きっと会える
二日後のこと。
漫画喫茶から戻り、マユが朝ダストテンダーにいくと、店長はもうきていた。
「おはようマユさん」
「おはようございます」
「できたよ。修理。これできみは未来に帰れるね」
どこか、寂しそうに店長はそう話す。
「そして、きっときみのことを夢のように感じて、三年時間が過ぎてしまうのさ」
「店長、なんだか寂しそうですね」
「いや嬉しいんだよ」
「大丈夫ですよ店長。すぐにいい子が、助けてくれます」
「でも、その手伝ってくれる子がいなくなるのだろう。未来を変えられないのか。もどかしいね」
「大丈夫。店長のおかげで、進んできました。きっともうすぐ会えます!」
「わかった」
「そういえばマユさん。マユさんはなぜそんなに懸命に探してくれるのかな」
「それは、たぶん何か助けたいって気持ちが先に来たんですよ」
「時間移動っていう不思議な現象に、放りこまれて、最初はびっくりしたけど、それは、何かわたしにできることがあるってことでしょ」
「前向きだね。いいな。そういう姿勢。見習うことにするよ」
「よし、二人でパラレルシフトをおこそう」
「そうです。その勢い」
二人して、笑いあう。
やはりどこか子供っぽい店長だ。
「でる前にきいてもいいですか」
「どうぞ」
「妖精って、逢えると思いますか」
「みつけるのは、大変だ。でも、いてほしいって思ってるよ」
「それに、時間管理に何か関わっているような、そんな気がしているよ」
「わかりました」
「きっと、逢えるよ」
「そうだね。そうだといいな」
こうして、店長のいるダストテンダーをでて、彼女の部屋の前まで歩いて向かう。
彼女の部屋の前。
薬をもっているか確認して、深呼吸して、部屋の前にあるはずのサークルゲートに飛び込む。
バシバシッ、するどい音がする。
目眩がきて、光の渦がみえる。
そして、設定したDT00_0714に戻ると同時に、彼女の部屋のカギがみつかった。
それはサークルに飛び込み、部屋の扉によりかかったときだ。
そのとき、彼女のポストの内側に何か違和感がして、ポストを確かめることができると、その内側にカギが貼りつけてあった。
メグさんは、やはりいなくなった場合、そのあとのことも考えていたのかもしれない。
そして自動メッセージを受信する。
以前にもあった自動受信だ。
妖精は部屋のなか
こうトケルンに表示される。
そして、また意識が弾かれるように、気絶してしまう。
気づいてみると、部屋の外、廊下にもたれていた。
手にはカギ。
そうか、マユはようやくわかった。
サークルは二重に出現し、それが重なり、どちらかに入るかわからないため、歪んだ空間をつくっているのだ。
この部屋の前には、二つのサークルが重なりあい、部屋全体で位相を越えた空間が広がっているのかもしれない。




