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爆音
火砲とエンジンと爆発の、大きな音が鳴り響く戦場。隣で悲鳴を上げる負傷者の声も聞こえない中、崩れた壁の裏に二人の女が座っていた。ボロボロの服を着た、手には小銃を握る民兵であった。
壁の向こうには通信をする、半壊した敵の小隊が陣取っていた。
そんな敵を目に入れながら、二人は叫んで意思疎通を計ろうとする。
「生きて帰れそうにないね!」
「生きて帰るにゃ、あれから逃げにゃならん!」
壁の裏に再び身を隠し、二人は目を合わせる。
「最期だし、言いたいこと言って良い?」
「気合い入れろよ!こんな所で死ぬのは許さん!いいな?」
少しの身振りをする二人は、はたから見れば歴戦のバディに見える。
「貴女が好きよ。ずっとずっと好きよ!」
「聞こえんが、いい返事だ!帰ったら酒でも飲もう!」
少しの沈黙の後、互いに笑顔を交わす。
そして、二人はいつも行っていた決意の符丁である、互いの拳を力強く合わせた。
「ありがとう。これで心置きなく死ねるわ」
「絶対に生きて帰るぞ!」
果たして二人は、壁から出て走り出した。




