧を奪えるのなら喰らえるのなら


寄り道をするときだけは会える人開けた丘に佇む瞳


受け取った無償の愛を散りばめる無料の笑みは誰かの元へ


合意したわけじゃなかったあの冬に視線が合ってしまっただけで


入れ替えた心を持って仮装する振りまく偽の硝子の欠片


雨の降る日に死にたいと願う夜拍手のなかで消える蝋燭


最期まで見届けてって簡単に口にするんだ愛しい君が


ぼやけだす視界の端に映り込む転がる瓶のこぼれる薬


草原の広がる朝に焦げてゆく想いもすぐに忘れてしまう


本棚のそばで広がる一試合カルタを奪う正月の夜


張り詰めた空気は頬に突き刺さり渦巻くものに跳ねる心臓


偽善だと捉えてしまう善意でもいつか救いに変わるときまで


身勝手な言葉に迷う人生に別れを告げて岐点に進む


ぐしゃぐしゃに丸めた紙を投げながら流す涙と悔いの塩味と


何事もなかったように蓋をする夕焼け色の風見鶏すら


路地裏でこっそり開く料理店客は子猫を連れた母猫 


憂鬱とともに体を起こす朝淀む空気のなかに降り立つ


本性を現すそなた向けられた敵意を潰し鼻だけ笑う


その愛も言葉もきっと嘘だけでできた偽物なのに心は


どうしたらあなたを救い笑わせてあげられたのか白百合の咲く


後悔をしない生き方大切なあなたを愛し生きていくこと


布団から抜け出すこともできぬ朝夢の続きに誘うすずめと


筋肉が命なんだとプロテイン飲み干す君の血肉になるわ


どこまでも誰かを繋ぎそして切り茜に染まる線路の上に


教室に響く笑いの持ち主をぼんやりと見る休み時間は


あの朝に聞いた言葉が腑に落ちる叱ってくれる人の優しさ


振り返る道を包んであげられる夕日のような人になりたい


純粋な笑顔に触れてしまえれば毒は体に満ち満ちていく


雨の降る街に駆け出すあの夜の冷たさを身に感じる春を


雑菌と生きる人生もう別になにかのために燃やさなくとも


泣き跡の残る頬から目を移しあと数枚の木の葉を千切り


台無しにすれば称賛する人も消えてなくなる表彰状も


ヒーローになれたら無理をさせずとも一人で泣かせなくて済むのに


ありがとうもっと言えたら伝えれば春の日差しに泣くこともない


巡りゆく季節を肌に感じては仰ぐ淡さに思いを焦がす


貼り付けた切手をなでる秋の宵光を落とすテーブルランプ


封筒にしまい込まれた一万の札は静かにタンスとねむる


ただひとつ通知を開き星屑を零す通勤電車のなかは


海風に煽られし凧青空の深い場所まで溺れゆくとき


ゆっくりでいいよ焦って転ぶより舞いゆく花に焦がしていれば


これからの人生のぞく幼子は腕いっぱいの夢を語りし


死にたいと握った花はもう枯れて新芽は歌う準備をしだす


吸い込めば冬の終わりの近さにも花の吐息を感じることも


帰省してまず見届ける嫁入りは狐も人も居ないあぜ道


理想とは程遠い部屋人を呼ぶこともできない酒の空き缶


一番のザコは自分であるけれど認めもしない脳の嘲り


歯車のまわる早朝一日の始まりを目に焼き付ける冬


過ぎていく月日に触れてみる夜の身に落ちる雪じわりと溶ける


一人では生きていけぬと知る冬の夜にかじった肉まんの味


息すらも白く昇っていく部屋で綴る日記のぬくもりを手に


見たこともない景色へと辿り着くまわり道でも息をしてるの


ねえもしも私が魔女で手渡した林檎が毒に染まっていたら


カラオケで喉を壊せば体調が悪いと嘘をつけるだろうか


習慣になってしまった結露する窓に好きだと記してしまう


永遠の関係なんてないんだしたった一度の口づけだって


違う道だったとしても後悔はせずに何度も転けて立つから


水底に沈む小瓶を見届ける凍てつく冬の夢の続きを


黒糖の甘さにも似た恋心なにも知らないその瞳だけ


くれた笑みくれた言葉を思い出す夢に溺れるオーバードーズ


もらうだけもらっておいて返さない施しを得るだけのゴミ箱


ちらついて消えゆく雪の冷たさを肌に染み込む涙で知った


もう遠い過去に変わってしまうけどどの季節でもあなたを想う


残された時間だけでも幸せになにも思わず景色を見たい


溶けていくアイスのような恋を知る甘ったるさに焼けるその肌


ライバルのように育った君の背はいつしか空の色をしている


耳元を過ぎていく矢をお返ししともに仰いだ冬の青空


人生の終わりに触れる冬の朝窓に映った涙の色を


好きなんて言えるくらいの関係はどうつくってもむりらしいから


心から初めて好きを自覚して綴った文のおこがましさすら


額縁のなかで笑うはいつしかの田んぼで撮った親戚たちと


本棚のなかでいくつも夜を生き忘れられたのあの子の手紙


蠢いて明日も見えぬ道を行くいつまで空は青いんだろう


あまりにも無邪気に笑うものだからもしかしたらと思ってしまう


レトルトのカレーを食べて思う夜あたたかさすら欠片もなくて


円を描き回り続ける枯れゆく葉転けて追いかけまるで子どもの


三日月を仰ぎ涙を流す冬誇りもなにも君がいなけりゃ


向日葵のゆれる公園首筋を抜けていく風どこまでも道


邪魔をする子猫のようにしがみつき撫でて撫でてと上目を遣う


もし君に渡せるのなら作るのにチョコの売り場に足を止められ


何年も消せずに残る一件のメールを開く指の冷たさ


雪の舞う外に釘付け教室の騒がしさすら春の道のり


くたびれて仰ぐ寒空声のする方を目だけで追える怠慢


もう二度と会えない君に宛てて書く文は静かに波の花へと


悪いことそう悪いこと悪い子ね毒づくほどに優しいあなた


廃人のような人生澄み渡る空を仰いで死ばかり想う


人生を切り取るカメラあの場所であの日のままの笑顔を刻む


黙々と並べる飾りここだけは絶えず輝く星でありたい


金色の折り紙だけは大切に取って仕舞って忘れるまでの


水輪を描き続ける水たまり長靴で踏む今の瞬間 


青空を見てもうんざりするだけでヒビの入った裸電球


赤黒く染まる指先こすっても消えない汚れ心の奥の


音を立て落ちた眼鏡に目を向ける止まる心臓折れたフレーム


レンズ越し映る姿は何年も前より笑みも大人らしくて


泥んこになって振りまくその笑みをいつか陰らし泣かせるなんて


気がついたときには遅く無差別に腐るみかんを呆然と見る


最低な僕を赦して泣かせたりしないとあの日誓ったはずの


面影の欠片もなくしまたいつか出会うとしてももう僕じゃない


アルバムを手に取り流す星屑は床に滴る湖の中


泣かないと決めたはずでも絶え間なく溢れる星を拭うその手の


辛辣な言葉は刺さる凍てついた昼をベンチで潰すくらいに


無意識で夜食を選ぶこの時間天使も悪魔囁きの声


飛んで火に入る虫たちと同じよう学ばず腕に残す傷たち


子羊のように迷いし人生に絶えぬ悩みは生きていくこと


二番目で構わないから今君のそばに居たいよねえ教えてよ


隠さずに曝せば誰か差し伸べてくれただろうか凍てつく夜に


夢もない道から逃げていく兎過去にもらった言葉を拾う


教室の机に下がるその姿手提げ袋の漂わす海


正解もないのに尽くす君のことどこを恨んでいいのか迷う


給食を囲み笑顔と交差する言葉は溶けて身体にしみる


過ぎていく時を眺める腕時計針は動かずただそこにいる


金柑を守る烏の胸は空浴びる日差しも雪も静かに


これからの人生なんてイカスミをこぼしたように先は見えない


必要な人間じゃないそれならば一人消えても変わらない春


ひょうたんも消えた畑に背を向けて冬でも花を咲かせる場所に


持ち帰る惣菜を手にぶら下げて誰も待ってはくれない部屋へ


すれ違う偶然だったあの春の始めの道に命の芽吹く


今までに出会った人の記憶から消えられるなら死にやすいのに


たくさんの人があなたのそばにいるじゃあ大丈夫一人消えても


あの海に溺れて消えてしまえればこの手に叶うあの日の願い


梅の花ほころびを見せ近付いてくる寂しさのひとつに混ざる


雨樋を伝って落ちる雨粒の音色は空にはしごを伸ばす


止める間もなく星空を舞う君を目に焼き付ける冬の屋上


あることもないと言い張る天邪鬼言いたいことも言えないままで


旧友の知らせ受け取る春の朝妊娠なんて遠い世界の


菜の花の咲く麓から見渡すは澄んだ青へと伸びる飛行機


紡がれた言葉を胸にそっと抱きゆっくり進む不透明でも


囚われてどれほど時は経ったのか錆びた鎖の匂いを胸に


香水のアーチを抜けてひと回りしてみる朝は特別なもの


祈りから生まれる希望果てしなく続く道から終わりの世まで


限られた三分だけのやり取りはなににも変えることはできない


つまらない授業で書いた落書きに値打ちがつけばいいのになんて


噛み合わぬ考えばかり嫌いだと思ってばかり大人だなんて


珍しく降り出す雪にはしゃぐ子をなだめるけれど心は踊る


人知れず夜空を仰ぐ公園の遊具は夢に思いを馳せる


行き場すらなくしたガスの運命は爆発するか孤独に死ぬか


坂道を下る背中を見届ける茜に染まる校舎の横で


保険かけ土下座を回避する夜の親の冷たい視線を浴びる


バス停の時刻表見てため息を漏らして歩くあの頃の道


気がつけばふたりで過ごす夜を待つクラゲは肌を寄せて絡まる


来年も春を迎えているのかと鶯の鳴く並木に問うは


積もらずに降っては溶ける白雪を眺める窓のサッシの汚れ


ため息も物語だと言い聞かせ目を閉じ背くやるべきことを


また手紙書くねと言われ早五年拭いきれない思いを並べ


2026年1月計220首

2026年計220首


自選短歌月

閉店を知らせる年賀はがき手に小雪はなにも知らずに降るや

本棚とともに崩れる本の数人情もない無機質な部屋

朝焼けに頬を焦がしていく君のあくびを眺め身体を伸ばす

何事もなかったように蓋をする夕焼け色の風見鶏すら

子羊のように迷いし人生に絶えぬ悩みは生きていくこと



2026年も引き続きよろしくお願いします。

結露する窓に月明かりの差す時期がやってきました。

時の流れを感じる日々。

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