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指
柔らかい日が差し込む、行きつけの喫茶店。私は彼女に手を弄繰り回されていた。
十中八九指の太さの確認だろうそれを、空いた手でコーヒーを飲みながら見守る。
「えー、あなたは私間膜が、狭いですねぇ?楽器は何かなさってたんですか?」
何処かの刑事のまねをしながら指の根元を触られる。少しくすぐったい。
「ピアノしてたらそうなるね」
私の指はそれなりに長いが、彼女のそれも相当長い。彼女はヴァイオリンを弾く。
「あー、生命線も長いね」
次は手のひらを見るふり。
「100まで生きるつもりよ」
「あら、長生き」
彼女と目を合わせて、笑って見せる。
「他人事じゃないわよ」
「と、言いますと?」
「私に最期まで付き合いなさいよ」
その言葉に、彼女も笑って頷いてくれる。
私は、ここで隠し持っていたケースを取り出す。
「はい、指輪」
彼女が目を見開き、しばらくすると、呆れた顔になり、ムードがないなぁと少し笑って受け取ってくれる。
「何言ってるの、ムードは今から作るのよ」
立ち上がり、喫茶店の奥にあるピアノに座る。
「私達には指輪より、音楽でしょ?」
鍵盤を叩く




