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31日の夏物語  作者: Monty
3/28

8月2日

♪~


朝、少し遠めの場所からラジオ体操の音楽が聞こえてきた。


俺も小学生のころは毎日近所のみんなで集まってやっていた。


まあ、中学に入ってからは当たり前だがやることはなく、ほとんどこの音楽すら聴く機会はなくなってしまっていた。


時計を見ると時刻は丁度7時ごろを指している。


家ではこんな時間に起きたら二度寝コースまっしぐらだが、さすがにお世話になっている分早く起きなければならない。


昨日の夜に、おじさんが村を案内してくれるといってくれたので手早く動きやすい服装に着替えて居間に向かう。


居間には、先に起きてきていた咲とおじさん、それにおばあちゃんが座っていた。


おばさんは台所で朝ごはんの支度をしているようだ。


軽くみんなに挨拶をしてから、昨日とおんなじ感じで咲のとなりに座る。


「おにいちゃん、珍しく早く起きたんだね」


「まあな。さすがにお邪魔させてもらってる身としては、迷惑を掛けるわけにもいかないからな」


咲と軽く話していたら、いつの間にかご飯が出来上がっていた。


いつもは朝ごはんなんて食べないので、無理に食べ過ぎないよう少なめに食べて終わった。


おばあちゃんは食べ終わってからすぐに、自分の部屋に戻ってしまった。


どうやら、このあと畑仕事があるかららしい。


「2人とも、これから村を見て回るんでしょ。楽しんできてね。じゃ、私は片付けしてくるね。


おばさんは、そのままお皿をお盆に乗せまた台所に戻った。


「よし、じゃあとりあえず2人ともトラックに乗ってくれ」


おじさんに言われて、昨日と同じく座る。


トラックは、舗装はされているが少し急な山道に入っていく。


「そういえば、朝ラジオ体操の音楽が聞こえてきましたけど、ここって小さい子とかっているんですか?」


「ああ、いるよ。一応小さいけど分校もあるし」


「へえ~」


てっきり、お年寄りが多いよく言う限界集落みたいなものかと思っていた。


「ただ、年寄りが多いのは確かだから、言ってしまえば限界集落だよ、ここは」


あ、限界集落なんだ。


その後も山を登り続けること数分、到着したのは山の一番上の開けた土地に立っている少し豪勢な家だ。


「あの~ここってどこなんですか?」


トラックを降りると咲がこう聞いた。


「ここは、この村の村長の家だよ」


どうやら、知らず知らずにお偉いさんの家についていたらしい。


「ごめんくだ~い。村長いるか~い」


玄関まで行くと、おじさんが大きな声で村長を呼ぶ。


「そんな大きな声をださんくても、聞こえておるわい!」


すると、元気な声が返ってきて扉が開く。


そこには、まさしく村長っぽいおじいさんが立っていた。


「まったく、朝から人ん家の玄関で叫びおって。ところで、そのふたりのはどうしたんだ?」


「ああ、昨日からうちに来ている親戚だよ。1ヵ月ここに居るから村の案内ってことで」


「ほう。よろしくな、2人とも。わしはここの村長を勤めているものだ。きらくに村長と呼んで構わないぞ」


「「そ、村長さん。よろしくお願いします」」


見た目は物凄く優しそうだが、怒らすと怖そうなのでここは静かにしておこう。


「この様子じゃと、あの子に案内させるためにここに最初に来たのじゃな」


「その通り。ってことで、『花陽(はなよ)』ちゃ~ん。今ちょっと良いかい?)


「はい、大丈夫ですけど」


おじさんが呼ぶと、すぐに玄関に白いワンピース姿のロングヘアーの女の子がやってきた。。


「2人とも、紹介するよ。この子は花陽ちゃん。ここの村長のお孫さんで、(あきら)くんと同じ高校二年生」


「どうぞ、よろしくお願いします」


「「よ、よろしくお願いします」」


俺は、花陽ちゃんの無駄のない姿に一瞬見とれてしまったが、咲に背中を思いっきりたたかれて目が覚めた。


「花陽ちゃん、悪いんだけど二人に村の案内をしてあげてくれない」


「大丈夫ですよ。わたしも暇ですし、休みの期間にこうして歳が近い人とも会う機会がありませんからね」


「ってことで、俺は仕事に行ってくるわ。夕飯までには2人とも帰って来るんだぞ」


一瞬にして、おじさんはトラックに乗りこの場を去った。


玄関のほうを振り向くと、村長のおじいさんも中に戻っていっていた。


「それでは、行きましょうか。ついてきてください」


俺と咲は、流れに沿ってこの花陽さんの後ろについていった。


花陽さんは、俺たちが上ってきた道ではなくその反対側にある小さな林道に入っていく。


「とりあえず、今日は分校だけ紹介するね。あんまり言いたくないけど、この村何もないから一日で紹介しちゃうと暇になっちゃうからね」


「わかったよ。ところで、花陽さんはどこの高校に行ってるの」


「ここを通っているバスで一番近いところの高校に。あんまり、親に迷惑掛けられないから」


なんというか、花陽さんのイメージはしっかり者という感じだ。


その後、山を下っていくと分校の裏手に出た。


正面に回ると、そこには頭に描いていた分校が建っていた。


全体木造で、一階のみ、小さめの校庭に少しの遊具。


「どう、まさしく分校!見たいな感じのところでしょ」


時間的にはまだお昼前だが、花陽さんはここで解散を告げてくる。


「とりあえず、今日はここまでね。明日は、9時ごろに家に行くから待っててね」


そんなことをいって、すぐに立ち去ってしまう。


ここの村の人は、すぐにいなくなってしまう印象だ。


紹介してもらっていた間は、なぜか咲がずっと無言だったのだが俺は気に留めることはなかった。


ただ、問題が一つ。


帰り方が分からない。


同じ道をたどってもいいがせっかくなので、ということで別の道に入ってしまいそこからは迷いまくった。


結局、この日は夕飯ぎりぎりに戻り、その疲れのまま熟睡したのであった...

今回もお読みいただき、ありがとうございます!

時間に追われてなかなかうまく書けていないところもありますが、とにかく毎日出せていることにほっとしています。

それでは、明日をお楽しみに!

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