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見る
黄色く柔らかな逆さの山が、透明のスプーンで少し削り取られそれがゆっくりと友人の口に運ばれる。風が通る公園の木陰にあるベンチで、私はその一連の動作を眺めていた。
「欲しいの?」
隣に座る彼女が、透明なスプーンを赤い舌で舐める。
「いらないよ」
訝しげな顔で、また彼女がスプーンを動かす。柔らかいであろう唇が少しだけ動き、
「欲しいんじゃないの?」
その言葉と共に、こちらにスプーンを差し出してくる。
私はそちらが欲しいわけではないが、有難くいただこうと、首を伸ばす。
しかし、口を閉じようとしたところで、
「やっぱりダメー」
スプーンが引かれ、私ではない口に運ばれる。してやったり顔の彼女。
「あのねぇ」
抗議の声を上げようとしたところで、彼女の顔が急に近くなり、唇に柔らかな感触。
そして、甘く、柔らかなものが二つ私の口に入ってくる。
複雑な味で、少しめまいがした。




