再会と妖精
扉を開いてみると、部屋のなかは誰もいないはず。
しかし、そうではなくて、そこにはメグがいた。
メグは突然開いた扉と、カラト達二人にびっくりしたようだ。
「カラトさん来てくれたんだ。驚いた。でも、扉がどうして開いたの」
「メグさん、よかった無事で!」
「君のヒントの通り、この部屋にずっといたんだね」
「となりのひとは、マユさんだ。いまテンダーで、手伝ってくれているひとだよ」
メグさんがこちらに近づいてくる。
そして、カラトさんとわたしに抱きついてきた。
「ありがとう。二人とも。探しにきてくれたんだ。嬉しい……ありがとう」
マユは嬉しいけど、少し寂しくて、複雑な気持ちがする。
「メグさん、探しました。見つかってよかった」
「二人とも、妖精は見なかった」
「えっ」
カラトさんがびっくりしている。
もちろんわたしも。
「妖精みたんですか」
「見たっていうか、一緒に暮らしてるよ」
「そうなのかい?」
これには、カラトさんは不思議そうだ。
でも、どういうことだろう。
「妖精って本当にいるの」
「そうだね。もう少しで帰ってくるよ。いま買いもの頼んでるから」
メグさんは普通なことのように話す。
「そうなんだ」
「いま、飲みもの入れるから、座ってて」
これには、カラトさんが
「飲みものなら買ってきたよ」
「気がきくね。じゃ、落ち着いて、話しでもきこうか」
なんだか、メグさんは楽しそう。
カラトさんは
「あぁ、わかった」
と返事をする。
メグはさっそく飲みものを飲みはじめた。
そして、三人で情報交換をしはじめたときに、ガチャンと音がして、妖精たちが帰ってきた。
妖精たちが帰ってきたが、びっくりしたのはカラトたちだった。
もちろん、本当の妖精に会うのははじめてだからだ。
妖精のひとりは、帽子を被り、羽がはえている。
少しトゲトケした風な羽だ。
目元が隠れていてみえない。
マントを羽織っている。
妖精のひとりは、ウサギのような感じだ。
羽がはえているが、フワフワした羽だ。
腕に時計をしている。
目元は赤っぽく、耳がおおきめだ。
「びっくりした。お客さんきたね」
「本当にきたね」
「本当だね」
と話している。
メグが紹介してくれる。
「コールドタイムに入ってから、お世話してくれてる二人の妖精だよ」
「名前えーと、もう一度話してもらっていい?」
妖精帽子が名前をいう。
「ピピッポテテププック」
続けて、妖精ウサギが名前をいう。
「ププピタッドポテッタ」
「っていう名前なの」
「長くてわからないから、ニックネームつけて呼んでるよ。妖精帽子をピピックって呼んで、妖精ウサギをポテッタって呼んでるよ」
帽子のピピックがいう。
「これでも名前短いほうだよ」
ウサギのポテッタがいう。
「そうだよ。はい、これ今日の買いもの」
ポテッタがマイバックを差し出してくれる。
「ありがとう」
「それで、コールドタイムが三人になったね。妖精ノートにつけておくよ」
「でも、三人はイレギュラーだよ」
「移動用サークルのエラーがここまでとはね」
「そうだね。トワカの預言は的確だった」
「でも、この出来事はトワカとは違う。きっと意味があるよ」
「記憶ノートにも書いておこう」
二人の妖精は真剣だ。
カラトは、ゆっくりと話しをしてみる。
「お二人はじめまして。カラトといいます」
マユもいう。
「マユです」
「メグさんを助けてくれていたみたいで、ありがとうございます」
「でも、妖精に会うのははじめてで、何から聞こう」
「カラト、きみのことは知ってるよ」
妖精ウサギもうなずく。
「知ってるよ」
「メグが話してくれた。メグを助けるというより、コールドタイムを守るのが仕事だから、大丈夫」
「じゃ、時間移動に関わったから、ここで妖精に会うことができたのかな」
「そうともいえる。でも、トワカの預言にはないことだ。きっと意味がある」
カラトは気になることはいくつもあるが、肝心なことをきいてみることにした。
「もしかして、預言者トワカがここにくるのですか」
「メグを閉じこめたのも、トワカが」
これには、帽子のピピックが答える。
「トワカはくるだろう。でもイレギュラーだ。きっとメグは、何か役割があって、それでコールドタイムの閉じ込めにあったんだよ」
「妖精たちの役割はコールドタイムを守り、円滑に妖精ノートと記憶ノートを引き継いでいくことだよ」
「でも、それが何か原因あって、トワカの預言の通りになるんだ。妖精ノートか記憶ノートか、失われてしまうのだろう。それが預言の世界崩壊につながるよ」
「そうなんだ。いや、よくわからないな。混乱してる」
「ふふ」
妖精ウサギのポテッタが笑う。
「大丈夫、時間はあるよ。ここの時間は三十年ある」
腕時計をさしている。
「トワカがいない限り、三十年ここにいるよ」
「えっ。それってわたしたちも」
マユが驚く。
「そうだよ」
「わたしたち迎えにきたの。だから、帰れないの」
「コールドタイムは、一度行うと、あとは契約者しか解除できないよ。契約者はトワカ。だから、彼がここにくるんだよ」
「預言者トワカがここにくるの」
「そう。彼はここを凍らせたんだ」
「結局、メグが元に戻るには、トワカを探すしかなかったんだね。メグさん、ごめんね」
「いいよ。助けにきてくれたから。それでいい」
マユは、少し泣きそうになってしまった。
「それじゃ、妖精紹介もすんだし、なんとかここで暮らせるようにしよう。それに、トワカはもっと早くにここを訪れるかもしれない」
「これだけ、イレギュラーがあるんだもん」
「そうだね」
ピピックとポテッタは、二人して話している。
「あとで、また妖精二人に買いものを頼んでみないとね」
ようやく思いだしたように、マユとカラトは飲みものを飲み、そして、メグの生活の仕方と、妖精の扱いを教えてもらうことにする。
この日、また晩ごはんの買いものと、カラトとマユは必要な寝具や洗面用具を妖精に頼み、妖精たちは、買いものをたくさんして戻ってきた。
そして、それらを拡げて三人で話しているうちに、疲れてきて、寝具を拡げてマユは早めに寝てしまった。




