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下手くそ
寝室。月明かりの下、ベッドの上。好きという感情しか持たない姿で二人向き合う。
セックスするということになったが、お互い経験などなく、どうすればいいのかわからない。
見つめ合い、恥ずかしくなって目をそらす。
はじめはキスなのだろうが、その次は?胸?よくわからない。
ちらりと横目で見れば、彼女もこちらを見ていた。慌てて目をそらす。
「今日はもうやめとく?」
我ながら情けない物言いだとは思う。
「する」
彼女はいつも頑固。とりあえず、肌の温度が感じられるほどに近寄る。
手を、彼女の肩にかけて、もう一度向き合う。長いまつげ、潤む瞳、私は彼女の目が好き。
「私、きっと下手だよ?」
「下手じゃなきゃ、きっと嫌」
それもそうか、妙に納得。
触れるようなキス。そして、一線を越えた。
私はやっぱり下手くそだった。彼女も下手くそだった。でも、幸せな気持ちになった。




