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うす暗い部屋に女性の甲高い悲鳴が鳴り響く。大型のテレビでは今まさに女性が怪物に襲われるところであった。

それを、隣に座る彼女ははらはらと拳を握り見ていた。対する私は、繋いだ彼女のもう片方の手に殆どの意識を向けていた。

映画のシーンによって、彼女の手は面白いように動く。平常な場面では柔く握られ、感動する場面では指を絡めてくる。

瞳は心の窓であるとはよく言ったのもだが、彼女の手もそうである。

やがてクレジットが流れ始めれば、彼女は私の手を握ったり緩めたりし始める。

「どうだった?」

私が彼女に映画の感想を聞けば、すらすらと答え始める。

その間も彼女の手は様々な動きをして、少しくすぐったかった。

「何笑ってるの?」

可笑しさやくすぐったさが顔に出ていたらしく、彼女は訝し気に私に問う。

「いいや、楽しんでくれて何より」

彼女の手に関することは、私だけの内緒。

そう、と彼女は言い、ちょうどクレジットも流れきる。彼女は部屋の電気をつけに立ち上がる。

彼女の離した手が少し寂しくなる。

私は、また映画でも借りてこよう、次はどんなのがいいか、と彼女の後姿を見ながら考えていた。

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