店長からの依頼
とりあえず教えてもらう手前上もあり、閉店作業を手伝い、それから、店裏にあたる休憩場所に案内された。
そこには簡易的なキッチンがあり、ポットがおいてあり、あとはテーブルに椅子、それに複数棚がある。
あとは階段が上につながっているようだ。
椅子に座りながら待つと、店員が暖かい紅茶をいれて、テーブルにおいてくれた。
そして、紅茶を一口飲むまでは待ってくれていた。
「長い話しになるけど、何か予定は、ある」
と聞かれて
「今日というか、明日の予定はあったけど、とにかくみんなキャンセルです」
「いまは状況を説明してくれる人から、話しききたいです」
すると、
「じゃ自己紹介だけ簡単に。名前は、カラト。ここの店長をやっている」
「カラトさんですか。店長なんですね」
「ひとりしかいないから、店長だね」
「きみは、名前はなんていうの?」
「マユです。お願いします」
「お願いします」
簡単な自己紹介をした。
「これからきみには、選択肢が三つある」
「一つはデバイスを使って、時間移動して、一日分を元の生活に戻して、デバイスをまたこのダストに持ってきて終わり。二つめは、説明をきいたあと、協力という仕事をしてほしい。三つめは、その時計を破棄して、でたらめなことにつきあっただけと、ここをでていくだけ」
「一つめと三つめは、同じような内容だけど、納得するか、放り投げてしまうか、くらいの違いだよ。どうする」
「わたしは、わけわからないまま、放り出したくはないです」
「そしたら、三つめはなしかな」
またわたしは、紅茶を一口飲む。
「あ、砂糖はいる」
「普段はいれないけど、今日は、お願いします」
棚から砂糖をだして、テーブルに置いてくれる。
わたしは砂糖をいれて、スプーンでかきまぜる。
「話しの続きだね。その腕時計だけが、時間移動デバイスではないけど、現代の形にあわせて、流行をとると腕時計が一般的だ」
「ナノデバイスを内部に組み込み、ソーラー充電で通常の基本的機能をまかなう」
「大量のエネルギーを使う時間移動には、金属エネルギーを使う。すると、金属疲労で、時計は錆びていく」
「だから、未来では金属加工技術が発達し、デバイスをいかに効率よく動かしていくかに、予算が使われ、より小型になってきた 」
「より使いやすくするのに、あとで時計デバイスのニックネームを登録すると、呼び出ししやすいよ」
「あと協力というのは五年間のサークルの固定だ。つまり、この現時点時間から五年、それを身につけたまま、きみが移動することになった駅階段付近のサークルを制限固定してきてほしい」
「申請者がいないと、サークルゲートはいずれ消えるが、ダスト仲介者では申請できないからね」
「近くのサークルを維持管理するのも仲介者の仕事なんだ。と、その他にいくつか時間移動先の過去備品を利用する上でのルールと利用条件がある」
「あと申請する際には、現代周辺に展開されている十ヶ所の地図と申請者の名前リストも持ってきてもらえるといい」
またわたしは紅茶を飲んだ。
はじめは信じる気持ちなど、なかったが、要領や説明は丁寧だ。
「カラトさんは、ここの店員さんですよね」
「店員というより、店長だね。アルバイトを雇ったりもするけど、基本的には一人でお店を開いているよ」
「そうなのですね。手伝いするか、もう一日は返事は待ってほしいのですが」
と伝えると
「いいよ。わかった」
「注意すべき場所は近くで二ヶ所あるから、それに気をつけて移動すれば、部屋に帰れるはずだよ」
と教わる。