夢2
ここの所の僕は再び南煉獄市でギャングの頭から貰った刀と改造銃を手に殺しをやりまくったり稲羽市で高校に再入学したり殉教者として狂った天使を救済しつつ眠れる神を滅しに向かったり北アフリカで74式戦車を乗り回したりカルラディア大陸に再び旅立ったりアマラ深界で出口を求めて悪魔のにいちゃんやねえちゃんと一緒にぐるぐるしていましたがわりかし元気です。
「来るぞ」
非通知の着信に受話器を取った直後、淡々とした声で告げられた昼過ぎ。いまいち理解が出来ていない私に構いもせず受話器の向こうの男が続けた。
「三人来るぞ。すぐに来るぞ。知らせろ、皆に」
その一言だけで通話は切られた。私の背中には訳の分からない怖気が指を這わせて攀じ登って来ていた。そろそろ肩に腕を掛けてくる頃だ。
そうだ、来るのだ。三人来る。三人来るぞ!!私は電話帳に残っていた親類の番号を片端から入力し、出る相手に次から次へと捲し立てた。相手は勿論訳が分からないといった具合で、困惑した様子であったが私とて分からぬ。だが、知らせなければ。すぐに三人来るぞ!!
電話を掛け終わると得体の知れぬ恐怖感と興奮に足踏みしながら居間の炬燵の周りをぐるぐると歩き回る。そのペースを整える様にこち、こち、と壁に掛けられた安物の時計は安っぽいままの秒針を刻んだ。
インターホンが鳴った!!私は玄関へ靴も履かずに飛び出した。門の鍵を開ける。家の前には黒い乗用車が一台停まっていて、傍らに男が控えていた。
「……連れて来たヨ」
そう言う男に頷きながらスモークの入った自動車の窓を舐める様に見た。中の様子は分からない。ドアが開く。車を揺らしながら黒いタンクトップを着たガタイの良い男が三人、三人出て来た!!
「三人来たぞ!!三人来た!!」
私は異様に昂った頭を振り上げながら叫んだ。
………そういう所で目を覚ました。寝床の時計の針はもう12時を指していたが、それは些細な問題だ。夢の様子を思い出し、特に最後に出て来た男たちについて考える。ガタイの良い、三人組、黒いタンクトップ――――――
(………ラー〇ン三銃士だな!!)
下らない夢に何時間使ったのだ。
下らない夢見て起きれば昼っていう現実が一番怖いんだよね。