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第十二話

実質プロローグはまだ続きます。

北部平原。

王国の北に広がる無限にも続く牧草地帯だ。

その中央を真っ直ぐに伸びる道路。

見晴らしはよく、街灯は少ない。

ド田舎である。

異種族の集落も少しあるくらいだろうか。

魔物がいたとしてもほとんどは好戦的ではない。

良き隣人的な関係である。


「ラブホだぁ」


そんな中の宿場町にもあるのがラブホテルである。

普通にお安いのでよく利用している場所だ。

もう夜も更けている。

その為かほぼ満室だった。


「最近のラブホってなかなかいいもんですね」


「そっち系はもちろん、いろんなものあるわね。…私ここにいていいの?」


「四貴族権限という便利な言葉があってだな」


14歳の少女をラブホに連れてくるとは、と思ったがこんなことは今更だな。

資金運用なんてことやらされてるんだから今更だな。

そろばん弾きまくって何とかなってはいるが、確実に14のガキがやることじゃない。

天才だから何とかなってるだけである。


「お嬢様?」


「いやぁ、やっぱり私って子供だなぁって」


「……そうですね。早くあなたを楽にさせねば」


「学校は寮制でしょ?別館の運営は何とかなるの?あとあなたたちの給料」


「それに関しては問題ないですよ。旦那様がされるそうです」


「は?任せられると思う?」


クソ親父の能力そのものは認めている。

ハワードの領地、つまり北部平原を含む王国北部は広すぎる上、問題が起きやすい。

そのため、統治の腕はいいことは当たり前だ。

町の人からの評価がすべてを物語っている。

玉に瑕なのが普段の不愛想な振る舞いくらいだとよくラルフさんは言っていた。

しかし、しかしだ。

それとこれとは話が違う。

私の精神的な問題だ。


「そういうと思って陛下に相談しておきました」


「やけに手回しがいいわね。報連相って知ってる?」


「あの馬鹿王子の弟さんいるじゃないですか」


「はいはい無視ね。弟さん、セオドリック様?」


「その人ですその人。その方なら大丈夫ですよね?」


セオドリック……彼は優秀だ。

あの馬鹿と比べたら数段、比べることすらおこがましいだろう。

正直陛下もあの子を次の代に据えようとしているのではないか、とも思っている。

剣術やら勉強やら、逃げ回っているのがあの馬鹿だ。

そのくせテストでは割と満点叩きだすのがムカつく。

天才肌なことに胡坐をかいて何も努力していないのがあの馬鹿王子でセオドリック様は当然の努力を重ねるのは当たり前として馬鹿を反面教師にでもしているのか心配になるくらい頑張っておられる。


「あの方なら信用はできるけど……お忙しくはないの?」


「経験は大事……とのことでセオドリック様がこの領の統治をなさるそうです。旦那様も受け入れているようですね」


「ほへー。ならいいわ。あの人なら勝手に処分はしないでしょ」


一応挨拶のみ……の関係ではない。

私が王宮にて色々な教育を受けているときに割と話す機会はあった。

勉強を教えてやっていた時もある。

その時の人柄から変わり果てていなければ今もいい子だろう。

今は13、まだまだ育ちざかりだろう。

健やかに暮らしていただきたい。


「ではそのように伝えておきますね」


「ん?確定事項じゃないの?」


「別館の管理者はお嬢様でしょう?ならば了解はとるべきだと」


「いつの間に?」


「え?旦那様がそう言っていましたよ?」


「マジでぇ?あいつそんなに隔離したいのかしら」


「それは…わかりませんね」


「絶対にそうよ。ぶん殴りたいわ」


そう言って円形のベッドに寝転ぶ。

沈み込む感覚……家のベッドもこんな感じにふかふかだが、これもいいものだ。

そもそも円形で加点するベッドなんていいに決まっているだろう。

買う気はさらさらないけれど。


「お風呂には入ってくださいね」


「はーい。でもこれ堪能しとくわ」


ラブホらしいカラフルな天井、それを見ながら回転に身をゆだねる。

大の字に寝そべるのは気持ちいいものだ。

ちなみに風呂はガラス張りなのでしっかりコレットの裸は見えている。

筋肉質ですらっとした体型だ。

やはり鍛え上げられた身体は物凄くいい。

早く私もあれ並みに練り上げたいものだ。


「おなか減った」


「いきなりですね」


「今日食べたっけ」


「昼食は外食で…ああ、夜はまだですね」


この辺は想像を絶するくらいには田舎である。

北部に町は本当に数えるほどしかない。

一か二か……その程度だろう。

その他は見渡す限りの平原に畑、飛空艇の発着所、工場にたまにぽつぽつとある宿泊所くらいのものだ。

あとは道路と高速道路、あとガソリンスタンド!

ガソリンスタンドは少ないながらもギルドの連絡所として重要な場所を担っている。

それにしても数が少ないのは需要が低いためだろう。

と、そんな感じに気軽に寄れる食事処がないし商店もない。

魔物との友好が結ばれ、異種間での交流や平和が実現された世界ではあるがまだ危険はある。

【暴走個体】と呼ばれる個体や【はぐれ(ロード)】と呼ばれる偶発的に生まれる人間以外の種族に限定され稀に生まれるその種族を繫栄させることのみを生きる糧とする種族最強種【(ロード)】の暴走状態となる特異個体。

このほかにもテロリストの被害も偶発的に起こっているため、まだまだ危険は多い。

それに北部は比較的王国内でも危険地域とされているためそもそも町が少なく、施設も少ない。

下道でゆるゆるとドライブ、はかなり危険なことだ。

普通なら町から延びている高速道路を使う。

下道などよほどのもの好きしか使わない。

広すぎるため、整備も間に合ってないのが現状である。

コレットの運転は確かにうまいがそれ以上に道がぼこぼこしているため、何度か起こされた。


と、なぜか北部の説明になったが飯である。

もちろんのこと、食べていない。

それにもう深夜だ、ホテルにチェックインできたのも幸運だと喜ぶべきだろう。


「今じゃお店もやってませんし……」


「何か持ってこなかった?」


「酔い止めと、のど飴と菓子折りですね。つまめるようなものはないですね」


「そっかぁ。残念ねぇ」


一晩くらいは別に飯抜きでもなんとかなる。

ちょうど眠たくもあるため、まあ大丈夫だろう。

おなか減ったとか何かなかった?はただの言い得である。

口から出す分にはタダなのだ。


「今ならコンビニが開いてますかね」


「んー?買ってこなくていいわよ?面倒だし眠いしモーニング食べたいし。それにコンビニ高いじゃない。使うのはもっと切羽詰まった時、スーパーが一番。ほら、一緒に寝るわよ」


何もないなら余計な手間はいらない。

どうせこのまま寝ても何も支障はないのだ。

ここの向かいにある喫茶店のモーニング美味しいし、食べるならあれがいい。

コンビニのものも美味しくなってきたが、まだ利用するには早いだろう。


「それとも何か欲しいものあった?」


わずかな可能性、というかわりと確率高い。

よく甘いもん食ってること多いし、私が優雅にお茶してる時もスコーンだったりクッキーだったりをコレットに分けてるし。


「……特に何も?」


ギィと機械のような音を立ててこちらに振り向くコレット。

その顔はいかにも図星をつかれたという顔だ、実にコレットは分かりやすい。

……だからこそ戦闘中の彼女のギャップには打ち震えるが。


「その顔はあるでしょ。いいわよ買ってきても。ただし、私のも買ってくることと私寝るから起こさないでね」


「変わらずお嬢様は鋭いですね。行ってきます!!あ、何がいいですか?」


「テキトーなジュース、炭酸なしのヤツで」


「はーい」


回転ベッドの回転をいい加減に止め、布団に潜り込む。

変わらずのふわふわ感とふかふか感、それらがいとも簡単に私の意識を刈り取っていく。

高揚感は何にも代えがたいものだ。

良い……と昇天するような心地とともに夢に私は旅立ちます。

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