表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
10/44

時間仮説

 二日後出勤日に


「おはようございます」


 と店長に挨拶すると


「おはようございます。裏にあるテーブルで会議しようか」


 と話し合いになった。


「何かまずいことですか」


 たずねると、


「マユさんは、熱心でいいね」


 少しだけほめてくれた。


「まずは、三つの原則の話しをしよう」


 三つとは、こういうものだそうだ。


 一つ、オートリバース機能を使うと、トンネルに穴を開けるようなエネルギーのため、金属を疲労させやすいため、トケルンが壊れてしまう。

 オートリバースとは、つまり緊急避難のことで、設定しておくと便利だが、店長はおすすめしないらしい。


 二つ、未来よりも危険なのは過去だ。

 理由はこのダストテンダーが開店するより前に戻ると、店長と話しができなくなり、時計が壊れてしまったあと、修理できずにこれからの生活や経験を無駄にするかもしれない。


 三つ、秒をきざむほど細かい移動ほど危険だ。

 過去の経験では、一分に六回移動を繰り返した場合、金属劣化がおこり、手持ち金属がすべて壊れて、移動者は記憶をなくすほどの衝撃をうけたらしい。

 つまり、のんびりと移動時間を確保するほうが、より遠くに移動しながら、長持ち便利に使えるということらしい。


「店長は、時間移動を利用した、悪さは考えていないのですか」


 こう聞くと、


「妖精と時間仮説を教えようかな」


 という話しになった。


「時間管理と移動を平気でできるのは、時間の柔軟化という要素に任せて、葉が落ちるのを待っているからだ」

「例えば過去の自身が存在する空間に、移動した時点で、過去の自分の記憶を上書きするだけで、変化はホンの少ししか動かせない」

「できるのは過去では、管理と観察だ。だから書き換えるなら、未来だ」

「一番分かりやすいのは、未来におこる事情をすべて過去のひとに説明するとする。それをおこなうのなら、そのあと説明時間分だけ、過去消費を起こす」

「そして、移動から戻ると寝ていた夢のような存在にしかならない。これを俗にいうと妖精パラレルシフトと呼ばれる」

「幻の妖精をみつけて、それをほかの相手に理解してもらい、その相手が妖精を見つけられるように努力すると、努力が一生分かかり、未来においついてしまうこと。未来のことは未来にしかないんだよ」



 妖精パラレルシフトはそういう意味の言葉なのだそうだ。


「けれど、一人だけ妖精をみつけたひとがいる」

「妖精をみつけた、ですか」

「博士の話しは今度にしよう。でも博士は妖精をみつけたようだ」


 と言われてしまった。

 ここまで説明を受けとると、


「トケルンは使い方は、まだ慣れないかな。そんなに日付経っていないし」


 と聞かれる。


「まだ不慣れですけど、少なくとも愛着は湧いてきましたよ」

「そうか」


 店長が不意にいう。


「もしかしたら、きみはそのうち幻の妖精に出会うかもしれないな」

「幻の妖精?」


 とりあえず、


「わかりました」


 と伝える。


「今度はどんな依頼ですか」

「公園にあるサークルが不安定なのは話したかな。危険もあるが、その不安定な要因には、未来の要素のうち現在進行形の様子で、おそらく時間管理が変更され続けているのだと思う」

「依頼は、たぶんうまくいかないかもしれない。けど、できるかぎり細かな事情を知りたい」


 それは、ある日程から一年ごとに、ダストテンダーにいきつき、その場にいる店長からの依頼をメモし、不安定なゆらぎが起こったら、どの地点に飛ばされているのかを三年期間ほど試してほしい、という依頼だ。


「現時点DT00から三回分。その三回で何か起こるかもしれない。戻れなくなる危険や体調不良、いくつか続くかも知れないけれど、受けてくれるかな」


 そのつもりで出勤してるわけなため、


「はい」


 と返事した。

 すると、まずは今日テストで、サークルが不安定かを確かめるから、留守をまかせた、と少しの間の留守番を頼まれた。


「一時間後で戻るから、それまで」


 と言われて、店長と細かな仕事の打ち合わせをする。


 打ち合わせは、拾いもの屋さんがきたら、査定表示をみながら、個別判断することと、責任者不在だから、と日程を教えてもらうこと。


 並べた商品は、時計デバイスは説明が大変だから、それ以外の品物なら、割引は適度にして販売していい。

 あとは、固定電話が鳴る場合には、ロクな用件はこないから、出ないで留守電をきいておいてくれ、ということだ。


 それで、店長は調査にでかけてしまう。


 その一時間の店長不在の間には、以前きた拾いもの屋さんが、別の二人を連れてきた。


「いらっしゃいませ」


 どうやら、拾いもの屋さんは、連れてきた二人の訓練らしい。

 集められた金属品物だけ、査定してどういう価値かを判定した。

 それより先は、


「ごめんなさい。責任者不在だから、後日でいいかな」


 とお願いした。

 話しをきくと、拾いもの屋はホントに誰にでもなれるらしく、ひたすら歩いて金属拾いをするらしい。

 あとは、拾いもの屋の人脈を把握し、場合によって交渉すること。

 また来てもらうときには、もっと話をきこう。


「ありがとうございました」



 二時間ほどして店長が戻ってきた。


「ただいま」


 と帰ってきた。


「一つ報告、使っていた古い指輪が錆びて壊れたよ」


 と説明に入る。


 やはり公園のものは、移動を複数回すると、不安定になるそうだ。

 一度過去時間に飛ばされ、それで三十分調査に使ったりと、大変そうだった。

 こちらも拾いもの屋さんがきたこと、電話が一度きたことを伝えた。


 もし、依頼をこなしにいくなら、アイテムの調整をして、それからがいいといわれて、錆びた指輪の二号機を店長に修理にだした。


 あとは、通常業務時間となり、依頼はさらに二日後に実行となった。

 期間があくため、その間は、時計デバイスのトケルンと仲良くなることに努める。


 ホントのところは不明らしいが、デバイスと仲良くなると、錆びの進行具合がおそくなる、という伝説があるらしい。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ