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キンモクセイ

秋口、空が高くなり始め、風が冷たくなってきたころ。家の前のキンモクセイの花が開いた。窓を網戸にして、部屋のドアも開けていたら、その花の甘い香りが微かに鼻腔をくすぐる。

キンモクセイの花はその実、香りがそれなりに強い。小さな花に見えるのに。

私は、夕方に差し掛かり、寒くなる前に窓を閉めようと立ったら、家の前を歩く友人を認めた。

「どうしたの」

窓から声をかけ、そして玄関に彼女を招き入れる。

「いや、ちょっと通りがかって」

ポケットに手を突っ込んだ彼女は、目を彷徨わせながらそう言う。家に上がるつもりはないようだった。

「チケット貰ってさ、映画一緒に見に行かない?」

そう言って、私に一枚の紙を手渡す。ポケットから出されたそれは少しだけ暖かかった。

「うん。行く」

私が一も二もなくそう言えば、彼女はほっと息をつき「じゃあ、また」と逃げるように帰っていってしまう。

彼女が帰った後、少しにやける口元にチケットを持って行ったら、微かに甘い匂いがした。

どんな映画かは、あまり気にならなかった。

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