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無口
私の彼女はあまりしゃべらない。付き合ってそれなりに時間が経っている物の、愛の言葉も一つ囁いてくれない。これでは、本当に私のことが好きなのか不安になってしまう。だから、酒に酔わせて聞き出そうと思った。彼女は酒に弱いのだ。
渋る彼女に酒を飲ませて少し。酔いが回ったようで幾分か饒舌になってくれた。
どう聞き出そうかをいまさら考えていると、
「ねえ」
彼女から切り出してきた。
「喋るの苦手でごめんね」
正面の彼女が、コップに目を落としている。
「好きなんだけどね、上手く伝えられなくてね」
コップの中のお酒を二人、何度か傾ける。
「何となーく、不安に思ってるんじゃないかなぁって解ってるんだ」
難しいね、と彼女が赤ら顔ではにかむ。
「好きの一言でいいんだよ。喋るの苦手なの知ってるんだから」
そこを含めて、彼女の魅力なのだ。
「そうなの?」
「そうなの」
彼女と目が合う。そして、ゆっくりと彼女の口が開く。
「好きだよ」
酒だけではない赤い顔をした彼女が、私にはどうしてか可笑しく、大声で笑ってしまう
「そうそう、それでいいんだよ」
「笑わないでよぉ!」
次は二人で笑った




