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第四話

魔力とは精神に紐づくもの。

得意とする魔法によってその人の精神性は分かるものである。

鉄板の三属性である炎や氷、雷。

他にも闇や光、そして私が得意とする水属性。

水属性とは治療や強化など、体に深く関わる属性だ。

三属性は攻撃や武器への付与エンチャント

闇は物質に対する干渉が主で光はもっぱら治療方面だ。

闇や光を得意とする者はかなり希少で、大体の人間は三属性を得意とする者が多いらしい。

私の水属性はどうかって?

ま、まあ回復できるし重宝はされるのではないだろうか。

希少ではないし、回復なら完全に光に負けてるし。

光は聖女の家系から安定供給されてるのでぇ、あんまり話題には上がらないよね。

医者ならば修めておきたい魔法ではある。

三属性、いや水も含めて四属性だった。

これは基本の属性とも言えはするのだが、やっぱり専門なら三属性に一歩劣る。

攻撃魔法が一切ないからだろうね。

それに人体に関する専門知識が必要だからなのもある。

なので医者になりたい、とか人体について触れる職業とかにつく人でない限り習得難易度自体が高いのだ。

勇者パーティに入るなら確実に光使える聖女に軍配が上がるだろうし。

まあ、平穏に暮らしたいのでそんなに気にしないけどね。


「と、みんな知ってる魔法講座だな」


「知らなかった私はどうすれば良いのでしょう」


「知らん」


ぺしぺしとなんか教師が持ってそうな鞭的な何かを持った先生。

セイナとマリアとコレットが後ろに立っているこの状況。

授業参観かな?とそんなことを思っている私である。


数分前に初めて会った先生。

自己紹介をしたら即始まった授業。

魔法についての基本を事細かに教えてもらった。

先生の特徴はというと、ものっそいデカパイの魔女である。

黒い三角帽子に黒いドレス、完璧すぎるくらいに魔女な見た目でドスケベが過ぎる。

それなのに大人のお姉さんぽい性格ではなく女騎士っぽい性格って、これはイイ。

くっ殺魔女とかどこの私得だこれは。

名前はぁ、ヤヨイさんでーす。

東の方の国出身だそうでーす。


「得意なのは水だったか」


「はい。他の魔法がからっきしでして」


「使えるのは水のみ、ということか」


「いやぁ、そうともいえなくて‥‥‥」


「‥‥‥?どういうことだ」


言いづらい。

割と勉強したのに他の属性扱えないどころか水の他の魔法も使えないなんて。

自己強化しか使えませんなんて言いづらいのだな!


「使えるのは強化のみです」


うむ、マリア君。

言いにくいから言ってくれるのはものすごくありがたい。

ありがたいのだけれどもうちょい濁してくれる嬉しいんだけどなぁ。


「ふむ。本当か?」


「え、ええ。その通りです」


「ほう」


なんだか声色が変わったんですけど。

怒ってるの?スパルタって聞いたけどどれだけなんですかね!

視線もなんだか冷たい感じになった気がする。

怖いです。


「水属性ならばまずは知識だな。テストだ」


お、それなら得意分野。

教科書知識なら誰にも負けんぞ、百点目指すぞーバリバリ。


「さすがは公爵令嬢。知識は十分だな」


「そう言われると嬉しいですわね」


「ならば、魔力の問題か。使えるものを使ってみてくれ」


「分かりました」


水属性魔法、その中でも強化魔法は同じ属性魔法の中でも少し異質だ。

回復なら細胞組織の修復、臓器を作ることや無くした腕を再生させることは不可能であるが速攻で回復させるだけならば光魔法にも劣らない。

後は死因を調べることや死亡推定時刻など、司法解剖のようなこともできる。

まあ回復以外の用途はこれくらいのものだが、体を強化もできる。

しかし、少し原理が違うのだ。

根本的には他の水魔法と同じだが少し回復とは毛色が違う。

筋肉の動きを促進したり、原理は不明だが闘気を纏うことも可能である。

私の場合は紫である、禍々しいな。


「ふむ」


「どうです?」


「魔力の量は問題ない。質もいい」


「でしたら、どうして?」


「思いつくことは一つ。お前が魔法に対して極端に適性がないことだな。しかしそうだとすると一部の、強化だけ使えることの説明がつかない」


たまーにそんな体質の人間がいる。

魔法を使えないこと以外は普通の人間、文字通りの劣等種なわけだ。

当然ながら、差別対象になる。

まあ私は一つだけ使えるけどね!


「少しだけ適性があったとか」


マリアちゃんそれいい質問。

魔法一つしか使えないくらいの適性しかなかったとかな。


「それならいつかは使えるようになる。コイツの魔力の量と質、どちらも高水準だ。これで魔法が使えないとは誰も思わん」


マジでか、そういうもんなんだねぇ。

そんなに私の魔力の質いいんだ、一年くらい頑張ってたから量には自信があった。

質もいいんだ、公爵令嬢ってすごい。


「使える方法はなにかありますの?」


「ないわけではないな。使えないことがおかしいんだ」


魔法はロマン、やはり使ってみたい。

それに公爵令嬢が魔法使えないのは世間体がなぁ。

クソ親父をぶん殴るまでここを出る訳にはいかないし。


「何がありますの?」


「師匠」


「‥‥‥ああ、そうだな。これは危険な手だ」


責めるような視線をセイナが先生に向ける。

最後、危険な手だと言うと三人が私の前に出た。

守ってくれるように、三人とも睨みつけている。


「どうしたのよ三人とも」


「お嬢様を命の危険を晒す訳には」


「必ず守ります」


「信頼してない訳じゃないんですよ?」


「いや、そういうことじゃなくて。で、先生?方法は」


「知りたいのか」


やめてくれ、そんな言葉が聞こえてきそうだ。

しかし、ロマンは求めたい。

魔法使いたいんですねぇ!


「もちろん」


「お嬢様」


「やるかは置いておいて、ね」


「うむ、分かった」


そう言って先生は一冊の本を持ち出す。

魔導書、そう言って机の上に置いてくれた。


「これをどうやって?」


「中に入って試練をこなす。以上だ」


「中で死んだらそのまま死んじゃうんですよねぇ」


「えっと、危険なのね?」


「ああ」


魔法を使いたい、されど使えない。

使おうと思えば死ぬ気で試練をこなせと。


「‥‥‥他は?」


「ないな。何年ほど鍛錬をしたんだ?」


「うーん、一年と半年ほど」


「それならば極められないまでも使えはするはずだ。うむ、となれば本格的にこれしかないな」


HAHAHA、やるしかないですね。

一緒に入れるとかだといいのだがそんなご都合主義ないですよね。


「誰が一緒に行く?」


あるんだぁ。

魔導書、試練を越えた先にあるのは燃費が悪くて威力も低いクソ魔法なのです。

ヤヨイさんね、すごくいい人なのよ。


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