未来からのメッセージ
カラトは二店めのダストテンダーに来て、開店準備をしているときに、その話しをきいた。
いまのダストテンダーをより大きくした、二店めとなるダストテンダーを開くための開店準備だ。
駅と公園の中間くらいの距離にあるそのお店で、棚を組み立てたり、書類を準備するなど、走り回っているとスマートウォッチに着信の表示があった。
スライドして電話に切り替えて、電話にでる。
マユからの電話だったそれは、メグからの話しだった。
ピピックとポテッタがいなくなって、連絡もとれなくなったようだ。
妖精は時間移動を管理するため、旅をしているが、今度のは本当に連絡もないらしい。
「もしかしたら、妖精ノートと関連しているのかもしれない」
「あの時いっていただろう。管理している妖精ノートが失われるのは異常なことだけど、ノートが役目を終えたのかもしれない。すると、次の再生まで、休みをとるのだと」
「それで、旅にでたのかな……」
「そうかも」
「妖精はそうそうは見つからないし、そんなには心配しなくてもいいと思うよ」
電話をきる。
メグはあのコールドタイムで閉じ込められてから、妖精と友だちになれたらしく、ピピックとポテッタの心配をしている。
あの日に、ピピックは言っていた。
「妖精ノートが役目を終えるとどうなるか、わからない」
「けど、預言の通りになくなるのなら、それは、預言までの役割だったと思うことにする。また他の妖精仲間にも、どうするのか聴いてみよう」
「これから、二人はどうするの」
きくと、
「コールドタイムを見守るのが役目だった。でも、ここで終わりになる。次の派遣先がみつかると手紙がくるから、それまで、待つよ」
「妖精仲間から手紙がくるのか」
「妖精郵便があるから、届けてくれるよ」
「妖精郵便屋さんにも、会ってみたいな」
「どうだろうね」
笑いながら、ポテッタはそんな風に言っていた。
二種類のトケルンはそのまま持っていたほうがいいらしく、そのまま利用させてもらっている。
どうやら、始めの所有者はポテッタとピピックだったらしく、それをトワカが発見して、このダストテンダーに出してくれたみたいだ。
どうにか、今日のところの開店準備の作業をこなしていると、あの時の光景を思い出す。
未来が限定されたあの日、再会の約束をした。
妖精二人とともに、花の咲く丘に、集合すると。
あのあと、カラトは未来に帰るべきか迷って、しかし、マユとメグがダストテンダーを手伝ってくれると言ってくれたため、未来には里帰りするだけにして、ここに残ることにした。
ときどき管理者会合から帰ってきた、他のダスト屋の仲間が、未来からの話しをしてくれる。
そして、そろそろ一店めをマユとメグに任せて、二店めを開店しようと、奔走している。
気づいてみれば、あれから六年過ぎていた。
「いらっしゃいませ。いまは営業してないんです」
開店準備中で、説明を続けようとして、入ってきたお客さまの顔をみて、作業を止める。
入ってきたのはトワカだった。
新しくデバイスができたのか、隣にはVRで表示されたAIのメグを連れている。
「トワカさん久しぶり。未来から、何かメッセージがあった」
トワカがときどきここを訪れるときは、その多くは未来から起こる出来事の困りごとを相談にくるからだ。
すると、二枚の手紙を出してきた。
「ピピックとポテッタから手紙がきたよ」
「驚いたね。妖精郵便は本当にあるんだな」
AIのメグが話す。
「内容は、妖精ノートが失われたことと、みんなを集めてほしいってことだよ。きっと、妖精ノートが失われたことで、妖精の花が必要になったんだね」
「トケルンと皆を連れてきてほしいっていう内容だよ。早くのほうがいいのかもしれないから、明日だね」
「明日か。忙しいね」
「駅前の黒いサークルゲートの再延長は、今日すませてきたよ」
「明日、駅前に集合して、黒のゲートから2x57年にいこう」
「わたしは先に移動して、花の咲く丘で、ピピックとポテッタを少し探してみるよ」
「わかった」
「それから、これを」
トケルンに似た、特別な時計をトワカが出してくる。
「メグに渡してほしい。三つめのトケルン型のデバイスだ。明日それを身につけて、集まってほしい、と伝えてくれ」
それじゃ、とトワカは帰ろうとする。
「待って」
「そういえば、きいてなかった。トワカは移動デバイスで、何を使ってるの」
すると、ネックレスと腕輪と、指輪をみせてくれた。
これら三つが相互でAIメグをサポートしているらしい。
特に腕輪デバイスが、スマートウォッチと同様に稼働するから二つ身につけていて、それで移動デバイスは足りているそうだ。
「ダストタイム社は、活躍しているね」
きいてみると。
「まだ開発中のものはたくさんある。今度持ってくるよ」
「博士はすごいね」
くるりと後ろ向きになり、そのまま、お店を出ていっしまう。
「ありがとうございました」
今度は、マユとメグに連絡をとることにする。
メグは心配していたから、再会の話しをすれば喜ぶだろう。
あれから六年。
妖精は、きっとほとんど変わらないに違いない。




