妖精仲間
メグは、はじめて妖精に会ったときのことを思いだしていた。
時間移動した先の部屋のなか、なぜかこの二人はいた。
とりあえず
「はじめまして」
と言ってみた。
「わたしはメグよ。あなたたちって妖精なの?」
よくみるとひとりは帽子を被っていて、顔はよくみえない。
羽根がはえているようだ。
もうひとりは、ウサギのような感じで、腕時計をしている。
やはり羽がはえているようだ。
「どうしてここにいるの」
「トワカの預言にあったね」
「きっとこのひとのことかな。わたしたちは妖精だよ」
「ここはどこ……本当に私の部屋のなかなの」
妖精は言う。
「部屋のなかだよ」
「でも何故部屋にあなたたちがいるの」
「時間の凍結が開始されたよ。だからこの部屋に閉じ込められたようなもの。妖精はこの時間を記録しなくちゃいけないんだ」
「妖精はこの記憶をとっておかなくちゃ。だからこの部屋にいるよ。よろしくね」
「うーん、どういうことだろう。記録係として、ノートにでもつけるの」
「そう妖精ノートがあるよ」
「それは、見てみたいな。何が書いてあるの?」
「時間移動にまつわる色んなことだよ」
妖精帽子が答えてくれる。
そして、妖精帽子が今日もきいてくれる。
「今日はどんな気分かな」
「いつもと同じよ」
メグは答える。
「薬とかも買ってこれるから必要ならば言ってね」
「薬は、じゃ頭痛薬をお願い」
「わかった」
妖精ウサギがきく。
「トランプ以外も買ってこれるから必要なら言ってね」
「トランプ以外かぁ」
「トランプ楽しいけどね」
「またやろう」
「そういえば、ここで病気したらどうなるの」
「基本病気はしないと思うけど、病気したら仲間を呼ぼうかな」
「妖精仲間呼べるの」
「さぁ呼べるかなぁ」
なかなかにトボケている。
「わたし以外のひとは呼べないでしょ」
「呼べないと思うよ。呼べないなぁ」
妖精ウサギが答える。
やはり仲間は妖精仲間か。
「今度、病気といってみようかな」
「今日の買いものは何かあるの」
「じゃ、トランプ以外にもなにか。遊べるものを」
「わかった。買ってくるね」
妖精帽子が答える。
「わかった。いってくるね」
妖精ウサギが答える。
こうしてまた、一人の時間ができる。
けれど、ただ待っているだけではなくて、何かしたい。
でも、わたしに何ができるだろう。
この出られない部屋のなか。