表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
85/101

香り

夏の暑い下校時間。直射日光が肌をじりじりと焼く、放課後。私は友人の自転車の後ろに座っていた。

少し湿った、冷たい夕立の気配を感じさせる風を感じながら、彼女の声を聞く。

「そんなに引っ付いて、汗臭くない?」

「大丈夫」

部活で汗を流した彼女の健康的な匂いと、制汗剤の清涼な匂い。私はそれが好きだった。

「そんなことより、もうすぐ雨降るよ」

後ろに乗せてもらっている手前、早くしろとは言わない。

「私一人だったら、雨には降られないだろうねぇ」

でも、彼女がそんなことを言うもんだから、私は彼女にひしと抱き着く。

「うわ!びっくりした!」

降ろさないよと彼女が言って、私は彼女から少し離れる。彼女の匂いに包まれて、役得だな、と思ったのは内緒。

そんな内に、ゴロゴロと雷が鳴り始めて、肌に感じる暑さも和らいできた。

「雨に降られるね」

私は半ばあきらめてそう言ったのだけれど。

「ほら、捕まって。ちょっと急ぐよ」

彼女がそう言って私の手を腰へと持って行き、どんどんスピードを上げていく。

私は、がんばる彼女の背中に耳を当て、息遣いを聞く。

そんな、蝉の煩い夏の一幕だった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ