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釣り

この田んぼだらけの田舎に引っ越してきて、部活もない放課後を下校する中で、私は気付いたことがある。それは、毎日同じ橋で川釣りをしている女性がいることだ。いつしか私は、その女性に話しかけることが日常になっていた。

「こんにちは、今日はどうですか?」

澄んだ水の入ったバケツを覗き込むが、魚はいない。瓶サイダーはある。

「釣れた釣れた。爆釣よ」

被っていた麦わら帽子を私の頭に移しながら、女性が笑う。いつもこうなのだ。私は彼女が魚を釣っているところを見たことがない。

「いっつもそう言いますけど、釣ったところ見たことありませんよ」

普段は流すが今日は突っ込んで聞いてみた。

そうすれば、ますます彼女は笑う。大人びているようで子供らしい笑顔が、向日葵よりも眩しい。

「いんや、ここんとこ毎日、釣れとるよ。まだ食べやせんだけや」

そう言って瓶サイダーを差し出す彼女に、私は首を傾げることしかできなかった。

彼女の横に座り、すこし冷えたサイダーを飲み、彼女は釣り糸を川に垂らし続ける。


そんな、やけに暑い初夏だった。

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