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ep1
物心ついた時に、存在したのは妹と、敵と、果てしない氷だけだった。
狭い通路に挟まれたゴブリンが、俺に威嚇をして来る。
「Guoooo!」
俺はくすんだナイフを持って一歩踏み出した。
ゴブリンは素早く反応し、棍棒を振り下ろす。
俺は体を傾けてそれを避けた後、そのまま敵の胸にナイフを差し込んだ。
どさり、と倒れたのちゴブリンは光の結晶となって消えた。
俺に倒せるのは低層のゴブリンだけ。奴らの知能は低く、体力もない。
「換金に行くか。」
この世界が氷で覆われてから、見たこともない生物が現れるようになった。
こいつらは魔素というものを持っていて、殺すことで奪えるらしい。
この魔素は高く売れる。血に宿った魔素を売ることで俺はギリギリ生活できている。
街中に戻り、ルナティアにある魔術師協会に行く。
ルナティアに入るときは1銅貨必要になるが、そんなのは払ってられない。
俺は地下道から抜けて氷都ルナティアに戻った。