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窓際の心
涼しい風と柔らかな陽光が通り抜ける半分だけ開いた窓。私はその下で本を読んでいた。
窓の外は色とりどりの花が咲いていた。だが、その間を歩くことは叶わない、足が悪い私には。
ふうとため息をつけば、私の世話をしてくれている女性が気を利かせたのか、花を挿した花瓶を持って部屋に入ってきた。その花は、この窓からは隠れて見えない物ばかりだった。
私はその花々を見て、嬉しい気持ちと惨めな気持ちとが去来した。
「いつかは自分の足で、貴女と歩いてみたいものね」
花瓶を机の上におき、整える彼女の背にそう声をかける。
ちょっとした意地悪のつもりだった。神が与えたもうた私の足はきっと良くはならないだろう。
「そうですね。難しいでしょうが、いつかその時が来ることを願いますよ」
しかし、彼女は私の言葉に、忌憚なくそう答えた。
花瓶の花は、私がいる位置から見れば最も映えるように挿し直されていた。
「何に――?」
――願うというのだろうか。
私は暗然とした。
「それはもう、貴女の未来にです」
彼女が振り向き、優しく微笑んだ。
その華を見て、私はやけに晴れやかな気持ちになった。




