再会の丘での約束の返事
2x27年9月1日、ダストテンダーの二号店の開店の初日。
それを先に発見したのは、マユだった。
開店準備中の看板の前、花束が置かれていた。
開店祝いの花束かと思い持ちあげてみると、色とりどりの花のなかに、一つ違う光る花が差してある。
それは、マユには一目でわかる妖精の花だった。
さらに花束の側には、妖精の花と再会の丘を描いた絵が一枚置かれていた。
「カラトさん来て下さい!」
一号店から手伝いにきているメグと、カラトが近づいてきていう。
「なに? どうしたの」
「花が置いてありました。それにこれみてください」
みてみると、一つ違う光る花を発見して、二人が驚く。
「妖精の花だね」
「そうですよ」
「でも、誰が持ってきてくれたんだろう」
絵の他に一枚メモが下にあった。
そのメモには、メッセージが一つ。
ありがとう
きっとみんなの想い出。
妖精リリアより
となっている。
「妖精さんだ。しかもピピックとポテッタとは違う妖精だ」
「きっとお祝いにきてくれたんだね」
「そうかも」
とカラトとメグが答える。
「嬉しいね。でも、姿もみせてくれればいいのにな」
「そうだよね。でも、そこが妖精らしいね」
「そうですよ」
三人して笑いあう。
じゃ、この妖精の花と花束も目立つ場所に飾ってみよう。
そしたら、開店だ。
「はい」
メグとマユが返事をする。
今日は一号店は休みにして、駅前と公園から近くになるこの二号店をオープンさせる。
オープンしたあとは、一号店はマユとメグに任せて、カラトが運営する。
「いらっしゃいませ」
さっそく入ってきたのは、いつかのブレスレットを修理にきていた、お兄さんだった。
「使ってるネックレスが、そろそろ修理どきなんだ。それに、ブレスレットももうひとつほしくなってね」
カラトが相手になる。
「今日はオープンなんで、コーヒーか紅茶が無料ですよ」
「そうなんだ。じゃ紅茶温かいので」
「はい」
マユが紅茶の準備をする。
このダストテンダーの二号店は、喫茶店のように、カウンターと椅子があり、少しだけ料理メニューと飲みものがある。
まずはカラト一人だが、お店が大変なら、人員を考えなくては。
妖精が手伝いにでもきてくれないかな。
そんなことも考える。
マユがだしてくれた、温かい紅茶をお兄さんは飲みながら、商談になる。
「お店いい雰囲気だね」
「ネックレスは修理で、もう少し長持ちさせたいんだ。ブレスレット、なにかいいのありそうかな」
「それなら、この前仕入れたこの錆びつきのブレスレット、けっこういいですよ」
「よし、それにしよう」
「ゆっくり紅茶、飲んでください」
「ありがとう」
マユが近づいてきて、話しをする。
「この二号店、喫茶店もかねてるから、一人じゃ大変じゃないですか」
「でも、まだ一号店を二人に任せたばかりだからね。
オープンして、しばらくは喫茶と鑑定とで、うまくやってみてダメそうなら、一人追加しようかなぁ」
「ときどき様子見にきますからね」
「わかったよ」
「メグさんも様子見にくると思います」
「わかった」
「そういえば、カラトさん、妖精の花の丘で、言った返事まだなんだけど、どうなったの」
「返事って、まだしてなかったかなぁ」
「とぼけないでください。妖精のことが落ち着いてきたら、返事もらえる約束でしたよ!」
「まだ二号店がオープンだから、もう少しだね」
「もう、返事待つの長いなぁ」
メグが近づいてくる。
「カラトさん、さっきの絵、どこに飾りますか」
「そうだね。どこがいいかなぁ。カウンターのうしろの壁とかかなぁ」
「いいですね」
すっかりメグさんは仕事お姉さんになっている。
テンダーの一号店は、店長代理で、わたしとメグさんが二人でまかなっていくことになった。
少し不安もあるが、二号店もわりと近くだし、なんとかなるだろう。
それもだが、カラトさんからの返事がこない。
どう急かそうか。
次の妖精の約束には、まだ日はあるけど、今度メグさんに相談しよう。
マユは、店長代理になった嬉しさと、メグさんが妖精に強く引かれていて、カラトさんとは仲がいいだけにホッとしたけど、カラトさんが鈍くなかなかに返事をくれないのに、この数日は、悩んでいるのだ。
あとは、トワカさんにきいてみようか。
AIのメグさんなら、もしかしたら、速攻で返事をくれそうだ。
今度時間移動して、トワカさんにも会いにいこう。
そんなことも考えてみる、マユのこのごろだ。
最後まで読んでいただき、ありがとうございます。
この話は、はじめの構想ではゲームシナリオとして考えていたもので、いくつもの分岐点と、複数最終話を用意するつもりのものでした。
分岐は、特に時間移動とアイテムの登場する場面で、そのたびにカラトとマユ、それにメグが選択肢を選び、時間移動先が別の場所で、別のアイテムにたどり着く、といった感じです。
小説部分では、ストーリーをトワカがキャッチして、導くことになりましたが、ゲームでもし描くなら、だいぶ違う対応になったような気がします。
もし、この作品を気にいっていただけたなら、
現在すでに進めている
転生女子高生の話を続いて読んでいただければ、幸いに思います。
ここまで、読み進めてくださったかた、感謝の限りです。
十矢(Towya)




