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結婚直前

結婚式場の新婦控室で私は、純白のウエディングドレスに身を包んだ親友と会話をしていた。

「そこでね。彼がプロポーズしてくれたの!」

「へえ、そうなんだ」

彼女が幸せそうに新郎のことを語る度に、私の心には暗然としたものが広がっていく。

私だって、彼女のことを愛しているのに!!

そう言う思いが、彼女から語られる、新郎のイメージが形を成すごとに湧き上がるのだ。

「この結婚もね。お父さんは――」

まだまだ終わりそうもない彼女の新郎自慢に適当に相槌を打ちつつ考える。

もし私が男だったら、もし私が包み隠さず思いを伝えていたら、もし同性愛が許容される社会なら。彼女の語る新郎が私になってたのだろうか、と。

いくら考えても意味はないことはわかっている。だが、考えてしまうのだ。たらればを。

「私、幸せになるわ」

彼女がそう言ったとき、私は、上手く笑えていただろうか。

「ええ、お幸せにね」

幸い、声は震えなかった。

その後、滞りなく式は終わった。二次会等には参加しなかったが、これでいいのだ。


私は、愛する彼女の幸福を祈る陰で、二人の不幸を願っていたのを、自覚したのだから。


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