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冬の訪れ
その日、初めて世界に冬が訪れた。
冬の息吹が荒々しく風を呼び起こし、凍りついた大地は深い静寂に包まれる。枯れた木々は影に飲み込まれ、暗闇が世界を支配した。遠くから聞こえる鳥の鳴き声も、寒さによって命が凍りつき、死の予感を運ぶだけだ。
かの魔術師は世界を祝福した。世界は美しさに包まれ、誰も彼を邪魔しない。
冷たい空気が肌を刺す。息が白く立ち上る。魔術師の周囲に凍てつくオーラが渦巻いている。
「ついに、この力を手に入れられた...」
呟くその声は低く抑えられ、内なる狂気を押し殺しているかのようだ。
そして彼は気づかなかった。彼の氷でも消せなかった小さな灯に・・・