いまは行方不明なメグの話し
いまは行方不明になっているメグさんは、少し風変わりでハッキリとものをいうひとだそうだ。
「あるカギを預かり、部屋を借りて住んでいます」
そういってテンダーにきた。
彼女は、フットワークが軽く、その部屋から近くで、雇ってくれるところを探しているとマユと同じように、サークルにひとが入っていく、奇妙な風景を目にした。
そして、そのあとその似たひとが、サークルが再び現れてダストテンダーまで歩いていくのをみて、お店があることを知ったらしい。
カラトさんはカギをみせられて、驚いたらしい。
テンダーの文字が刻んであるからだ。
もちろんカラトさんは、そのカギを覚えていない。
「このカギ預かりものなんです」
「駅前で男性にナンパされて、ナンパですかってきいたら物件屋だって」
どうやら即日入居で、かなりお得家賃で、オシャレだったらしく、すぐにその部屋に決めたらしい。
「ただ条件があって、オリジナルキーのひとつしかカギがない」
「あと、ときどき日付が、わからなくなる」
「どういうことですか」
とメグさんは、物件屋にきくと、どうやらそのままの意味で、それで入居者が入らないらしい。
「それくらいなら、ってそこにしました」
でも、保証人が必要なんですが、と言われて、カラトさんが後日サインをしにいったらしい。
それで、ダストテンダーで雇うことになった。
それから、時間移動について話しをして、以前から動作が不安定らしい、その公園にいってもらって、調査を数ヶ月してもらうように、頼んでいた。
あまり頻繁ではなくて、一ヶ月に一度を一年間くらいの調査。
あとはきみと同じで、留守を頼んでみたり、査定を手伝いしてもらっていたよ。
ただ、公園のはどんどん不安定さを増していき、六ヶ月めには、過去に戻り、七ヶ月めには、記憶の一部が曖昧だと言われたりした。
様子がおかしくて仕方なくなったのは、ちょうど一年になる前のこと。
「日付が、もう何日か数えられていない」
「どういうこと」
カラトはたずねた。
「アパートに帰ってからの日付がいつなのか不明なの」
「アパートの部屋の前に、サークルができている」
「いつから?」
「もう何度めか、わからない」
「はじめの二回ほどは、移動のあと気を失うほどで、気づいたら、部屋のなかを繰り返すことになりました」
「だけど、それは夢のことかもと思い、繰り返してしまったの」
「そのあと、スマホも故障しだして、ここにきたけれど、いまはいつ」
「DT00だから、そのままだよ。日付は、6月30日」
「ああ、やっぱりズレてしまってる。このスマホをみて」
通信ができないスマホは、6月27日の表示だ。
「6月27日の夕方からの記憶がない」
ここまで事態が深刻な話しとは思わなかった。
「そう、わかった。今回の調査は中止にしよう。スマホを預かるね。修理してみるよ」
こうカラトはいうと
「調査は続けたい」
彼女はこう話した。
「一度中止にしたほうがいい」
「もしかしたら、公園のサークルとわたしの部屋の扉の前のものは、関連するかも」
「それに、未来の金属を持ち込めないなら、カギが開かないし部屋に帰れない」
「もう少し、調査させて」
こう彼女は言う。
「わかった。とにかく、修理するから、その間は、このお店で寝泊まりするといい」
「ここで、いいの」
「ああ、明日スマホを返すから、それまでいたらいい」
「わかりました」
お店を早めに閉めて、カラトは修理作業をした。
その間、さまざまに彼女と話した。
残りは、明日の作業として、お店を彼女に任せて、その夜はカラトは帰りになった。
7月1日、カラトは朝早めにお店につき、スマホを返す。そして、彼女は、アパートのカギ、ネックレスとブレス、腕時計、スマホを持ち、公園の調査にでかけた。
そのまま、一度めの移動をすると、連絡あって、そのあとから途絶えてしまった。
そして、その後すぐの日、きみが彼女の刻印つき腕時計をもってここにきたんだ。
「公園のサークルを不安定なまま、調査をしたかったのも、彼女を探したいからなんだ」
「ただ、もしうまくいなかいなら、公園サークルの一時封鎖もお願いしたんだ。それがなぜそのままなのか」
このように、カラトさんは話しをしてくれた。
「ごめん。彼女の一年間の調査を無駄にしたくなくて、きみを巻き込んでしまった」
「説明が足りなかったのは、危険を強調したくなかったからだね」
「じゃつまり日付では、ほぼわたしと入れ替わりで、連絡がないんですね」
「そう。あのあと、公園サークルの調査にいく前に、彼女の住所の部屋の前まで、いってきた」
「すると、確かに金属で反応する、時間移動サークルができていた」
「けれど、誰も申請していない野良サークルとは、非常に珍しいだろう」
「部屋に近づけないから、声で呼びかけたが返事はない。スマホもつながらない」
「カギは彼女だけのしかないから、部屋を開けてももらえないんだ」
これで、調査をする意義がわかってきた。
カラトさんのいいたいことも。
「探してみます。彼女のこと」
「きっと駅出口サークルで、時計デバイスが落ちてしまったのが、この時間でみた、彼女に違いない気がします」
「それをわたしがひろったなら、わたし、彼女を探していきたい」
少しカラトさんは、だまっている。
けれど、
「わかった。お願いします」
こういった。
「ほかに何か隠しごとはないですか」
「今回のことについては、もう話したよ」
「じゃ、ほかにはあるんですね?」
「ほかのことは、さらに長くなる。今度にしよう」
「もう閉店にしたから、そろそろ帰るといい」
「わかりました。明日、作戦会議ですね」
「作戦だね。わかった。そうしよう」
なんとなく、カラトさんに子供扱いされている気もする。
「じゃこれで、今日は帰ります」
「じゃ」
そして、次の日。




