64/101
天使の笑顔
人を拒む暗闇が広がる裏路地に、一発の銃声が響く。
私が目の前の男を射殺したのだ。私は標的を殺したことの証明のために、一枚の写真を撮る。
「趣味悪い」
「趣味が悪い?これが仕事だ」
頭上から聞こえる鈴を転がすような声に、私は答える。
見上げれば、白い衣をまとう羽の生えた少女が飛んでいた。
「まーた人殺ししちゃって。いーけないんだ、いけないんだー」
少女、つまり天使が私を煽ってくる。
「仕事だ」
「でも、殺したのは貴女でしょ。罪科追加ね」
私は家へ向かって歩き始める。天使は頭上を付いてくる。
「私の罪科はいくつある?」
そう言えばと、私は尋ねる。
「殺人だけで百近いんだから、もう地獄行き決定よ」
彼女が私の前に降り立ち、笑顔を作る。天使というだけあって、その造形は神懸かっている。
「大丈夫。地獄に行ったら私が面倒見てあげるから」
美しい表情の裏に、私は悪魔の顔を見た。
「精々長生きするよ」
私は手を伸ばして彼女の頭を撫でる。
「さっさと死んでもいいのよ?」
「今のは聞かなかったことにするよ」
再び歩く道は、どこまでも暗い。




