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管理者たちの会合

 時計デバイス、あだ名トケルンを身につけ、駅出口付近のサークルゲートの出現ポイントに向かって飛びこんでいく。



 するとサークルゲートが突然出現し、吸いこまれるようになかにはいる。

 入って少しすると、それはすぐに消えていく。


 バシバシッ。


 音がする。

 そして目眩や頭痛がくる。

 少し頭がボーッとしているが、それから意識がはっきりしてくる。



 未来の世界というにはあっけないくらいに、ほとんど街の景色はあまり変わっていない。


 まずはダストテンダーにより、新しくトケルンの説明書を受けとるため三年後にきた。

 どうやら二年縛りというのが決まっているらしく、新しくデバイスの整備にかかわるものを創る場合には、二年間そのデバイスが不具合を起こしていないかを査定して、その後でないと説明書も創れないとか。

 二年後ぴったりでは、わからないためと、およそ三年でなら確実と店長にいわれた。


 息を整えてから歩きだし、ダストテンダーに向かうことにする。



 三年後にあるダストテンダーは、外観はほとんど変わらない。

 ためらわずに入っていくと、イケメン店長は、変わらないでカウンターにいてくれた。


 代わりばえするのは店のなかだ。

 店のなかの商品が驚くほどに知らないものがある。


「店長」


 と呼びかけると


「待っていたよ」


 と言われた。


「きみに話してから、三年後だから、今日のことだよ」


 ここ未来にきて未来を移動することは、日付感覚が大切だと教わった。

 トケルンの説明書を受けとる。

 そして、また驚くことをいわれる。


「次の移動先は七年後で、日付は7月5日」


 当然、


「何故ですか」


 ときいた。

 すると、およそ十年の単位時間で、管理者たちが会合しているらしい。

 その場所で面倒な手続きは一斉に管理者名簿と照らして行うという。


「未来になってまで、そんな面倒なことになるの」


 尋ねると、


「時間デバイスの管理組織ほど、複雑で管理者が行方不明になるくらいに、頭が痛くなるところはない」

「だから、余程ひどいダスト屋でなければ、そのスケジュールはキッチリ守る」


 そして、申請されているかもわからないが、もうひとつの公園入り口サークルに飛び込んでみるよういわれる。


「わかりました」



 三十分かけてそこに歩いていき、公園入り口サークルに飛び込んでみる。


 バシバシッと音がする。


 次に目眩やふらつきがある。

 頭痛もひどくなる。


 気づいてみると、公園のベンチに座っている。

 時計デバイス、トケルンを起動し、デバイスタイム (DT) 00から十年後のDT10_0705の十一時半に到着する。

 移動に頭痛はつきものだと店長からいわれて、とりあえず十年後の自販機から、飲みものを買い、頭痛薬を飲む。



 あと三十分後、移動先となる駅前の広場で、錆びた金属をじゃらじゃらもっている集団が、その現地管理者名簿をつくることになった、番号DT10_STTj10の十二時に集まるメンバーらしい。

 飲んだ空きの容器をゴミ箱に捨てて、近くのベンチに再び座り込む。

 持ってきたバックから、説明書を取り出す。

 そんなに分量はないが、何故このハイスペックな時代でも紙の印刷物が必要なのか、考えこんでしまう。

 読むと、トケルンの特徴と使い方だけをまとめてくれたようだ。

 意外と親切ではある。



 時計デバイス (登録トケルン)、通信機能つきの機械と音声より追加して登録可能。

 追加するとアプリ自動ダウンロードがおこなわれ、画面表示スライドに追加される。

 基本的機能は時計と通信、追加デバイスの表示、それから年単位で指定しての時間移動。

 推奨移動時間は三年。

 三年注意事項。

 十年を超す移動には、精神的負荷とエネルギー負荷がかかり、一度でデバイスが壊れてしまう。

 そして、それを知られると、管理者に通報がいく。

 管理者名簿にサークルの登録と同時に基本契約手続きを行う。

 管理者権限により、特殊電磁波の信号をだせるため、虚偽を繰り返しているひとには、デバイスの機能停止により元々いる時間に戻れなくなる罰則がある。



 ザッと目を通すと、目を引く項目はここまでだろう。

 そろそろかと思いバックに説明書をしまいこみ、移動することにする。



 季節は十年後もそれほどに変化はなさそうなのが、ほっとする。

 公園もそのままだ。

 しかし、移動するにつけ、目立つ変化もある。

 車が少ないようだ。

 人目を気にすることもないほど人は少ない。

 移動して、DT10の十二時ちょうど、指定の駅前に到着する事ができた。

 たしかに、複数人金属を身につけた人たちが集まってきていて、ほっとする。

 その中心にいるのは三人の管理者のようだ。

 ほかはサポートメンバーだろうか。

 それか管理者名簿に用があるひとかもしれない。



 中心にいる三人のうち、一人に声をかける。


「はじめまして、ダストテンダーより、依頼をうけた者です」


 すると、駅前には似合わないテーブルが置いてあり、そこに複数の端末とデバイスと思われる金属が並べられている。

 どうやらこの場で商談するようだ。


「お待ちください」

「テンダーですね」

「登録番号3285_2261、時間指定期限五年、登録サークル三つ」

「何をお求めでしょうか」

「サークルを増やしてほしいのですが。テンダー近く駅前にあるサークルを追加してほしいのです」

「その元登録名と期限を教えてほしいのですが」

「あと利用したデバイスを追加しますので、出してください」


 わたしはトケルンをだした。


「この時計デバイスは名称が違いますが直しますか」

「どういう方か、名前を教えてください」

「メグという方になっています」

「デバイスに利用サークルを登録したほうがいいですか」

「任意ですが、しばらく利用が見込めるのならば」

「あと他に依頼はありますか」

「他のサークル登録時期はいつですか?」

「DBT03です」

「知らないでごめんなさい。DBTというのは」


 あきらめた様子もなく、通常態度で説明してくれる。

 どうやらしつこく繰り返し説明することこそ、本領(ほんりょう)のようだ。


「DBTはあなたがいる現在地時間より、以前の時間。つまり、あなたより三年前に登録したということです」

「今回申請部分は、あなたが追加したサークルなため、DTは00として登録されます」

「ついでに時間管理においては、端末デバイスの日付が優先されますので、次のかたは別のDT00時間登録に、という具合ですが、まぁ仕組みややこしいかもしれませんね」


 それから、と依頼のための現在ダストテンダー周辺の十ヶ所あるサークルの地図 (最新)と、その申請者リスト紙版をもらった。

 中身の意味はまぁよくはわからないため、そのまま持って帰ることにする。

 ついでにきいておく。


「何故こうも紙が多いのですか」


 すると


「以前申請者リストをデータ版として渡したのに、依頼者に渡したときにはデータが読みこめないと、三回も同じ日に同じように繰り返し来られたひとがいました」

「それからは、データ版と紙版と両方を利用できるようにしました」

「紙版であっても、そちらの金属QOSコードにて、データを端末に移動して、利用できます」

「不要になった紙版のものは、専用シュレッダーをお買い上げして、データごと削除してください。」

「わかりました」


 これで用は終わった。

 長居せずに振り返って、帰ろうとすると、管理者の一人が話しかけてきた。


「ダストテンダーの店長とはいつごろから」

「つい最近のことです」

「ダストテンダーよろしくね。管理者によくしてくれてるところなの。来てくれてありがとう」


 何故かお礼をいわれてしまう。



 再び歩いて公園サークル付近まで、三十分移動する。

 するとサークルふきんまできたときに、その側に誰かいるのに気付いた。

 それは、あの駅の出口サークルに入ることを目撃したネックレスの女性に似ている。

 周りには他に目立つひとは居ないため、慌てて追いかけて、手前で声をかける。


「あなたも管理者名簿に用があるかたですか」


 相手はびっくりして、振り向く。


「ごめんなさい、びっくりさせたみたい」

「その金属加工されている腕輪をみて、そうではないかなと」

「あなたは、誰?」


 当然にそういわれてしまった。


「管理者名簿に心当たりありますか」

「わたしもそれに用を依頼されてきた、DT10の者です」


 すると


「わたしもたしかにそうよ。DT10だから、移動時間も一緒だね」

「でも依頼されてきたわけではないわ」

「依頼ではなくても行き来しているのですか」


 すると


「ええそうよ。ショップ経営ではないけど、拾いもの屋をしながら、旅をしているの」

「ところであなたの依頼ショップは、どこ」


 と問いかけされてしまう。


「ダストテンダーです」


 すると、その女性は少し態度を変えたようにみえた。


「そう。ダストテンダーね。あなたのこと覚えておくわ。たぶんまた会うから」

「それじゃ」


 こういって、サークルに踏み出して、時間移動して、いなくなってしまう。


 不思議なひとだ。

 移動について、詳しいみたいだし、ダストテンダーの店長とも知り合いのような感じだ。

 店長にきいてみようと決め、トケルンから日付をDT00の十一時半に合わせて戻ることにする。


 公園サークルに飛び込ぶと、バシバシッするどい音がする。



 風景が入れ替わり、目眩と頭痛がきて、瞬間的には気を失ってしまう。



 気づいて、フラついてベンチに座り込む。

 そのあとで、トケルンをみるとDT00の表示のまま時計だけ進む。

 どうやら、現在地時間に戻れたようだ。

 少しだけ、公園のベンチで休み、そのあと店長の待つダストテンダーに向かうことにする。

 店長の待っているお店に戻ると、依頼通りサークルの五年期間のこと、挨拶を返されたことを話しQOSコードつき申請者リストと周辺地図を渡す。

 そして、管理者の彼女について話し始めると、店長が真剣になる。

 もしかしたら、昔の知り合いなのかもしれないな、と頭によぎるが、言いはしない。


 すると、


「次からもその彼女はしばらくは会うかもしれない」

「もし会うことあれば、DT00この現在地のお店に会いにきてほしい、と伝えてくれないかな」

「その人はどういう知り合いですか」


 きいてみるが、


「話しが長いから今度にしよう」


 と言われてしまった。

 そして、


「お疲れさまありがとう。助かったよ」


 と言われてしまう。


 腕輪をした彼女については聞きそびれた。

 仕方ない、今日はここまでにするか。

 どうやら、このダストテンダーは忙しい時期をのぞいて、大抵はお店は週に四日営業で、二日間営業のときもあれば一日起きで休みにもなる。

 土曜日や日曜日はあまり関係しない。

 デバイス修理と仕入れもあるから、らしいがテンポはつかみづらい。



 次は明後日だ。

 この日はこれで、帰りとなる。

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