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反撃

 アメリカ合衆国という強力無比な戦力+後方を得た連合国は、極東とヨーロッパで反攻を開始した。

 戦争のやり方は違っていたが、独ソ同盟を押し込んでいく。


 

 満州


「オープン・ファイア」

「ファイアー!」


 遂にやって来た、本気のアメリカ陸軍。

 砲兵隊のロング・トムの群れがソ連軍に向かって撃ち始めた。


「すげー」

「何門並んでるんだ?ひーふーみー・・・沢山だな」

「砲弾もあんな山に」

「うらやましい」


 以前より砲兵に回ってくる予算が増えたとは言え、アメリカ軍とは雲泥の差だった。勿論日本陸軍が少ない。

 連絡要員として派遣されている陸軍将兵は、ただうらやましい思いだった。俺達の所で撃ちまくっているのは虎頭要塞だけだし。あそこだけは砲弾を目一杯備蓄してあった。補給も優先されている。


「ゴー、ゴー」


 M4の群れがT-34に向かって行く。二式中戦車は、いつの間にか助攻になっている。車両数が3倍くらい違うのだ。主役を取られてしまった。

 上を見れば、4発爆撃機の群れが上空を征く。うちんとこは援助のB-25を50機で大編隊と言っていた。4発機が50機飛んでくぞ。護衛もしっかり付いている。

 アメリカ陸軍設営隊の能力がすさまじかった。あっという間に満州の荒野にやって来て、飛行場を造成している。

 いつの間にか主役を取られた気分だが、満州のことを知らないので質問はしっかりしてくる。非常に高いレベルの軍隊と国家だと言うことが実感出来た。アメリカ軍のことを贅沢に慣れたひ弱な奴等などと言っていた連中は、軍の主要部分には残っていない。

 もうじき冬なのに冬期装備は大丈夫なのか。これはこちらから問い質した方がいいだろう。せっかくやって来てくれたのだ。



 ロンドン


「モントゴメリー元帥。これまで苦労してきたことが報われましたな」

「ああ。ありがとう。アイゼンハワー君。これからは君が苦労するだろう。フランス野郎の口はうるさいぞ」


 モントゴメリー元帥は、アフリカ防衛の英雄として本国陸軍省に呼び戻された。枢軸に地中海を渡る力も地中海の制海権を取る力も無い。呼び戻しても、何ら問題は無かった。

 フランス野郎は勿論、ド・ゴールの事だった。アイゼンハワーもどう扱うか悩む。自由フランスはいいのだ。戦後を考えれば、こちら(アメリカ政府)が用意した政権ではなく、自主的に起き上がった政権ならフランス国内の戦後問題もすぐに落ち着くだろう。問題は、ド・ゴールという癖の強い個人の事だった。

 癖が強くなければ、亡命政府など名乗れないだろうな。しかし、疲れそうだ。

 彼は、事あるごとにフランス奪還を急がせてアイゼンハワーは悩まされる。



 1944年5月

 フランス、ノルマンディー。秋ではないが、ビオロンが。

 海を埋め尽くさんばかりの、船船船。上空には対地支援の航空機が乱舞している。


 その日、明け方から激しい艦砲射撃を受けた現地守備隊は、敵の上陸と言う重大事を上級司令部に報告するしか出来なかった。

 なにしろ、主力がいないのである。ドイツ国外のドイツ軍主力はボルドーと地中海方面に張り付いていた。戦力比で言えば、ボルドーに3。イタリアを含む地中海各地に3。ここノルマンディーは1だった。残りはベルギー・オランダとバルカン半島に居る。

 大戦力を上陸させるには、ボルドーが適していた。ノルマンディーは、海洋条件が大軍の上陸には適しておらず、またドイツ戦力が集中しやすいパリ近傍へ上陸する気配は少ないとみられていた。

 衆寡敵せずでノルマンディ上陸を成功させた連合軍は、ル・アーブルを掌握せんと行動した。港を確保するためだ。ル・アーブルを確保して初めて上陸作戦が成功したと言える。

 ドイツ軍は頑強な抵抗を見せたものの、ボルドーから北上するドイツ軍主力先端がル・マンに到着する前にル・アーブルは確保された。 

 ドイツ軍主力は、ル・マンやトゥールからパリを目指すことになった。パリ防衛のためだ。しかし、その道も厳しかった。アメリカ海軍機動部隊から攻撃を受けるのだ。ドイツ側の空の守りはと言えば、フランス西側のドイツ航空戦力は、イギリスから飛び立ってくる4発爆撃機の空襲で疲弊していた。基地も人も航空機も。

 フランス東側からドイツはどうかと言えば、はやりイギリスから飛び立ってくる4発爆撃機の空襲で疲れている。とても援軍を廻す余裕は無かった。地中海各地も日本海軍機動部隊や4発爆撃機の空襲を受け、航空戦力を動かせない。自由に基地を動かせる優位は空母機動部隊ならではのものだ。

 航空戦力の立ち上がりから生産力と活動地域が限られ、陸戦支援が重視された戦術空軍のドイツ空軍と、活動地域が広く海でも活動する米英日の違いが際立った。


 圧倒的な戦力差は多少の努力で埋め切れる訳も無く、ドイツ軍は敗退を重ねていく。ヒトラーがいかに後退を許さないとしても現実が厳しすぎた。ヒトラーは遂に独ソ国境線の戦力さえも投入を始める。

 だが決断が遅かった。新鮮な戦力は戦場で活躍したが、矢印の向きは変わらなかった。風速を弱めた程度だった。


 1944年8月    パリ解放

 1944年11月   ベルギー開放 

 1944年12月初頭 オランダ開放


 だが、戦線がドイツ国境になると抵抗が増した。 

 クリスマスまでに終わりそうには無い。戦場の兵士達はそう感じている。

 



 満州 冬


 チチハルは取り戻した。今はハルハ河とザバイカリスクで対峙している。ただ、少ないとは言え独ソ国境線から引き抜いた精鋭が加わったことでソ連の実力はバカに出来ない。 


 アメリカ軍が日本軍から冬期装備のことを聞き、大至急開発装備したアメリカ軍仕様の冬期装備でぬくぬくとまでは行かないが寒さを凌いでいる。

 アメリカ軍首脳部は日本軍からの申し入れがなかったら、凍傷等で大変なことになっていたと思う。


 虎頭要塞は持ちこたえていた。ただ自慢の巨砲、四一センチ榴弾砲は砲身命数が尽きもう撃てない。危険な程に摩耗するまで撃ち続けたのだった。



 1944年12月大晦日


 まだ戦争は続いている。



次回更新 最終話更新を5月21日までにしたいです。

1944年の暮れ、まだやってました。

最終話は1945年ですね。


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