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6/10

歓迎

空母機動部隊が地中海に入ったなら。

 大和が喜望峰に向けて航海中の頃、イギリス派遣艦隊主隊はアレクサンドリアに入った。個人ではとても勇敢になれるイタリア人の起こした波乱は、日本艦隊の入港時も気を尖らせている。

 シンガポールでもそうだが、半ば警戒、半ば歓迎という雰囲気だ。こいつらドイツ相手にやれるのかという雰囲気もある。防共協定など結んでいたのだから、然もありなん。

 その不安は、空では取り除かれた。と思う。

 地中海に入ってすぐに空母から発艦し、陸上飛行場に降りた艦載機。現地イギリス空軍との対抗訓練を行った。

 イギリス側がスピットファイアMk.ⅤとハリケーンMk.ⅡCで日本側が零戦四三型乙だった。各種状況下を想定した戦闘訓練でほぼ五分に渡り合い、ドイツ空軍機に対抗可能と認識された。

 九九艦爆三三型と九七艦攻三三型は搭乗員の腕が賞賛されたが、艦爆は爆弾搭載量の少なさも指摘された。どちらも速度的には、イギリス艦上攻撃機よりも速くうらやましがられた。

 ここでは日本陸軍のほとんどが上陸した。エル・アラメインで膠着している戦線打破の助力を要請されたからだ。一応砂漠装備と言えるものは用意したが、まさかホントとは思わなかった日本陸軍は慌てる。イギリス軍にやり方を教えてもらいながら対応していく。


 日本海軍アレクサンドリア入りから1週間後。大和がギニア湾に入り、ナイジェリア沖で補給と休養後ロンドンを目指すと通信が入った。



 ドイツとソ連は、日本の動きを注視していた。両国とも日本と戦争に至ってはいないが、戦争相手のイギリスと同盟を復活させたのだ。

 どうするか。何回も協議が行われた。

 結果は、どのみち相手にするなら今だろうと。自慢の巨大戦艦を沈めようとなった。


 ドイツとソ連は、世界をリードする国家を目指すのだからと宣戦布告を行った。2日後に日本がこちらの提案を受け入れない場合は開戦すると。2日で決められることなど無く、要するに軍備を放棄して属国になれという内容だった。受け入れない場合どころでは無く喧嘩を売ってきた。


 日本は、さらに酷い内容を持って返答とした。

 返答した内容は

 ドイツは、ただちに占領地から撤退して謝罪と補償をすること。

      ナチスの禁止。

 ソ連は、 ただちに占領地から撤退して謝罪と補償をすること。

      共産党の禁止。

      エニセイ川以西に撤退すること。

      エニセイ川以東はドイツとソ連を除く国際機関による

      管理地域とする。


      両国の軍備は、ドイツとソ連を除く国際機関による

      管理とする。


 交渉は最初から分かっていたことだが決裂した。



 開戦である。



 ドイツは航空攻撃をしたいが、アレクサンドリアまで届く機体が無い。地中海航行中にイタリア軍とイタリア駐留ドイツ空軍がシチリアを起点として攻撃を行うことになった。

 スペインにもジブラルタル攻撃をそそのかすが、フランコ総統の腰は重かった。ドイツとソ連は内戦時助けられたが酷い行動も行った。信じられる訳も無い。さらにイギリスの外交力は大きな影響力を持っていた。

 イギリスはこうささやいた。

 アメリカが動き始めれば、ドイツとソ連の未来は暗い。両国で産出しないか少量しか産出しない戦略的重要資源の多くは、イギリスと仲の良い国で押さえており、ドイツとソ連の戦力は長続きしない。

 ジブラルタルの共同統治や部分返還も持ちかけた。

 フランコ総統の腹が決まるのは早かった。独ソ同盟への協力的非協力である。何のことだか。

 フランコ総統はジブラルタルに圧力を掛けた。境界線近くで軍の展開である。展開訓練であって、実弾は少数しか持って行かない。演習と言う名の新兵向けキャンプである。当然イギリスには内容を知らせてある。

 こうやって、イギリスにプレッシャーを与えていますよと言う姿勢を取っている。


 アレクサンドリアを出港した日本艦隊は、水先案内人としてイギリス艦隊に引率されジブラルタルに向かうと見せた。

 マルタ島とシチリア島を空襲したのは、二航戦と五航戦の攻撃隊だった。低空接近-低空攻撃-低空離脱。イタリアもドイツも空母機動部隊の真価が分かっていないようだった。4隻の空母を飛び立った150機の攻撃隊は、マルタとシチリアの飛行場を相次いで攻撃した。低空飛行で接近する機体をレーダーが捕らえた時には、戦闘機を上げて対応する時間が少なかった。

 攻撃は成功した。マルタとシチリアの飛行場は一時的に能力を喪失した。リビアとチュニジアの地中海沿岸基地やドイツアフリカ軍団も空襲した。アフリカでの航空戦もアレクサンドリアのイギリス軍との協力で優位に進め、ドイツ側は一時的に劣勢となる。

 ドイツは占領地の管理と軍の再編に取り掛かっており、戦争を進めるよりも戦力の蓄積と疲弊気味の空軍・海軍や国内産業など国力の回復を図っていた。そのため、地中海を横断しての大々的な補給をせずにいたのが裏目に出た。

 日本海軍の能力を過小評価していたとも言える。


 この結果にはイギリスもびっくりした。空母の運用を考え直す事になった。

 アメリカにも情報が届き、エセックス級が4隻の予定よりも4隻増え8隻となった。予算は他の大型艦を減らすことで対処した。

 モンタナ級戦艦は両洋艦隊計画不発と共に無くなったが、大和出現で復活していた。4隻も。それがエセックス級の予算と造船所に回され2隻となった。アイオワ級も4隻に増える予定が元の2隻になった。


 艦隊はアレクサンドリアに戻った。マルタ陥落後、地中海のイギリス空母は大西洋での船団護衛に取られ、地中海に配備されていなかったためだ。さすがに、チュニス-パレルモ間を通過するのは危険だと思われた。

 数回の出撃で艦載機の消耗が多くなり、輸送船に積んできた予備機も無くなりそうだ。搭乗員の消耗も有る。蒼龍が遂に被弾し、飛行甲板を破壊され中破判定。修理はアレクサンドリアで行えるようだ。

 遂に一航戦を呼んだ。


 少し前に、大和がロンドンに入った。ドイツ空軍の意地を見せるべく、バトル・オブ・ブリテン再発である。ドイツは再び航空機とパイロットを消耗した。





九九艦爆三三型

二二型の発動機をさらに強化し、防弾装備も不完全ながら備えた機体。

重くなり、強化した発動機を持ってしても性能は変わらない。

発動機は、イギリス製やアメリカ製の部品を使い性能が向上した金星発動機を新しい型番とした。基本的にはたいして変わっていない。

後継機たる彗星は、エンジンをアツタから金星に換装する作業に入っている。実戦投入は1943年からの予定。


九七艦攻三三型

栄二二型を装備した。九九艦爆三三型同様防弾装備で重くなり、性能は変わらない。

後継機の天山は、エンジンを護から火星に変更する作業に入っている。実戦投入は1943年からの予定。


零戦四三型乙

三二型に防弾装備を施した機体。エンジンも栄二二型となった。イギリス製やアメリカ製の部品を使い若干強化している。金星同様新しい型番とした。

翼内銃を九九式一号銃から九九式二号銃へと変えた。ドラム給弾100発だ。他は変わっていない。

後継機は今の所無い。十七試を発注したところである。



三機種ともアメリカ製高性能航空機用ガソリンとアメリカ製やイギリス製航空機用エンジンオイルで実性能は向上している。

イギリス製やアメリカ製の部品。点火コイル、点火プラグ、点火コード、コンタクトポイント、ディストリビューターキャップ、雑防用コンデンサーなど。

切削工具や治具も国産より輸入品の方が上で、使う事により精度が向上している。

金属材料は、輸入規制が解かれたことでかなり自由に使えるようになり、国産品の品質は向上している。

真空管もアメリカ製やイギリス製を使い、無線機など使用機材は変わらないが配線を見つめ直すなどして性能は向上し安定した。



次回更新 5月07日05:00。


一航戦を呼びました。地中海で6隻揃い踏みか。

イギリス海軍は、東洋艦隊は健在ですしソ連向け補給船団も存在しないので、地中海以外では多少余裕が有ります。地中海で余裕が無い原因は、アメリカが参戦していないので、マルタ島陥落という出来事がありました。

地中海航路が危険になったので、喜望峰を廻る航路でアジアの物資がイギリスに届きます。アレクサンドリアやポートサイドへの補給物資も喜望峰経由でイギリスから届きます。 

大西洋でUボートの脅威がありますが、ソ連向けが無いので警戒範囲が狭くなりそれなりに対抗は出来ています。逆に言えばUボートは警戒密度が上がっているために苦労します。


アメリカは戦争に入っていないので、月刊空母や週刊駆逐艦や週刊護衛空母や日刊護衛駆逐艦は有りません。大きめの建艦計画だけです。

第3次ヴィンソン案は通っています。大和出現で慌ててモンタナ級建造案を復活させました。


金属材料の制限が無くなり、ハ40やアツタの材料不良問題も発生しません。工作精度の不足は出ますが。

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― 新着の感想 ―
[一言] マルタ島が陥落していたのか~… クレタ島も簡単に落ちていたでしょうし、イギリスもエジプトへの補給が難しかったでしょ。
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