表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
7/44

行方不明な彼女

 次の日、いま働いていた場所には申し訳なかったが、急遽(きゅうきょ)やめることになった、と電話で伝えた。

 退職届けは、次にいくときに届けます。

 そのときに、謝りにいきますと電話で伝えた。


 電話を切ったあと、一人で


「ごめんなさい」


 ともう一度謝った。

 その次には、ダスト屋のダストテンダーに向かった。

 働く場所をダストテンダーにした理由は簡単だった。

 仕事依頼の給料がよく、その店長助手をつとめると、依頼につき一つ中古アクセサリーがついてくるときいて、受けてみようと決めた。


 それに、時間移動を経験して、何かこれに関わらないといけないように感じたのだ。



 昨日帰りに歩いたみちのりをたどって、ダストテンダーにつく。

 そのまま玄関の扉をあけて中に入っていく。


「やぁ、きたね。マユさんに依頼をうけてほしい」

「前職業はやめましたから、いいですけど、また時間移動に関わることですか」

「もう話しを始めてもいいのかな」

「お願いします。それと、これから一緒にお願いします」


 ペコリと、頭を下げた。


「こちらこそ、カラトです。よろしくね」


 店長も頭を下げた。


「話しとして、公園のサークルは、事故多発で閉鎖されるはずときいた。七回ほど申請とその調査を繰り返しても、不安定で、時間の入れ変わりが生じる」

「何故それを彼女が申請したままなのか、再度調べていきたい。彼女というのは、前に雇っていた子なんだ」

「そうなんですか」

「彼女はあのとき、すでにネックレスと、ブレスレットとデバイスアクセサリーを持っていた。それから、その時計デバイスも。その裏、マークがあるだろう。みて気付いたよ」


 マユは腕時計をはずし、裏面をみる。

 小さい文字だが、修理ダストテンダーと、その横に弓矢の矢のマークがある。

 矢の先端はハート型だ。


「そのハート型の矢の刻印は、ここで修理受付をしたときに一緒に打ったものだ」

「そして、これのようにマークを着けたものが、他にもう一つある。だから、その時計はダストテンダーで修理した、時計デバイスなんだ」

「何故そんなことになったのか、落としたのは誰なのか。消息がわからないままの彼女が、落としたのか、はっきりはしないけど、少なくとも、何か関係はあるように思うよ」

「そして、もうひとつのマークつきの時計は、いま自分が利用しているものだ」


 カウンターから、もう一つ時計デバイスをだしてくれる。

 裏面をみると、修理ダストテンダーと弓矢の弓のマークだ。

 (はし)のほうには、ハートの飾りが形とられている。


「このもうひとつは、調査のとき以外は、カウンターにしまってあるよ」


 またカウンターのガラス箱の中にしまった。


「彼女そのかたは、行方不明なのですか」

「そう。いま探しているんだ。それから、これから拾いもの屋さんがくるから」

「その時計だけではなくて、次のデバイスも使うといい。その時計の修理や設定は今回拾ってくれた部分のお礼。それから、次のデバイスも」

「そんなに、いいんですか」

「これから、お世話になるからね」

「ありがとうございます」


 すると、拾いもの屋が扉をあけて入ってくる。


「いらっしゃいませ」

「今日のアイテムは」


 と若干楽しげに、店長のところまでくる。

 こちらに気づいて、どうやら関係者だと判断したらしく、そのまま話しに入る。


「これまでに拾い集めたアイテムは十点。そのうちこちらに出したいのは五点、お見せしても大丈夫でしょうか」


 店長の顔を伺うと、


「せっかくだから近くにね」


 と、近くに呼ばれた。

 いずれも錆びだらけで指輪やキーホルダーやピアスもある。

 どうやら商談がはじまりそうだ。


「引き取りは指輪にしようかな。指輪二点」

「これならまだ期限ありそうだし、時計とも相性がいい」

「ありがとうございます」


 およそ二点で、五千円だった。

 拾いもの屋さんは、もう少し粘ったが、結果は指輪引き取りができて、満足そうだ。


「ありがとうございました」


 声をかけて、拾いもの屋さんが帰っていく。

 出ていってから、話しをきいてみる。


「拾いもの屋は、誰でもなれる職業で、現在の時間でも成り立つ商売」

「落としていく錆びつきアイテムのうち、価値がでそうなものをいくつか存在しているダスト屋に持ち込むのが仕事だよ」


 どうりではじめてでは、拾いもの屋なのか、ときかれるわけである。


「この指輪は?」


 ときくと、持ち主が初期化したものをどこかに途中で落としたのではないか、とのこと。

 何故か、アクセサリーもよく届くらしい。


「その指輪一つはきみに渡そう」

「ありがとうございます」

「まずは初期化からの説明と設定をするから」


 初期化から音声で接続してみると、指輪と時計デバイスがつながり、するとデバイスの表示が、指輪ゲージを表示した。

 以前に買っていた指輪スクリーンと併せて三つの機器がつながる。

 いま登録したデバイスから移動消費に利用すると、他の二つは長持ちするそうだ。


 時間移動設定にだけ、二つめの指輪を設定した。



 今度指輪の名前を決めようと思う。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ