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総子と寅次郎

========== この物語はあくまでもフィクションです =========

============== 主な登場人物 ================

南部(江角)総子・・・大文字伝子の従妹。南部興信所所長の妻。EITOエンジェルのチーフ。

南部寅次郎・・・南部興信所所長。総子の夫。


=====================================


あれは、総子の中学三年生の頃だった。当時は、俺は小学生だと勘違いしていた。

ある日、知人の家へ訪問した帰り道。

路地で、男女の言い争う声が聞こえた。近寄ると、5人の高校生らしい男達が、1人の女の子を取り囲んでいた。少し手前に女の子のスカートらしきものが落ちていた。

「レイプ?」頭にその言葉をよぎるや、男達を手刀で小手(手首)を叩き、立ち上がれない程にしていた。

警察に届けようかとも思ったが、夕暮れの薄闇の中、女の子は、自分のスカートと財布を拾って逃げ去った。

7年後。俺は、彼女と再会した。江角総子と名乗り、レイプされかかっている所を助けて貰ってありがとう、弟子にして下さい、と懇願された。

俺は竹刀や木刀を持参していなかったので、手刀を使っただけなのだが、見れば彼女の手の周りは血豆やタコが出来ていた。特訓したのか?

俺は週2回以内、俺の仕事がない時だけ、という条件で『にわか師匠』と『にわか弟子』の関係が1年続いた。

俺の仕事は、その時既に興信所の調査員だった。所員は、入れ替わり立ち替わりで、なかなか離職しない従業員はいなかった。そんな中、幸田という所員が入所してきた。

以前、長続きした唯一の中津健二が東京に戻って興信所を開いていた。お互いに助っ人をしたりしていたが、その分、仕事はあまり増えなかった。

そこへ、『にわか弟子』は、興信所を手伝いたい、と申し出てきた。

夕方の張り込みくらいなら役に立つかな?と思って、手伝わせることにしていた。手刀教室は、もう開く必要も無くなっていたし。

そんなある日、俺が興信所事務所の仮眠室に寝ていると、下半身が何故かもぞもぞしている。多少。、寝酒もあって、寝ぼけていたのかも知れない。

翌朝起きて驚いた。ドラマだと何も無かったのに、女が騒いだりする展開だが、確かに交わった痕跡があった。

俺は。大変なことをしてしまった、と思った。だが、彼女は意外なことを言い出した。

助けて貰った、あの日が忘れられなくなった、招来、あなたの嫁にして下さい。ついて行きますと言い、土下座をした。

じゃ、学校卒業したら、一緒になろう。飽きたら、いつでも去って行っていいよ、と俺は言った。

総子は、学校は中退した、と言い、興信所のバイト社員になった。本庄弁護士の仕事も増え、中津にも応援を頼まれることが多くなり、こちらの仕事は幸田に任せ、応援は総子が担当することになった。

ある日、東京に出張した時、『正義の味方』になっている従姉を助けた、と言って驚かせた。

それが、EITOとの関わりになった。総子と上京した時、俺は総子の『真実』を総子の従姉である大文字伝子に伝えられた。何と、総子は、俺の誤解をいいことに年齢をサバ読みしていた。

伝子に説諭され、俺は総子と天王寺で式を挙げた。

そして、EITO大阪支部が開始して、総子を慕っていた、元レディースのメンバーと共に、総子はEITOに所属し、俺の興信所と『2足の草鞋』を履くことになった。

総子は、若いだけあって、勢力が強い。芦屋三姉妹の長女である、芦屋三美は、アパートを引き払わせ、ビジネスビル内にあるマンションに俺達を住まわせた。家政婦も付けた。

全ては、総子の為の世界だ。俺の『工場』はかろうじて稼働している。『閉鎖』する迄に子作りが成功するかどうかは、運次第だと藤島先生も言っている。

夜、閨を共にする女が、孫程離れた年齢でも、自分のやれる限りを尽くせばいい、そう眠りに入る前に自分自身に言い聞かせている。

―完―



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