78/101
読書
良くクーラーのきいた、ページをめくる音だけが響く図書館。その窓際の机に、私は私の彼女と座っていた。
今日はデートで色々な所に行くはずだったのに、いつの間にか図書館で読書タイムとなっていたのだ。
まあ、学生の時分、お金がかからないということはあるけども、もっと彼女とイチャイチャしたいというのが私の本音で、
「ねぇ。そろそろ出ない?」
私がそう言うも、彼女は新しく入った本に夢中で無視される。
「おーい」
図書館ゆえの小声での呼びかけも、もちろん無視された。
確かに。確かに私が彼女に恋したきっかけは、一人で本を読む姿の神聖さというか美しさだったけども。この仕打ちはあんまりだと思う。
そっと手を伸ばし、彼女の頬を指で突く。
「?」
ようやく彼女が私に気付き、こてんと首を傾げた。とてもかわいい。
「私を放ってくれちゃって」
そうわざとらしく言ってやれば。彼女はようやくデートの途中だったことを思い出したようで、
「ご、ごめんなさい」
しゅんとした顔になる。
「いいのいいの。それ借りて喫茶店行こうよ」
彼女を反省させることは本意ではなかった。喫茶店では私が奢ることにした。




