錆びた時計
ある仕事終わりに出歩いていた交差点。
信号待ちをしている。
信号が変わり歩き出そうとすると、チャリ、と足にぶつかり、何か道路に転がっていることに気づいた。
それは、何か金属だ。
それを拾った。
少しさびていて壊れそうな時計だった。
壊れそうとは思っても、そのスマートウォッチの表示はエラーとなっている。
いま落としたひとがいるのかもと思い、信号待ちで、前にいた女性を探してみる。
渡りきった先の建物の側にいる。
あわてて追いかけて、声をかけてみよう、と思い近づく。
しかし、声をかける前に黒いサークルのようなものが一瞬そのひとの周りに拡がる。
そして、すぐに輪がせまくなって消える。
なんだと思うひまもなく、追いかけた女性は、その拡がるサークルと一緒に消えてしまった。
目の前には、閉店しているお店の扉の光景があるだけだ。
現実とは思えないが時計は手のなかにある。
混乱しつつも、人が消えてしまった、なんてありえない。
見間違いか。
疲労のせいだろうか。
仕方ない、とにかく見間違いが起きたと納得させ、バックからスマホを取り出した。
その場で、修理という検索をかける。
きっと錆びつきの時計では、届けても警察もあきれてしまうかもしれない。
修理すれば、キレイになるのだろうか。
しかし、修理だけではしぼりこめはしないから、検索項目から、修理やさび、こわれているか不明、時計、といった言葉を並べて検索してみる。
立ち止まったまま、検索の結果をサラリとみていくと、修理屋、時計屋の次に、ダスト屋とでてきた。
ダストって何だろう。
鑑定とかかもしれない。
ダスト、修理、鑑定、錆びと検索の項目の並びを変えてみる。
鑑定屋、修理屋、ダストテンダー。
検索結果には、どうやらお店のホームページの表示がでてきた。
鑑定屋さんのことだろうか。
住所は割りと近いようだ。
自宅に帰る前によってみようと、住所と電話番号をスマホにメモする。
そのあとで、何故かこの時計のことが気に入って、歩いて向かうことにする。




