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妖精は部屋のなか

 ベンチから立ち上がり、再び公園のサークルに二人して、飛び込んでいく。


 バシバシッという音。

 目眩や耳鳴りまでする。

 光と音のうず。



 そのなか思わず、ふらつきカラトさんの腕をつかんでしまう。

 カラトさんの声がきこえた気がするが、覚えていない。



 気づいてみると、ベンチによりかかるように座っている。

 カラトさんが、何か話しかけているが、よくはきこえていない。

 だんだんと音が戻ってくる。

 さっきより、時間酔いがひどいみたい。


「目眩は治ってきた」


 カラトさんが聞いてきた。


「ええ、少しは薬も効いてるかな」


 ベンチから、少し起きあがる。


「わたしより、カラトさんは」

「こちらは、まだ平気だよ。目眩は残ってるけど、たいしたことではないよ」

「そう。よかった」

「少しここで、休もうか」

「はい。いまは、いつですか」


 カラトさんは、自身のもつ時計デバイスに話しかけている。


 無事三年前にはこられたようだ。

 いまは、遠巻きにいたネコの姿もみえない。

 代わりにベンチは新しいもののようだ。


「三年前のこの日に何があったのでしょう」

「わからない。でもきっとここにあるよ」

「カラトさんはメグさんと話しできたら、どうしますか」

「とりあえず、元気かを確かめられればそれでいいよ」

「そうなんだ」

「マユさんは、話したいことある」

「もしきけるなら、妖精の話しをききたいな」

「そうだね。妖精パラレルシフトのレポートには、メグという名前がでてくるんだ」

「そうなんですか」

「探しているメグさんかはわからない。けど、その子も行方不明になるんだ」

「預言者トワカってすごいですね」

「そう。でも、なんとか預言を変えないとね」

「そうですね」


 移動して失われた記憶はどこにいくのだろう。

 マユは考えてみる。

 過去に置き去りになるのだろうか。



 ときどきカラトさんが無茶をしそうなときがある。

 まるで、無茶をしてもすぐ過去になるから、平気という感じ。

 それは、メグさんのためでもあるだろうけど、少し意地をはるひとなのかもしれない。

 マユはそこが、いいと思っている。


「大丈夫そう」


 カラトさんがきいてくる。


「はい」

「よし、そろそろいこうか」


 マユはベンチから立ち上がり、歩きだす。

 となりはカラトさんだ。

 そして、まずはこの時間のテンダーに向かう。



 すると、テンダーのお店から、ひとりお客様がでてくるところだった。

 この時期にマントを着て、サングラスをしている男性だ。


「あの人だよ。トケルンの二組を持ってきたのは」

「あとを追いかけましょう」


 マユがいって、走っていく。

 追いかけていくと、その男性は、駅前に向かうようだ。

 そのまましばらく、あとをついていく。



 そして、駅前のロータリーを周り、駅のゲートに入る直前、黒いサークルが発生しているのに気づいた。


「あの人、やっぱり未来のひとです」


 走っていくと、そのひとはサークルの内がわに消えてしまう。

 しかし、サークルゲートはそのまま消えずに、停滞している。



 駅前のも不安定になっているのか。


 そのまま、カラトとマユは走っていき、その黒いサークルに飛び込んでしまう。


 バシバシッという音。

 激しい音と光が巻きおこる。



 目眩と耳鳴りのなか少し声が聞こえる気もするが、わからない。

 意識が飛びとびになっていく。



 カラトとマユは気づいてみると、近くのベンチに座り込み、目を覚ます。


「マユさん。起きた」

「カラトさんは大丈夫? さっきの男のひとは」

「見失った。いまはいつだろう」


 DTの設定を動かしてはいないが、トケルンを呼びだすと、元のDT00の7月1日になっている。

 ここの時間指定に、先ほどの男性が設定していたのかも。


「でも、これではっきりした」


 メグさんはテンダーからの帰りのひとを追いかけることで、この日にきていたのだ。


「カラトさん、具合は」

「だいぶきついね。飲みものを探してみよう。マユさんは」

「大丈夫」

「カラトさん、もしかしたら、トケルンを拾った日かもしれない」

「え。そうか」

「じゃ、ここでメグさんが戻ってきて、それで、トケルンを落としたのか」

「一度帰っているし、メグさんの部屋にいってみよう。何かメッセージがあるのかも」


 自販機を探しながら、メグさんのアパートまでの道を歩いていく。

 途中自販機で飲みものを買い、その場でカラトは薬を飲む。


「さぁ、もう少しだね。いこう」



 メグさんのアパートにつき、まだあるかと思ったサークルは、もう存在していない。


 あの日に消滅したからだ。


 チャイムを鳴らしてみるも、誰もでてこない。

 メグさんとは、行き違いになったのかも。

 試しに、マユはポストをみてみると、カギがあったように、一枚のメモがみつかる。



 妖精は部屋のなか

 預言者トワカ

 トケルンの前の持ち主



「えっ」


 二人して、よくわからなくなってしまう。

 そしてカラトは気づいた。


「そうか。テンダーにきた、あのひとがトワカなんだ」

「そうなんですね」

「そうだ。だから、メグさんは追いかけることにした」

「じゃあ、このあとメグさんは行方不明に!?」

「よし、もう一度駅前にいこう」


 二人して、急いで駅前までの道をいく。

 駅前の黒いサークルが出現して、トワカらしきひとが入っていくところだった。


 そして、カラトとマユも再びその不安定な黒いサークルに飛び込んでいく。


 バシバシ、バシッ、光の渦のなか。

 音が巻き起こる。



 目眩が起こり意識が遠くなる。

 そのなか今度はしっかりと声がきこえた。



「カラトさん」



 駅前のベンチ。

 二人はまたしても、そこに座り込み意識が戻る。

 マユは、頭痛のなかトケルンを呼びだしてみる。

 DT00の7月1日だ。

 戻れていない。

 いや、入る前に時間をずらしたから、一時間は経つはず。


「マユさん、わかったよ。7月1日のこの時間からだ」

「カギは持ってきた。あのアパートにもう一度いこう」

「どうして」

「未来からの技術で、コールドタイムがある。一定の空間を凍結させて、時間位相を行うんだ」

「そうして、技術や遺産や知識を保存する。メグさんはきっと、巻き込まれたんだ。あの部屋にいるんだね」



 今度は、ゆっくりと二人して、アパートの部屋までの道のりをいく。

 途中自販機により、飲みものを三人分買った。



 そして、アパートの部屋の前につく。

 深呼吸をして、アパートの部屋のカギを差す。

 扉のカギがあく。



 扉を開いて、そうして出会った。

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